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第256 回 北村剛史  新しい視点 「ホテルの価値」向上理論 〜ホテルのシステム思考〜

第256 回『スターカテゴリー別ロケーション要素』

【月刊HOTERES 2017年03月号】
2017年03月10日(金)
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なお、以下ではスターカテゴリーについて、下記定義を前提としています。1 スター:リミテッドサービスあるいはエコノミークラスと言われるカテゴリーに相当し、おおむね清潔感、居住性を確保しており安心して宿泊ができる施設。2 スター:ミッドスケールホテルと言われるカテゴリーに相当し、宿泊機能においては高いレベルの清潔感、機能性、安全性、おおむね快適な空間を提供し、アットホームなサービスが提供されている宿泊施設。3 スター:アップスケールホテルと言われるカテゴリーに相当し、幅広いサービスや機能を提供し、おおむね細部に至るまで高いレベルで快適性、丁寧なサービスが提供されている宿泊施設。4 スター:アッパーアップスケールホテルと言われるカテゴリーに相当し、おおむねハードウエア、ソフトウエアが調和しており、ステータス性も感じられ、また、高いレベルで機能性、快適性が確保され、顧客視点や顧客配慮が提供されパーソナルサービスが期待できる宿泊施設。5 スター:ラグジュアリーホテルと言われるカテゴリーに相当し、意匠性や審美性にも優れ、顧客視点に基づく共感性を伴う積極的接遇が実践されており、ハイレベルな「おもてなし」が用意されかつ顧客のシーンメイク力に優れるトップクラスの宿泊施設。
 
 顧客が宿泊するホテルを決める際に用いる判断基準について調査した際、最も多くの人が重視していたのが「値段」でした。それに次いでほかの口コミ、レビュー評価やブランド等よりも重視されていたのが「立地」でした。
 
 さらに、スターカテゴリー別の料金帯調査では、1 スターの平均値で約7930 円/室、2 スターで約9995 円/室、3 スターで約1 万2645 円/室であり、㎡当たり1 万円、つまり1スター(10㎡台※ここで仮に10㎡とします)、2 スター(20㎡)、3 スター(30㎡)とし、それぞれ1 万円/室、2 万円/室、3 万円/室と「需要者側価格」として感じとっている需要者層がどれほどいるのかを見てみますと、1 スターで1 万円/室前後(7000 円~ 1 万3000 円)と答えた人の比率が26%、2 スターで2 万円/室前後と答えた人の比率が約4%、3 スターで3 万円/室と答えた人の比率が約3%という結果でした。需要者価格帯には大きなバラツキが見られ、適正料金を見極めるためにはそれぞれのホテルカテゴリーにふさわしいロケーションであることが求められることがうかがえます。各スターカテゴリー別にふさわしいロケーションをそれらのターゲット顧客層および当該顧客層の事前感情より推測してみますと、おおむね以下のように整理できます。
 
◦ 2 スター:眺望が良いこと、観光ルートの利便性が高いこと、観光地から近いこと等
 
(顧客の前提感情:ワクワク等)
◦ 3 スター:ターミナル駅前であること(顧客の前提感情:緊張等)
◦ 4 スター:繫華性やランドマーク性が高いこと(顧客の前提感情:エキサイティング等)
◦ 5 スター:顧客は「余裕」がある顧客層であり、環境を買いに来ている(顧客の前提感情:リラックス等)ものと思われることから、高いランドマーク性、文化的価値、ブランド合致した地域特性、その他非日常性等が見込まれること。その他ブランドとしてそのロケーションを選択した必然性があること。
 
◦ 1 スター:1 スタークラスについては、出張者によるビジネス目的での宿泊地について、ターミナル駅と出張目的地が目的地の最寄り駅付近という二つのロケーションを比較して、どちらのロケーションが選好されるのか調査した結果をご紹介します(全国の男女200 名に対するインターネットアンケート調査、2016 年12 月)。
 
 まず、ターミナル駅から1 回、鉄道路線を乗り換える必要がある場合を想定した場合であれば、回答者の46%が、目的地に近いロケーションを選択していますが、路線を2 回乗り継ぐ必要がある場合には、その比率が59.5%と大きく上昇しています。
 
 また、ターミナル駅からの距離で見た場合、10 分を超える場合で51.5%、30 分を超える場合で63%、50 分を超える場合で66.5%と、10 分を超えれば過半数から目的地に近いロケーションが選択される傾向がうかがえます。
 
 このように、駅路線で2 路線を乗り継ぐ場合、あるいはターミナル駅からの時間距離で10 分を超えるような場合には過半数の人が目的地に近いロケーションを選好する傾向を有している様子がうかがえます。
 
 ここでビジネス出張者を主要ターゲットとする1 スタークラスを考えますと、前記調査のとおり、ターミナル駅から2 路線以上、あるいは10 分以上の時間距離に所在し、工場等の需要源があるような場合には、最寄り駅に近いロケーションが選定される傾向があるほか、逆にターミナル駅から2 路線未満でかつ10 分以内の時間距離にある場合には、ターミナル駅を選好する傾向がうかがえます。逆に言えば、目的地まで2 路線未満の乗り換えかつ、時間距離で10 分未満であれば、ターミナル駅が選好されやすく、ターミナル駅周辺ホテルマーケットの背後商圏と考えることができます。
 

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