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Vol.4 「器」使いがきらりと光る店 Vol.4 蕎麦屋 山都

地元の人たちと育んだ唯一無二の個性を放つ蕎麦屋

【月刊HOTERES 2016年01月号】
2016年01月08日(金)
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イチオシのこってりせいろ蕎麦を中心に、ポテトサラダやちくわの磯辺揚げなど酒飲みにはうれしいメニューがたくさん

東京渋谷区の代々木上原駅から井の頭通りに出た坂の途中、ビルの1 階の少し奥まったところに、一際大きなのれんがかかっているのが、「蕎麦屋 山都」。駅前商店街から少し離れた場所ながら、今や地域を代表する人気店だ。


フルオープンキッチンでライブ感を演出

蕎麦屋 山都
〒151-0064
東京都渋谷区上原3-1-17
Ideerroom 上原101
TEL / FAX 03-3466-3200
営業時間
平日18:00 ~ 24:00(L.O. 23:00)
土日12:00 ~ 14:30(L.O. 14:00)
17:30 ~ 22:30(L.O. 21:30)
定休日 火曜日
総席数 38 席


蕎麦屋 山都 店長 渡邊太一氏

地元とのつながりを基本に
育まれた個性
 
東京渋谷区の代々木上原地区は、足元に渋谷や代々木を望む高台にある都内屈指の高級住宅街。大通りに面したビルの、一見すると飲食店があるとは思えない場所の1 階に「蕎麦屋 山都」は店を構える。この地に開店して12 年、今や地元の人はもちろん、同店を目当てに訪れる客も徐々に増えてきたという。
 
「最初は普通の蕎麦屋としてスタートして、お酒を飲みながらゆっくりと蕎麦を楽しんで欲しいという思いから、少しずつ和食の技術や要素を取り入れて、メニューを増やしていった結果、現在のようなスタイルとなりました。長い時間をかけてようやく理想形にたどり着いた感じです。とはいえ、もちろん完成形ではなく現在も少しずつ変化を続けています」と同店の店長、渡邊太一氏は語る。通常、蕎麦屋というと壁一面にお品書きが張ってあるというイメージだが、同店の壁の場合、張ってあるのはおススメのお酒のメニューばかり。しかも壁はコンクリートブロックむき出し。確かに普通の蕎麦屋とは一線を画すたたずまいだ。
 
玄関先には屋号をあしらった大きなのれんがかかっており、一見すると高級店のような印象を与えるが、それをくぐるとシンプルで入りやすい入り口が現れる。程よい明るさの店内には、相席を基本とした大きなテーブルが数卓配置されている。
 
「相席でそばを肴に一杯やる時に、自然と知らない同士に会話が生まれる、みたいなシーンを演出しています。とはいえ、昼時の蕎麦屋の相席とは違って、それぞれの距離をゆったりととれるよう大き目なデザインにしています」(渡邊店長)

現状に満足しないメニューづくり
 
もちろんメニューでもいわゆる普通の「蕎麦屋」とは少し違うアプローチを展開している。例えば、同店の人気メニューである「こってりせいろ」は、そばだしに豚の背あぶらやざっくり切った長ねぎ、仕上げに黒こしょうをあしらって、温かいつゆで冷たいそばをいただくもの。蕎麦とだしの絡み具合がこれまでにないほど滑らかで絶妙な一品だ。その一方で厚焼き玉子やちくわの磯辺揚げなど外してはいけないメニューをきちんと押さえているところが何とも秀逸。「例えば、蕎麦屋の天ぷらと言えば、盛り合わせが基本ですが、当店では単品で注文ができます。もちろん油も素材もこだわって、天ぷら屋にも負けない物を提供しています」と渡邊店長は胸を張る。「12 年かけて今の基本メニューが完成し、それに日替わりが20くらい加わります。お客さまにこれからもずっと楽しんでもらうために変わり続けるということが重要だと考えています」(渡邊店長)。
 
自慢の料理を盛り付ける器でも楽しめるのが同店ならでは。例えば蕎麦猪口だが、店内の壁に大きく掲げてある漢詩の文言を一つ一つ手書きで書かれており、一つとして同じものがないそうだ。
「蕎麦つゆのとっくりにしても一つ一つ形が違っていたりと、料理だけでなく、器からもぬくもりを感じるものを選んでいます。お客さまに器の良さが伝わればいいなと思っています」と渡邊店長は笑う。


店内の壁に大きく掲げてある漢詩の文言を一つ一つ手書きで書かれている蕎麦猪口

代々木上原発「蕎麦屋 山都」をほかの町でも
 
そんな同店が大切にしているのが、地元に愛される店づくりだという。「店の知名度が上がってはきましたが、今でも6割以上が地元の方々です。使ってもらうシーンも幅広く、普通のお蕎麦屋さんのように家族で来て、食事を楽しんで帰るみたいなお客さまにも多くご利用いただいています」と、渡邊氏は現在の状況を教えてくれた。「代々木上原という町に長い時間をかけて溶け込んできました。決して平たんな道のりではありませんでしたが、とても楽しいチャレンジでした。今後も引き続きお客さまに楽しんでもらえるようチャレンジを続けていきたいと思っています」と渡邊店長は決意を新たにする。
 
現在は自慢の「だしつゆ」の改良に着手し、試行錯誤の毎日だという。今後は別の町でまたその町に愛される「蕎麦屋 山都」をやってみたいと語る渡邊店長。今度はどの町で「蕎麦屋 山都」に出会えるのだろうか。

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