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3つの視点でみる、マリオット・インターナショナル 第一回カクテルコンペティション決勝

2022年11月30日(水)
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マリオット・インターナショナルは、国内におけるマリオットグループで初となるカクテルコンペティション 「マリオット・インターナショナル 第一回カクテルコンペティション 2022(Marriott Japan Cocktail Competition)」を開催。2022年11月29日(火)ウェスティンホテル東京にて決勝大会が行われ、ザ ・ リッツ ・ カールトン日光のAnjan Khadka(アンジャン・カドカ)氏が優勝を果たした。

マリオットグループホテルのバーラウンジ活用を促す看板カクテルづくりを目指す目的で行われた。国内マリオットグループホテルのバーテンダー115名がエントリーし、ファイナリストとして選ばれた10名が決勝大会に進出。国産ジンをメインに、「GO LOCAL」の審査テーマのもと、オリジナルカクテルと技術を競った。優勝カクテルは2023年1月より日本国内のマリオット・インターナショナルブランドのレストラン&バーがあるホテルでレシピが共有され、提供予定がされている。

本大会を、ブランド・ポートフォリオの活用、人的資本、経営戦略と人事戦略の一致という3点からみてみたい。


優勝したアンジャン・カドカ氏

マリオットグループの多彩なブランド・ポートフォリオならではの大会

マリオット・インターナショナルは、言わずと知れた業界屈指のブランド・ポートフォリオを持つ企業であり、その強みが活かされた大会であった。今回、国内の各ブランドのホテルから115名のカクテルが応募され、ファイナリストとして選ばれた10名が決勝大会に進出した。

カクテルやソムリエなどのコンペティションは、年に開催される回数に限りがある。コンペティションは日頃の研鑽の実力を示す場だけでなく、最後までやりきる力や競い合う仲間との人的なネットワークといった参加することでしか得られない価値がある。その場がグループ内で提供されたことは喜ばしい限りである。こうした取り組みは回を重ねることに社会関係資本や技術といったことが蓄積されるだけでなく、品質の向上や新たな人材の惹きつけと波及していく可能性がある。

テーマは「GO LOCAL」で、「サントリージャパニーズクラフトジンROKU(六)」をメインスピリッツに使用したオリジナルカクテルの、「味覚」、「コンセプト・ストーリー」、「ネーミング」、「再現性」、「ビジュアル」の項目が審査された。審査員は、カール ・ ハドソン氏(マリオット ・インターナショナル 日本 ・ グアム担当 エリアヴァイスプレジデント)、北浦 真氏(サントリー株式会社)、ゲスト審査員として、タレントのおのののかさん、 辻 美奈子さん(Drink Planet)が厳正に審査を行った。

優勝を飾ったのは、ROKU(六)をベースにサンジェルマン エルダーフラワーにゆずを用いて奥日光の自然を表現した、ザ ・ リッツ ・ カールトン日光のAnjan Khadka(アンジャン・カドカ)氏の『こまちのにわ』だった。ネパール出身のカドカ氏が感じる奥日光の自然を、小野小町の名から着想を得て創られたカクテルだ。


男体山抱く中禅寺湖のある奥日光を表現した『こまちのにわ』


人的資本を鑑みた先進性

23年3月期から、人的資本開示を義務付ける方針が固まった。経営におけるインタンジブルなもへの注目は以前より指摘されていたが、「人材版伊藤レポート」の発表から企業価値創造の中核を担う人的資本への注目が加速した。投資家にとって投資判断となる指標の開示に目が向きがちだが、その根底には、経営戦略に基づく人材戦略のストーリーが描かれていることが必須となる。

そうした意味では、今回の大会では驚きもあった。その驚きをもたらしたのは、2位を飾ったW大阪の藤原 惇平氏だ。藤原氏は、バーテンダーではなくペストリーシェフとして参加しており、部門関係なく参加が可能という規定だからこそ実現された。これは、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)という観点からも評価ができる。誰もが成功する機会を得られるように組織的な障壁が除かれている点は、グループで行う大会の強みが反映されたものだ。

2位を飾った『Rikyu』は、利休が今、 カクテルを作るとどうなるか?という発想に加え、サステナブルなカカオフルーツパルプを用いたカクテルだ。これには、藤原氏がチョコレート イノベーション コンテスト2022で築き上げた経験が存分に活かされている。また、素材に対するアプローチの仕方にもペストリーシェフとしての経験が反映されており、優勝カクテルがグループ内で提供されることを鑑み、そのカクテルの標準化にまで視点が行き届いていた。

先に述べた人的資本の可視化には、こうした個々人の活き活きとした取り組みが欠かせない。指標などの数値的なアウトプットではなく、企業の経営戦略と人事戦略の一致があり、それが活かされた環境でのアウトカムが重要となる。藤原氏の参加と取り組みは高く評価されることである。


利休に扮する藤原 惇平氏(W大阪)


企業の戦略と一致する人材戦略
 
本大会の成功は、マリオット・インターナショナルの日本&グアム担当エリアヴァイスプレジデントであるカール・ハドソン氏の存在も大きい。
 
マリオット・インターナショナルは、多彩なポートフォリオを持ち、様々なブランドのホテルを国内の各都市・地域で展開している。ホテルがある各都市・地域には、その地域ならではの食や文化、風土が存在する。そうした地域が持つ資源や魅力をホテルというプリズムを通すことで、デスティネーションとしての新しい可能性が生まれる。本大会の審査テーマが「GO LOCAL」であることは、こうした事情をうまく組み込んでいると取れる。
 
今回の場合は題材がカクテルであり、その創造性を担うのは、各ホテルに所属するバーテンダーだ。バーテンダーが活躍できる舞台と題材を整えることで、グループとしては新しい共通のアセットを得るだけでなく、人材の発掘や育成も同時に行うことが出来るようになる。これは、企業戦略と人材戦略の一致と言える。ハドソン氏の豊かな料飲経験が、こうした取り組みを可能にしていると言えるだろう。
 
また、このような取り組みの循環が機能することで、マリオット・インターナショナルは魅力的な人材を惹きつけることが可能となる。大会の回を重ねることで、バーテンダーの技術だけでなく社会関係資本も豊かになり、グループの新たな強みへと変換されていく。このことは、ホテル運営だけでなく、ホテルオーナーにとっても魅力的な点として映っていくだろう。
 
本大会は、こうした視点からも得ることが多い魅力的な大会であった。ファイナリストはもちろん、今後のマリオット・インターナショナルの活動に期待したい。


■ファイナリスト 10 名 出場順
浅野 陽亮 氏 (ザ ・ リッツ ・ カールトン京都)
前田 誠 氏 (ウェスティンホテル東京)
村田 和香菜 氏 (東京エディション虎ノ門)
大塚 弘智 氏 (JW マリオット ・ ホテル奈良)
榎本 和樹 氏 (ザ ・ リッツ ・ カールトン大阪)
藤原 惇平 氏 (W 大阪)
黒田 隆広 氏 (シェラトン ・ グランデ ・ トーキョーベイ ・ ホテル)
Anjan Khadka (アンジャン・カドカ)氏 (ザ ・ リッツ ・ カールトン日光)
村上 剛 氏 (シェラトン ・ グランデ ・ オーシャンリゾート)
Trias Patriarso(トリアス・パトリアスソ)氏 (コートヤード ・ バイ ・ マリオット名古屋)

担当:小川

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