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2022年12月9日号 トップインタビュー 京都市長 門川 大作氏

トップインタビュー 京都市長 門川 大作氏

【月刊HOTERES 2022年12月号】
2022年12月08日(木)
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「課題解決先進都市・京都」として。

----コロナ禍で全国の観光地が大打撃を受ける中、京都市は「京都観光振興計画2025」を打ち出されました。『歴史や文化を希望にかえるまち京都』と謳われていますが、計画策定に着手した経緯や思いをお聞かせください。

門川 外国人観光客の一部の地域での急増等による観光課題が、地域住民の生活に影響を及ぼしていた 2019年。混雑緩和を含め、地域や観光事業者の皆様と取組を強化し、その成果が見え始めた矢先のコロナ禍でした。外国人宿泊客も約99%減(2019年比)と、まさに未曾有の危機。しかし、地域の「光」を「観る」という旅の本質を胸に、「市民生活と観光の調和、市民の皆様が豊かさを感じられる持続可能な観光へ」との思いで、観光業界はもちろん文化、寺院・神社、地域企業、大学など多くの方々と深い議論。


コロナ禍真っただ中の 2021年 3月、「京都観光振興計画2025」を策定しました。
“住んでよし、訪れてよし、働いてよし。歴史や文化を希望にかえるまち京都 ”の実現、さらには、社会課題解決、SDGs達成に貢献する持続可能な京都観光へ。まさに、「観光課題・社会課題解決先進都市」を目指しています。

----具体的にはどのような内容でしょうか。

門川 京都観光の理念は、①市民、②観光客、③観光事業者・従事者の “三方よし ”に、④未来を加えた、“四方良し”。すべての方がお互いを尊重しながら、「観光」が「文化」と「地域コミュニティ」の継承・発展の好循環を生み出す「プロモーター」の役割を果たす。行政は、観光課題の解決や担い手の育成などを下支えし、観光と文化の力で、あらゆる社会的課題の解決、SDGsの達成を目指そうとするものです。

コロナ前の 2019年、日本初開催の国連の「第 4回観光・文化京都会議」において、これを「京都モデル」と銘打ってご紹介。高い評価をいただき、同会議で採択された「観光・文化京都宣言」に「京都モデルの活用の推進」が盛り込まれました。
 
  世界の宝・祇園祭で実践している「ごみゼロ大作戦」や、有料観覧席の設置もその一例。「文化」と「観光」と「地域コミュニティ」が手を取り合い、持続可能な祭の実現に力を尽くしています。

----コロナ前、市民生活に様々な影響を及ぼしたオーバーツーリズム。その対策は。

門川 コロナ前の様々な観光課題を受けて、京都市が地域との調和を最重点に、10年余り取り組んできたのが「時期・時間・場所」の3つの分散化。様々な取組の結果、閑散期の2月と繁忙期 11月では、観光客数の差が3.6倍から1.3倍に。また、 “泊まってこそ京都 ”を掲げ、朝観光と夜観光の魅力発信や宿泊施設の質の向上等に取り組み、宿泊客の割合も増加しました。こうした取組は、京都経済にも大きく貢献したところです。

ただ、「インスタ映え」などの言葉に象徴されるように、極めて一部の地域が混雑する傾向は大きな課題に。そこで、ビッグデータやライブカメラ等を活用した混雑状況・観光快適度の予測・見える化、さらにはそれらを多言語でも発信し、改善しています。

----京都への期待度から、宿泊施設の進出が相次ぎました。

門川 2016年当時、3万室だった市内宿泊施設の客室数は、東京五輪までには5万室以上に増加。量的な課題は解決しており、これからは質の向上です。そこで、ノーマライゼーションの徹底などに取り組んでいます。

例えば 2021年には、全ての新規施設を対象に、トイレや洗面所など室内でも車いすでスムーズに移動でき、介添えの方も対応できる広さで設計することなどを義務付ける条例を全国に先駆けて制定。
 
また、2018年には、「違法民泊は絶対に許さない」という決意の下、日本一厳しい条例も。住居と宿泊業施設を明確に分けることや、住居専用地域での営業期間も限定するなど、住民の皆様の安心・安全な日常生活、静かな京都を守るようにしました。

さらに 2021年には、京都市観光協会や25の観光関連団体の皆様と共に、新しい京都観光の実現に向けた共同宣言を実施。京都観光に関わる全ての方々とともに、観光課題の解決に取り組んでいます。

 

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