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2022年2月18日号 トップインタビュー (株)関門海 代表取締役社長 山口 久美子 氏

トップインタビュー (株)関門海 代表取締役社長 山口 久美子 氏

【月刊HOTERES 2022年02月号】
2022年02月17日(木)
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----その他の助成金に関してはいかがでしたか?

 次に社員のお給料という点についてですが、ほとんどの社員に関してはコロナ禍も減額せずに支給できました。一部の社員に関してのみ、雇用調整助成金をいただき、若干減額した形で数か月頑張ってもらいました。雇用関係の助成金といえばもうひとつ、産業雇用安定助成金も活用しました。夏場には結構な数の店舗を休業にしましたので、30名ほどの社員が下関と福岡にある御取引先の水産会社様へ、1か月〜半年の期間で出向させていただきました。
 
 その際、異動に関する交通費は助成金から賄えるのですが、家賃補助がないのでどうしたらよいかと考えていたところ、先方のご厚意で空室になっている寮のお部屋を無償で提供いただき、受け入れにおいても良くしていただき、本当にありがたかったです。さらに出向先と弊社ではお刺身のさばき方や伝統的な飾り切りなど、文化や調理法に違いがあったりしたのですが、そういった違いに刺激を受け、勉強して帰ってきてくれたことは嬉しかったですね。寝食を共にしたことで社員の間の絆も深まったようで、実際にそれらの学びや絆が、現場での仕事に活きている場面を多く目にするようになりました。
 
 さらにコロナの接種会場にも出向させていただきました。こちらではホテルや他のサービス業の方たちが多く出向されていたようで、その方たちと交流を持つことでホスピタリティの点における刺激を大いに受けたようです。いずれも仕事への取り組み方が変わったのを感じる場面が増えていますので、当初は晴天の霹靂とへきれきもいえる出向でしたが、結果的にはとてもよい機会を得ることになりました。これらの助成金に加え、時短営業協力金など国や都道府県の方針に従い、助成金を活用してコロナ禍を乗り切ってきたというのが現状です。 
 
----ところでコロナ禍では会社としての転換期もあったと伺いました。

 はい。まず、大阪市西区北堀江にあった本社機能をセントラルキッチンのある府内松原市に移転しました。ただ、これはコロナに関係なく耐震基準の問題で 2021年の 3月に退去する予定だったので、タイミング的にはもともとの予定に、時代の流れが合致したといったところでしょうか?むしろ、コロナ禍による経費の見直しという意味では、東京事務所の移転の方が直接的な事案だったと思います。
 
 それまで茅場町に構えていた東京事務所を、東京進出の際に事務所があった上野店の5階に戻しました。スペース的には手狭になり、当初不便さを感じた面もあるのですが、仕入れ先との調整や店舗ごとの見直し、家賃交渉など今一度、すべての経費の見直し、削減をするきっかけになりました。これらの作業をする中で、長年お世話になっている会計士さんから“御社の業態は、昔はもっと儲かる業態だった”という苦言があったことも大きかったですね。いつの間にか現状に甘えてしまい、創業時のメンバーのようにゼロから関門海を作った熱量と比べて、気持ちがゆるんでしまっていたことに気づかされたました。
 
ですから、単に数字を見直すだけではなく、会社として業態のありよう、そして事業との向き合い方など、“関門海とは? ”ということについても徹底的に向き合いながらのコストカットを行なっていきました。結果的に、全社員の士気があがったのを感じますし、原点回帰しながら、新たな気持ちをもって仕事に取り組んでくれている様子を見て、嬉しく感じています。さらに私自身も創業時の想いを再確認し、お客さまにも社員にもそれを伝えられる経営を意識するようになりました。大変なことも多いコロナですが、会社が新たな時代に向かう体制を作れたという意味では追い風になってくれたと思います。 

 

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