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2021年12月24日号 トップインタビュー パークホテルグループ エグゼクティブディレクター シン・フイ・タン氏

トップインタビュー パークホテルグループ エグゼクティブディレクター シン・フイ・タン氏

【月刊HOTERES 2021年12月号】
2021年12月23日(木)
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北海道・小樽に次ぐ新たな拠点念願の「京都」に 2軒目を開業

----世界で約 30軒のホテルを展開されている、パークホテルグループ(以下、PHG)の現状と、コロナ禍での戦略などをお聞かせください。

 PHGは、ラグジュアリーの「グランドパーク」、アップスケールの「パークホテル」、ミッドスケールの「デスティネーション」という三つのブランドポートフォリオを有しており、今日の旅行者の多様なニーズに対応した差別化を行ない、それぞれのニーズに応える体験を提供しています。ホテルの展開にあたっては、オーナー様との緊密な協力関係のもとに、それぞれのロケーションの市場特性や地域性を見極めたうえで、最も適したブランドを特定するというアプローチをとっています。
 
 また TTGトラベルアワードの「ベストリージョナルホテルチェーン」部門で 6回の受賞歴(2012~ 17年)があります。コロナ禍の影響で計画が少し後れる可能性はありますが、2025年までにグローバルのポートフォリオを 50軒にまで拡大することを目標としています。事業戦略の一環として、収益性の高い運営を実行するだけでなく、お客さま、チームメンバー、コミュニティを含む「人々」にポジティブな影響を与えることによってトリプルボトムラインを推進するというアプローチを掲げています。
 
 ホスピタリティおよびレジャーの分野で包括的なバリューチェーンを統合している PHGでは、ビジネスとしては、ホスピタリティおよびライフスタイフ分野における、ブランドと資産の開発、所有、運営に関心があります。また、各地域のサービス部門における人材プールの継続的な能力開発とスキルアップも大きな関心事です。
 
 当社の幅広いホスピタリティビジネスの中核部分は、ホテルおよびリゾートの運営です。バリューチェーン全体として当社の専門知識を活用することで、オーナー様やビジネスパートナー様にとって、資産価値を高めることができると考えています。
 
 2020年、パンデミックの影響を受けて旅行が世界的に停止しました。私たちは、その状況の変化を迅速に汲くみ取り宿泊施設に対する多様なニーズに対応し、異なった収益の獲得に向けて素早く方向転換しました。自己隔離または検疫が必要なゲスト向けの長期滞在パッケージや、住宅賃貸契約の混乱に直面しているゲスト向けの短期~中期宿泊パッケージなどをいち早く提供できたのも一例です。
 
 ホテルビジネスは、一般的に海外旅行者に大きく依存しています。コロナ禍の中、私たちは制限下で自由な渡航ができない代替として、国内旅行の必要性と魅力を感じてもらえるようなプロダクトを醸成しました。例えば、その土地に住む居住者が、自分たちの故郷である国や都市を十二分に楽しめるようなユニークな体験を取り入れたパッケージや、ステイケーションパッケージなどです。
  
 また、ホテルやレストランでの飲食が制限された時期には、レストランやバーのサービスを迅速に拡大し、ハイティーセット、ホームパーティーパッケージ、クリスマスや正月など季節の催事向けのフェスティヴ・メニューなどを企画し、デリバリーやテイクアウトのオプションを提供しました。 
 
----北海道の「グランドパーク小樽」に次いで、2軒目となるこの度の展開です。まずは国内での戦略について聞かせください。特に、京都のマーケットに対する期待値もお聞かせください。

 2008年、PHGが展開する日本初のホテルとして「グランドパーク小樽」を買収し、リブランド開業して以来、10年以上にわたって日本でビジネスを展開してきました。以来、日本でのプレゼンスを拡大することは私たちの目標であり、常にその機会を狙ってきました。個人的な話になりますが、私たち家族は休暇を過ごす旅先として何度も日本を訪れています。日本が大好きな外国人は多く、わたし自身も日本が大好きですので、日本でのビジネスはとても重要と考えています。

 PHGが現時点において日本に展開する2軒のホテルは、いずれも所有・運営という形態をとっていますが、私たちは常に、長期的な関係を築くことができる適切なパートナーを探しています。特に、不動産投資において強い実績を持っており、オーナー様のビジネスの成功に貢献する拡張性の高いビジネスプラットフォームを長年にわたって構築してきたと自負しております。

 また、オーナー様のホスピタリティ資産の価値を高めることに加え、人と環境と利益に貢献するというトリプルボトムラインの理念に導かれたビジネスを推進しています。ゲストだけでなく地域コミュニティや環境にもプラスの価値を創造したいと考えており、同じ志を持ったオーナー様と一緒に、サステイナブルなビジネスを構築していくということを強く願っています。
 
 コロナ禍以前の京都は、国内外の市場から非常に強い需要があり、2019年に京都は過去最高の 8,790万人の訪問者を迎えました。アメリカの旅行雑誌「コンデナストトラベラー」の Best Big Cities(優れた大都市)部門でも世界3位に選ばれた京都の人気は現在も揺るぐことはなく、いったん旅行が再開されればホテルビジネスも回復に転じると考えています。
 
 京都にはかけがえのない文化遺産や自然資産がある非常に魅力的な投資先です。京都の好立地に新築のホテルを取得する機会が訪れたとき、まさにチャンスだと考えて飛びつきました。私たちは長期投資家として、日本が有する観光資産や旅行者を魅了するストーリーは、この先も損なわれることはないと信じています。コロナ禍は優良な資産を獲得するチャンスだと考えています。

二条城や錦市場、先斗町にも近く京都滞在に理想的なロケーションの「パークホテル京都御池」。エントランスより左側はバー「The Corner」、その正面にはレセプション。その右には、奈良時代からの伝統建築で用いられている瓦素材の 8,700ピースを組み合わせたデザインウォールが目をひく
二条城や錦市場、先斗町にも近く京都滞在に理想的なロケーションの「パークホテル京都御池」。エントランスより左側はバー「The Corner」、その正面にはレセプション。その右には、奈良時代からの伝統建築で用いられている瓦素材の 8,700ピースを組み合わせたデザインウォールが目をひく
京都南座などの提灯を手掛けた地元の職人による伝統工芸品の京提灯を掲げたレセプションは、和のテイストをスタイリッシュに構成。ペーパーレスのデジタルチェックイン・アウトも選択できる
京都南座などの提灯を手掛けた地元の職人による伝統工芸品の京提灯を掲げたレセプションは、和のテイストをスタイリッシュに構成。ペーパーレスのデジタルチェックイン・アウトも選択できる
レセプション右横のロビーエリア。コンテンポラリーなデザインの中にも温かみのある素材が生かされている
レセプション右横のロビーエリア。コンテンポラリーなデザインの中にも温かみのある素材が生かされている
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