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第213 回 北村剛史  新しい視点 「ホテルの価値」向上理論 〜ホテルのシステム思考〜 

第213 回『多く見られるホテルサービスの落とし穴』

【月刊HOTERES 2016年04月号】
2016年04月01日(金)
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北村剛史
Takeshi Kitamura
㈱ホテル格付研究所 代表取締役所長
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士、MAI( 米国不動産鑑定士 )
MRICS(英国王室認定チャータードサーベイヤーズ)
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である㈱日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事

 
 前回は、ホテルインスペクションの提供機能についてまとめました。今回は、これまで行なってまいりましたホテル調査において、比較的多く見られた課題点について、いくつかご紹介したいと思います。
 
 一つには、朝食会場に関する調査項目が挙げられます。仮にチェックイン後、客室等において顧客の事前期待を裏切られてしまう場合であっても、最後に体験する朝食においてホテル側の心のこもったおもてなしが感じられる場合には最終的に大きく印象が良くなることがあります。弊社が調査した顧客調査においても、最も顧客の事前期待値が高い場所が客室およびバスルームであり、それらに次いで、ロビー・フロントと同列で朝食の良しあしに大きな期待が集まっています。朝食では、朝食会場の清潔感や快適性等ハードウェアとしての質感のほか、メニュー構成や料理内容といったサービス、また下げ膳対応やエントランスでのあいさつ等スタッフとの接遇場面を通じて、朝食ではホテルのハード、ソフト、ヒューマンという3 要素が凝縮しています。つまり、3 要素を通じて良い印象を与えることで、その効果を大きくしているのでしょう。朝食会場では、宿泊特化型ホテルでは特に、席数は十分に設置されているものの、テーブル数が不足しているケースも多く見られます。例えば、ランチやディナー対応用に4 人席テーブルが多く設けられており、席数では収容人数の20%相当数を確保しているのに、テーブル数では室数の10% 相当数にしか満たないような場合では、朝食では使用されていない席が散見されるものの、テーブルでは満席となっていることがあります。また、朝食会場における照度は、清潔感や料理の見栄え等を含めハードウェアの質感に大きな影響を与えます。開口部が小さいために採光が弱いような場合、照明等により十分な照度を確保しておかないと、すがすがしい朝というより、どんよりした印象を与えてしまいます。また、待ち時間が生じると顧客に大きな心理的ストレスを与えてしまいます(これはフロントチェックイン、エレベーターホールも同様)。例えば、ご飯やみそ汁等多くの顧客が集中するスペースで列が生じていないか、万一列が自然に生じている場合にはスタッフがサポートする等の対策が必要となります。人の行動はその人の環境の影響を強く受けますので、自然と列を生じさせるような料理陳列になっていないかについても確認が必要です。その他朝食では、ビュッフェボードに料理がこぼれ落ちている、ほとんどなくなった盛り皿がそのままになっている、御膳でビュッフェを回るのに盛り皿前に御膳を置くスペースが設けられていない等、顧客配慮が不十分という印象を与えているケースが多く見られます。

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