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第六回 オンリーワンの宿つくり 

第六回「錦水館」 5代目社長の発想力と行動力がけん引する繁盛旅館

【月刊HOTERES 2016年02月号】
2016年02月05日(金)
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錦水館は、フェリー乗り場から厳島神社に向かうちょうど中間に位置している。宮島に来た観光客の全員が錦水館の脇を通過していると言っても過言ではない好立地である

倒産や廃業で軒数が減り続ける旅館業界の中にも、きらりと輝く個性を持ち、まっとうな経営を行なっている宿がある。本連載は、旅館総合研究所の重松所長が、自身の目で優れた宿を厳選し、取材し、写真と文章で紹介する連載企画。第六回は、広島・宮島にある「錦水館」。五代目の社長である武内恒則氏(愛称トニーさん)が、氏の経営手腕を思う存分発揮している繁盛旅館。さまざまなオンリーワン商品を開発し、エクスペリエンス・マーケティングによって実に巧みに訴求されている。

宮島名物「穴子飯」は、競合店のすべてが「焼き穴子」で提供しているのに対し、錦水館だけは「蒸しアナゴ」で提供し、差別化を図っている
社長発案の大ヒット企画「世界遺産ウエディング」では、歌舞伎の「おねり」から発想し、結婚式の行列の先頭にカップルを乗せた人力車を走らせた

 世界文化遺産に登録され、連日海外からの観光客が押し寄せる人気観光地になっている広島県・宮島。ここに錦水館という繁盛旅館がある。ただし、世界遺産やインバウンド客増という外的要因だけで繁盛しているのではない。繁盛の理由は、錦水館の“ まっとうな経営姿勢” と“ お客さまを喜ばせる発想力” にあるのだ。

名物社長の代わりとなるヒト型のボードを設置し、社長不在時にも、お客さまが社長と一緒に記念設営できるようになっている。「錦水館=名物社長」という売り方を、堂々と行なっている
錦水館のスタッフは、皆生き生きと、楽しそうに働いている

 ポイントは、大きく分けて五つある。
 一つは、訴求力。「エクスぺリエンス・マーケティング」という、「モノ」ではなく「体験」を売るマーケティング手法をフルに活用し、集客に成功している。冊子やソーシャルメディアによる情報発信にも力を注ぎ、奏功している。


錦水館の裏手、表参道商店街に面した路面に料理店「まめたぬき」を開業。アナゴやカキなどの名物料理や広島の地酒を提供したところ、繁盛店に。宮島では珍しく23 時まで営業しているために、夜遅くまで外国人のお客さまなどでにぎわっている

 二つ目は、全社員への事業計画書の公開。その期のマーケティングプランや中期計画、売り上げ・利益目標、部門別の目標予算のPL など、普通は経営幹部にしか開示しない経営情報もすべて全社員に伝えることによって、会社が進むべきベクトル合わせをしている。 三つ目は、自社のオリジナル商品の開発。宿の料理で使っている「すだち醤油」、広島牛で作った「牛まん」、宮島の名物の穴子の名前をつけた「穴子まん」といったオンリーワンの商品を開発し販売している。

自社オリジナル商品である広島牛で作った「牛まん」(450 円)
写真手前が饅頭店。奥が「まめたぬき」。宮島で最も交通量の多い好立地だ

  四つ目は、「世界遺産ウエディング」。なんと、厳島神社で式を挙げるカップルの半数以上が錦水館で披露宴を行なう。式を執り行なえないカップルには、「ロケ婚」というサービスを提供している。結婚をされたカップルのハレの姿を宮島で撮影し、アルバムにして渡すサービスだ。


「宮島挙式案内所」という名称の婚礼サロン。宮島の婚礼マーケットで独り勝ちしている

  四つ目は、「世界遺産ウエディング」。なんと、厳島神社で式を挙げるカップルの半数以上が錦水館で披露宴を行なう。式を執り行なえないカップルには、「ロケ婚」というサービスを提供している。結婚をされたカップルのハレの姿を宮島で撮影し、アルバムにして渡すサービスだ。


旅館裏手の販売店。「牛まん」と「穴子まん」合わせて、月平均1万個売れるヒット商品になっている

 五つ目は、自館のUSP(強み)とお客さまのインテント(旅行の目的・意図)をきちんと把握したうえで企画する宿泊プランづくりだ。
 


BookCafe。武内社長が収集した宮島に関する書籍から観光情報誌まで、フリードリンクを楽しみながら好きなだけ読むことができる

 このように、旅館経営を抜かりなく、巧みにコツコツと行なうことで、成功している。
 錦水館には、旅館経営の参考になる取り組みやアイデアが満載だ。

部屋のコンセプトからネーミングを決めている。「オトナの休日」という客室には、窓に面してカウンター席が設けられ、時間を忘れて海を眺めることができる。左手には厳島神社の大鳥居も見える
客室「楽座」。街側に面している不利な位置にある客室ながら、「落ち着きのあるお部屋から、町屋の景色、山々の木々の色づきや表参道商店街のにぎわいなどの風情を感じます」とうたい、マイナスイメージを払しょくし魅力を訴求している

  そのほか、本誌では㈱錦水館 代表取締役社長の竹内恒則氏のインタビューと旅館総合研究所所長の重松正弥氏の分析が掲載されています。詳細は本誌をお買い上げいただくか、電子版にご登録ください。
 
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