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生産者来日!ガストロノミックなシャンパーニュ「ル・ブルン・ド・ヌヴィル」の世界

2023年05月20日(土)
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渋谷康弘氏が代表取締役社長を務める株式会社グランクリュ・ワインカンパニー。社名が示す通り、名だたるワインの取り扱いをしている同社が持つシャンパーニュに「ル・ブルン・ド・ヌヴィル(以下、L.B.N.(エル・ビー・エヌ))」がある。今回、L.B.N.より代表のDamien Champy氏と輸出担当のAgathe Bellanger氏が来日した。

L.B.N.はコート・ド・セザンヌを本拠地とする協同組合だ。コート・ド・セザンヌのシャンパーニュはあまり触れる機会がないかもしれないが、昔から著名な大手メゾンへ供給されており、近年ではレコルタン・マニピュランのブームもあり、粒ぞろいの生産者もいる。
 
協同組合というと、どうしてもイメージの面で地味な印象を持つ方も多いかもしれないが、それは考えた方違うかもしれない。先に挙げたレコルタン・マニピュランが協働で行うと考えればどうだろうか?そして、それは必ず品質となって現れてくる。
 
そして、もう一つ見逃せない点がある。高品質でありながら、手に取りやすい価格でもある点だ。シャンパーニュはどうしても記号的な消費が先行してしまうが、一度飲み始めるとスパークリングワインとしての品質やスタイルの方が重要になってくる。そうした意味で、実は大手メゾンとは違う、現場のソムリエを支える多くの利点を協同組合のシャンパーニュは備えている。
 
L.B.N.には、コート・ド・セザンヌのテロワールを表現した「コート」シリーズ、クラフトマンシップが現れた「ラ・シュマン」シリーズ、シャンパーニュの熟成が醸す旨味を表現した「オートリーズ」シリーズ、そしてヴィンテージごとの味わいを詰めた「ミレジム」がある。
 
どのシリーズもその名の通り「個性」が反映されているが、少しづつその魅力の一端をお伝えしていきたい。


 
ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブラン
シャルドネ100%(ベースは2019年、リザーブ26%)
ドサージュ:3g/l
 
L.B.N.の良さを知るのには一番適していると感じる。透明感にあふれている。香りはレモンや洋ナシのような果汁の多い果物のニュアンスに、はっきりと感じられるチョーク感、澱や花、ドサージュの少なさからくるドライ感がある。この透明感のおかげで、瓶内二次発酵のニュアンスやテロワールを想起させてくれるようなチョークのニュアンスがより鮮明に感じられる。
 
よく冷涼さを売りにしたレモン様の果実感と尖った酸味のスパークリングがあるが、L.B.N.のエクストラ・ブランには、そうした酸による負の印象が全くない。これはコート・ド・セザンヌの中でも、南東向きの斜面のものを用いていることに由来するのかもしれない。熟し方が健全で、良質なブドウを用いていることが十分に伺える。
 
ドライすぎず、酸っぱ過ぎず、透明感がありながら、シャンパーニュらしい二次発酵とチョークのニュアンスがあるこのワインは、繊細な料理にも合わせることができるだけのピュアさがある。
 
コート・ブランシュ
シャルドネ100%(ベースは2018年、リザーブ25%)
ドサージュ:8g/l
 
こちらは先程のエクストラ・ブランに、よりドサージュによる膨らみと口当たりの良さが加わり、奥行きを感じさせてくれる味わいだ。ベースワインの違いからか、カリンやハチミツのような熟したニュアンスも感じられる。膨らみがある分、飲みごたえもあり満足感が高い。そして、こちらもやはりピュアさがある。
 
スタンダードでありながら、コート・ド・セザンヌのテロワールを十分に感じさせてくれる。シャンパーニュの他の地域と違い、コート・ド・セザンヌのシャルドネはどんなニュアンスがあるのかというのを知るのに最適だ。
 
 
コート・ロゼ
シャルドネ51%、ピノ・ノワール34%、ピノ・ノワールの赤ワイン15%
ドサージュ:6g/l
 
このロゼは、ブレンドを見ても分かるように赤ワインがブレンドされている点が、そのまま味わいと個性に繋がっている。一口飲んだ瞬間に、季節柄もあり鱧が食べたくなってしまった。赤ワインの持つチェリーや紫蘇、梅のようなキュッとしたチャーミングな香りと味わいが魅力的で、唯一無二のロゼだ。
 
 
ラ・クロワゼ・デ・シュマン
シャルドネ75%、ピノ・ノワール25%(ベースは2016年、リザーブ70%)
ドサージュ:4g/l
 
より区画を厳選し、コルク栓で瓶内二次発酵を行うなどしたクラフトマンシップが現れたシャンパーニュ。リザーブは2009年からソレラのようにして用いられているものが加えられている。そのニュアンスが大きく出ており、コート・ド・セザンヌのテロワールを表現した「コート」シリーズとは異なる印象を感じる。よりシリアスさがあり、丁寧な仕事が伺える完成度がある。
 
 
ドゥーブル オートリーズ
シャルドネ100%
ドサージュ:6g/l
 
Autolyseの名の通り、長期熟成により旨味がより際立ったシャンパーニュ。2010年をベースに10年を超える熟成が行われている。旨味が強い分、今まで感じなかった塩気のようなニュアンスがはっきりと感じ取れる。樽発酵のニュアンスなのか、ほのかにポジティブに酸化したようなコクと奥行きがあり、加えて澱由来の味わい深さが口いっぱいに広がる。
 
 
オートリーズ ノワール&ブラン
ピノ・ノワール80%、シャルドネ20%
 
シャルドネのオートリーズと比べると一目瞭然、黒ブドウならではのふくらみとは何なのかがよく分かるシャンパーニュ。このシリーズの面白さは、この主体とするブドウの差をマリアージュに用いるとより分かりやすいのではないかと感じる。こちらも10年を超える熟成が行われており、アフターにまで旨味を長く感じることができる。それでありながら、一貫してL.B.N.がもつピュアさも感じることができる。
 
 
今回、来日に際し元麻布にある「天 よこた」にて天ぷらとシャンパーニュのマリアージュが披露された。天ぷらのように、素材そのものの良さが引き立つ料理でも、幅広いスタイルを持つL.B.N.はその魅力を発揮しつつ、料理そのものも引き立てていた。ソムリエの方にはもちろんだが、料理人の方にこそ試して欲しい、ガストロノミックなシャンパーニュであると感じた。是非、L.B.N.を通じて、コート・ド・セザンヌの魅力を味わって欲しい。

担当:小川

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