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第十講 「料理人の教育論」  第十講  日本ホテル㈱ 東京ステーションホテル 総料理長 石原 雅弘 氏

心があって、想いがあって、正直である。料理人に求められるのはこの三つ。

【月刊HOTERES 2017年08月号】
2017年08月24日(木)
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さまざまな料理人がいる中で、一人一人が持つ苦悩と挑戦の数々の物語がある。ホテル・レストランの総料理長が食の業界や若手の料理人に向けて伝えたいことは何か。これまでの長い経験の中で、どのようなことに悩み、どのようなことを考え、どのようにチームを創り上げてきたのか。インタビューを通じて後継者育成に向けた取り組み、マネージメント手法などを探るシリーズ「料理人の教育論」を隔週連載でお届けする。


日本ホテル㈱ 東京ステーションホテル 総料理長 石原 雅弘 氏

 
石原雅弘(いしはら・まさひろ)
1963 年千葉県生まれ。88 年ホテルエドモント(現ホテルメトロポリタン エドモント)入社。99 年同ホテルのフレンチレストラン「フォーグレイン」の料理長就任。
2007 年渡仏、ミシュランのレストランで修行。08 年「北海道洞爺湖サミット」晩餐会に、中村勝宏氏の指揮のもと、料理スタッフとして参加。09 年ケアフードのフルコース「Menu de Naturel」を考案。新聞、テレビ、ラジオなどの各種メディアに多数紹介される。11 年東京ステーションホテル開業準備室で総料理長として着任。レストラン「ブラン ルージュ」をはじめ、「ロビーラウンジ」、バー&カフェ「カメリア」、バー「オーク」など、直営の飲食施設の料理コンセプト、メニュー考案に携わっている。
 

 
定期的に職場を変えていくことで
さまざまな調理の仕事を経験させる
 
—2012 年10 月に東京ステーションホテルがリニューアルオープンしてから間もなく丸5年を迎えます。これまでのレストランの業績の推移はいかがでしたか。
 
どのホテルでも、はじめのうちはオープン景気があるものです。当初は東京ステーションホテルでも「半年もすればオープン景気は落ち着くだろう」と予測していたのですが、いい意味でその予測は覆されました。おかげさまで1年半ほどの間はランチ、ディナーともに満席で、ご予約が難しい状況が続きました。そのためスタッフも大変な想いをしましたが、その経験を通じて一気に力がつき、チームワークもよくなったと感じています。
 
その後もまるで木が年々成長し、幹が少しずつ太くなっていくような「年輪経営」によって、ビジネスは着実に広がりを見せています。
 
—人材育成、チームづくりにおけるコンセプトを教えてください。
 
人材育成に関する東京ステーションホテル調理部の大きな特徴は、スタッフをホテル内で定期的に異動させる点です。
 
一般的には、組織が大きくなればなるほど効率化を求めてスペシャリストをつくる仕組みを構築していく傾向にあります。簡単に言うと、宴会用のスモークサーモンだけを10 年間切り続けている人がいる組織です。確かに一つの技術を覚えさせて、その仕事だけをずっと担当させていれば組織は効率よくまわっていきますし、精度も高まるでしょう。
 
ただしそのやり方には、一人のスペシャリストがいなくなったら代わりにその仕事ができる人がいないため、ビジネスそのものがまわらなくなってしまうという大きなリスクが伴います。別のやり方もあるのではと、私は若いころから感じていました。また、そういった形で仕事に取り組み続けて、納得して料理人人生を終われる人がどれだけいるのかと言えばけっして多くはないでしょう。料理人としていろいろなものをお客さまに提供して、喜んでいただきたいという気持ちを持っている人からすれば、スモークサーモンだけを切り続けて満足できるはずがありません。結局そのことが離職につながり、チームを構築できないままに進まなければならないことがあります。
 
ですから私はスペシャリストを養成するやり方によるチームづくりではなく、若い人を中心に一人のスタッフの職場を定期的に変えていく手法で人材育成していくことにしました。また、各セクションの担当シェフも、定期的に変えながら組織をまわしています。
 

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