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インタビュー:㈱カゲン 代表取締役 中村 悌二氏、㈱CITABRIA 女将 石田 弘子氏

訪日外客数増加で求められる 外食産業の分煙・喫煙環境の多様性

【月刊HOTERES 2016年06月号】
2016年06月17日(金)
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「爆買い」から「理性的な“ コト” 消費」へ。昨今、日本の観光市場の様相をすっかり変えてしまった中国を筆頭とするアジア圏からのインバウンド需要に変化が起きている。欧米諸国からの訪日観光客たちにおいても「“ コト” 消費」への需要は高い。それら体験の中で“ グルメ体験” は高い要望を得ている今、外食産業が直面する「分煙・喫煙環境」の局面もサードウェーブの時代に突入している。そこで今回は新しい「分煙・喫煙環境」をどう考えるかについて取り上げる。
 
最近、銀座という街について「今の銀座は日本ではない」という形容をよく聞く。これは昨今のインバウンドによる外国人観光客増加を最も象徴する表現ではないかと思う。街中で耳にするのは中国語に韓国語、英語といった多種多様な外国語であり、商業施設にはインバウンド対応向けのガイドや通訳の存在がマストとなっている。また彼らをマーケットとした大型のDUTYFREE だけでも3店舗、小規模なものに関しては日々増え続けていると言っても過言ではないほどの増加を見せている。目貫通りには夕方になると外国人観光客をピックアップする大型観光バスがまるでバスターミナルのごとくに並ぶ。事実、日本政府観光局の発表によると、2015 年度の訪日外客数は累計1973 万7000 人(前年比43.4%増)と2020 年を見据え掲げられていた訪日外客数目標2000 万人に大きく迫り、2016 年度にもその目標は達成される予想だ。2020 年度の達成目標も4000 万人と2 倍になり、今後ますます訪日外客数の増加が見込まれている。また日本人による国内旅行も増加の傾向を見せている。その中で注目なのが“爆買い”というキーワードのもと、ショッピングツアーがメインだった中国圏からの観光客の旅行趣向の変化だ。時代は“物”から“事”への消費へ。中でも特に顕著なのが“グルメ大国日本”への期待だ。一例を挙げれば台湾からの東京3 ツ星店ツアーは5 日間の日程で30 万円から50 万円という旅行予算にもかかわらず、募集と共に席が埋まり、多いときには月に4回開催される人気ぶりだ。このように日本への旅行目的におけるグルメ探訪の比重が高まる今日、外食産業の担う役割は大きい。
 
そこで今一度、考えたいのが喫煙、分煙環境の是非、そして在り方についてである。
 
過去の本誌調べでは予想を大きく超え、日本を訪れる多くの外国人観光客は喫煙環境を望んでいるという結果を得た。特に訪日外客数の多くを占める中国圏からの観光客の喫煙環境に対する要望は高い。また欧米諸国からの観光客による要望も決して少なくはない。さらに日本の喫煙環境に対する評価はおのおのの観光客の自国のそれと比較した場合に往々にして高く、顧客満足度にもつながっていることが分かった。唯一、日本の喫煙環境に対する不満として浮上したのはサインの不備、不便さであり、禁煙環境の確保については特に要望、不満の声はなかった。近年、とかく禁煙環境の整備に走りがちな外食産業の施設整備ではあるが、これらの声からも分かるように今後のグローバル化を考えた場合には禁煙環境の整備よりも喫煙スペースの確保の方が店舗経営の繁栄に大きく貢献することは予想に難くない。

特に昨今の旅行目的ともなっている高級業態における喫煙、分煙対策は早急に対応するべき課題だと言えよう。
 
しかし現状の環境に新たな設備を設置することは資金面などの問題が浮上することも事実だ。そういった懸念事項に対応するべく、2015 年度から東京都では飲食店および宿泊施設を対象とした分煙環境整備に対する補助金も交付されており、経営者の負担を軽減する施策も行なわれている。実際にこの制度を導入した品川プリンスホテルなどはインバウンド対応に大きな効果を得ているという。さらにホテルのような大型施設ではなく、小型の店舗でも空調やミストなど分煙ソリューションを導入することで分煙環境を整備し、顧客獲得の増加につなげている店舗も多数ある。昨年度開始された東京都の取り組みである「外国人旅行者の受入れに向けた宿泊・飲食施設の分煙環境整備補助金」は本年度も施行されている。都内で宿泊、飲食の経営をされる経営者には要確認の助成金制度だ。
 
次に喫煙、分煙に関する本傾向は訪日外客に特に人気の京都をはじめとする関西地区および飛田、金沢、北海道、沖縄といった地方人気観光都市で事業を行なう方々に分煙環境の価値と取り組みに意識を向ける機会としていただきたい。これら地域は喫煙率の高いアジア圏からの観光客はもちろんのこと、昨今では欧米からの観光客の増加も著しく、宿泊および飲食店も増加傾向にある上、外資系企業の上陸計画も数多くあることから、近い未来に向けた差別化においても喫煙環境および分煙環境の整備は必ずやその一助となることが期待される。特に過去あまり導入事例を見ない分煙環境の整備はこれらインバウンド需要のみならず、国内旅行における日本人観光客のニーズにもかなうことから早急な検討、対応が企業としての勝ち残りに大きく貢献するとも言える。特に外国人観光客の観光目的であるグルメと共に上位にランキングされる温泉を有する地域においては必要不可欠な検討要素であると言えよう。
 

要は“吸う人にも吸わない人にも心地よい環境”の提供が今後、都心のみならず、日本という観光立国津々浦々にある宿泊および飲食店すべての経営を成功に導くカギの一つになるということだ。
 
そこで問題となるのがいったいどのような対策があり、何を施すことが有用なのか? そしてどのようにそれを店舗運営に織り込んでいけばよいのかという点だ。そこで次ページでは日本のみならず、海外でもその実力を認められ、高い評価を得ている株式会社カゲン代表取締役・中村悌二氏と株式会CITABRIA 女将・石田 弘子氏にご登場いただき、各社どのように喫煙・分煙環境に取り組み、また対策をされているかについて語っていただく。

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