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Vol. 6 「器」使いがきらりと光る店 Vol. 6 「めしと汁 といろ」

お米のおいしさと安全・安心の和食

【月刊HOTERES 2016年03月号】
2016年03月11日(金)
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㈱創徳 代表取締役 亀田雅彦氏

 
「釜炊きのごはん」のおいしさを存分に伝えたい
 
東京目黒区の中目黒駅前、大型オフィスビル「中目黒GT タワー」の脇を抜けるとすぐ「中目黒銀座商店街」の入り口が現れる。全長900 mにも及ぶこの商店街には、新旧さまざまな店が立ち並ぶ。「めしと汁 といろ」は、この商店街を1 本裏手に入った場所にある。おおよそ飲食店があるとは思えない、住宅が込み入った細い路地には、お昼時ともなれば、同店に訪れる人たちの列が続くという。
 
「もともと中目黒が地元だったということもありますが、11 年前に『いふう』という和食の店を中目黒駅のガード下で始めたのがそもそものご縁ですね」と「といろ」をこの地で開店した経緯を語ってくれるのは、同店のオーナーシェフ(板長)の亀田雅彦氏。その後「いふう」は中目黒駅の再開発に伴い、中目黒銀座商店街近くに移転、さらに「といろ」を開店したのが4年ほど前になる。
 
「おいしく『釜炊きのごはん』を食べられる店が意外とないなぁと思ったのがきっかけでした。ちょうど『和食』がブームとなっていた頃で、その文化の底辺を支えるのはやはり『ごはん屋』だろうと考え、徹底的に『釜炊きのごはん』にこだわった店をやろうと始めたのがこの店です」と亀田氏は振り返る。「もともと、週に一度は『和食』を楽しんでもらいたいと思い『、いふう』では高くてもコースで6000 円に料金設定しています。ごはん屋の『といろ』と併せてトータルで自分の考える『和食』が完成すると考えています」(亀田氏)。
 
ごはんのおかずを自分で選ぶ
「十人十色」の組み合わせ
 
「といろ」には一般のごはん屋のように定食メニューではなく、ごはんとみそ汁のセットを基本に、煮物、焼き物、揚げ物、お総菜の中から食べたいものを選んで注文してもらう方式になっている。それについて亀田氏は「定食みたいにメインを一品、サラダにお総菜に漬物…のようなパターンで決まったものを出すのではなく、自由におかずを選ぶ楽しさを提供したくて今のやり方にしました」とその理由を説明する。「もちろん組み合わせも自由。例えば、メインのおかずを二品にするとか野菜のおかずだけ選ぶとか、極端な話、漬物とご飯にみそ汁だけでもいいと思っています。ごはんはおかわり自由なので、食べたいものを好きなだけ食べて欲しいです」(亀田氏)。
 
もちろん「ごはん」や「みそ汁」に対するこだわりも一筋縄ではいかない。「お米」は時期によって産地や品種を変え、「ごはん」はすべて羽釜で炊き上げ、必ず炊き立てを提供する。それは一杯目もおかわりのときも同様。「みそ」もだしと具材に合わせて、全国各地のみそを使い分け、「みそ汁」の作り置きは一切せず、その都度作りたての、いわゆる「煮え花」が開いた、最も香りが立つ状態で出すという徹底ぶりだ。
 
そんな亀田氏に、料理と器の関係について尋ねると「和食では料理の数だけ器が必要だし、食べるときに、器が直接口に触れるものも多い。器から料理の温かみが伝わらなければ、料理の魅力も伝わないので、本当に重要だと思っています。器はこだわるほどに料理も華やかになるので、もっといろいろ挑戦していきたいと思っています」


ごはんは全て羽釜で炊き上げ、炊き立てを提供

おいしいだけではない安心安全な和食を提供し続けたい
 
亀田氏としては、現在昼のみの営業となっている同店を、夜まで通しで食事が食べられる店にしていきたいと考えているそうだが、皮肉にも料理に対する同氏の徹底したこだわりが邪魔をしてしまっている面もあるという。
 
「単においしいだけなら、正直科学技術でいくらでも工夫ができます。でも素材の部分から手を抜かずに安全で安心して食べられるものを提供するには、手間と技術を惜しみなくつぎ込まなければならない。例えば『ごはん』を炊くにしても、品種や産地、生育状態によって、とぎ方から吸水時間、炊飯時間まで変わってくる。あるいは『みそ汁』も具材もスープと一緒に飲むものと考え、小さめにして、かつそれぞれに下味をつけ、お客さまに出すときには香りづけを施すなどやり出したら本当にきりがない。こんなやり方をしていたら、正直体がいくつあっても足りません」と亀田氏は苦笑する。とはいえ、おいしくて、安全・安心なごはんを提供するためには決して手を抜けない。ここは亀田氏をサポートするスタッフのさらなるスキルアップに期待したい。「この店を、夜に女性が一人で仕事帰りに気軽に立ち寄れて、しかもお酒を飲まなくてもちゃんとした食事ができるようにしたいと考えています」と話す亀田氏。今日もスタッフとともに奮闘中だ。

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