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2021年7月2日号 トップインタビュー (株)ミナシア 代表取締役社長 下嶋 一義 氏

トップインタビュー (株)ミナシア 代表取締役社長 下嶋 一義 氏

【月刊HOTERES 2021年07月号】
2021年06月30日(水)
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各現場スタッフのアイデアと実行力でコロナ禍のリカバリープランを実現

----2020年はコロナ禍で私ども観光関連業は特に大きな打撃を受けましたが、御社の宿泊事業や飲食事業について、それぞれ講じた策などをお話ください。

2020年の業績は対前年比 57%減でした。一般的に(帝国データバンクデータ参照)宿泊事業者の 97%がマイナスになっていることを考えれば避けられない状況であったことが分かります。特にインバウンドやホワイトカラーの需要が高かったところ…東京、大阪、京都などは苦戦していました。また、売り上げの 1割を占めていた飲食店についても時短要請などを受け難しい状況になっています。もともと「食泊」をテーマに、各地のレストラン(ホテル内含む)についても、食材の一部は、茂原市の自社農園のものを使用しますが、あくまでも地産地消をベースに「食泊」を展開してきました。また農園事業については、多様な方たちが働ける場の創出として6年前から取り組んでいます。 コロナ禍、弊社ではさまざまな対策を講じてきました。

例えば、一部の客室からベッドを取り除きテレワークに特化した部屋に変更して、それをインスタベース(運営:(株)Rebase)にアップし、精力的に販売してみたところ、テレワークの夫婦がご自宅ではスペースが無いため仕事がしづらいとのこともあって思った以上の需要がありました。同じく都心の店舗では、EMSスーツをセットしてトレーニング需要に対応するプランを実施したり、弊社で展開する飲食店「銀座夢酒みずき」の食事を宿泊ホテルにデリバリーし客室でお召し上がりいただけるプランも始め、大変好評でした。 

----新たに展開した企画はどのようなプロセスで実施したのでしょうか。

先ほどの EMSスーツは東大のベンチャーとの交流から本社主導で実現しました。各店舗に提案して4月から3店舗で実施しています。また食事のデリバリーは、レストラン(夢酒みずき)主導の企画でした。テレワーク向けのプランについては、もともと展開していたデイユースプランを「テレワーク」として打ち出し、自社サイトだけでなくインスタベースで露出することで、大きな反響につながりました。これらはすべて各現場のスタッフのアイデアと実行力で実現できたことです。 現在、中長期の宿泊ニーズが増えてきていると感じています。特にビジネスのお客さまの需要が高い平日の 4連泊や 7連泊プランが、好調に推移していますのでいまはこちらに注力しています。

また、30泊という長期の予約も増えていると感じています。ノマドワーカーという働く場所・時間が自由な人たちの増加傾向が要因と思っています。そのような新しいビジネス需要も注視しています。 またコロナ禍を機にコストの見直しにも着手しました。例えば、PMS(ホテル管理システム)を Operaに全店舗統一しました。これまで各店舗で異なっていた業務プロセスを統一して、効率化を図り、コストの削減とFTEを抑えることで、人件費も抑えることができました。特に、稼働に合わせて FTEをコントロールできるようになったことはとても大きかったと感じます。加えて、料飲部門でもFTEおよびレストランの FBコストの管理を再考することができたので、コストコントロールはかなりできていると思います。 そのほか該当する給付金類(雇用調整助成金、時短営業協力金、感染防止対策補助金など)は隈なく申請しフル活用しました。6店舗だけ休業していたのですが、スタッフの給与も9割は支給できている状況です。コロナ禍という事態を乗り切るために方々尽くした対策は、結果、オペレーターとして筋肉質になれたのではと感じています。

----今回の就任は、ご自身にとっては約20年ぶりのホテルオペレーター業です。ミナシアの印象をお聞かせください。

これまで外側からミナシアを見てきましたが、とてもESが高い会社という印象でした。入社後に分かったことですが、その根底には新人のトレーニング場所として機能していたホテルウィング下関(山口県下関市)でしっかり研修していたことのように感じます。熊野支配人がお客さまに対して「あなたの家族に接するような接客を」と掲げ、アットホームなサービスをウィングのサービスとして教育してきました。その教えを受けた社員が日本全国に散らばり、それが文化として根付き、多くのお客さまに支持され、リピーター獲得につながっていると思っています。各OTAのクチコミ評価でもサービスのスコアが高いのがその証拠です。

また ESもとても高い印象です。 創業の会長夫妻が現在の家族経営の風潮を築き上げていたようです。仕事のことだけではなく、社員の家族のことまで気にかけてもらい会社に対する恩を感じている人が多いと社員の面談を通じて分かりました。実際に、2018年、19年に行なっていた従業員満足度リサーチのスコアでは 5点満点中、3.8点という結果を出していました。

 私自身もコロナ禍で休業が増え閉塞感が漂うときこそ、社内コミュニケーションは重要と考えています。昨年は行なえなかった従業員満足度リサーチを今春実施しました。集計をへてその結果は全員に共有し、次の指針につなげていきたいと思っています。
半面、BtoCで見た場合、ホテル業としてのブランディングが弱いことが気になりました。スタッフたちは同じ方向を向いて働いているのに、その魅力がブランド力として象られていない印象でした。アットホームな社風がそのまま生かされたサービスクオリティも高いのに、マーケティングが足りない、もったいないと感じました。だからこそ、自分たちの強みをブランド力として周知・定着させることが、私のやるべき課題の一つだと思っています。

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