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第9 回 湯浅 太  F&B部門の改善こそがホテル再生のカギ

独立系中小規模ホテル F&B部門再生手法 第9 回 個人顧客のセグメント化

【月刊HOTERES 2017年09月号】
2017年09月22日(金)
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来店頻度がセグメント化のキー
 個人の顧客のセグメント化にはいろいろな考え方があります。まずはインハウス客(宿泊客)かウォークイン客(外来客)に分けることができます。ではそのあと外来個人客をどのような考え方でセグメント化していくかがキーになります。それは「どのくらいの頻度でレストランを利用してもらっているか」です。一番来店頻度が高い顧客は「ファン客」、この顧客はとにかく自社のレストランをこよなく愛してくれていて浮気をしないハードユーザーです。次にファン客ほどではないがよく利用してくれる顧客は「得意客」、自社のレストランもよく利用してくれるけど、ほかのレストランにも行っている「浮遊客」、また、試しに使ってみようと思ってくれる「試用客」。このように来店頻度によってセグメントを分けることができます。順番に並べると「ファン客」「得意客」「浮遊客」「試用客」になります。一般的に【図1】のように客の数は頻度が低ければ低いほど多くなり、ファン客は一番少ないというピラミッド型になります。
 
 レストランにおける会員制度を導入していてポイントなどを付与しているホテルも多くありますが、これは会員すべてが「ファン客」や「得意客」ということではありません。この場合ポイントなどを付与する際に来店履歴が残ることから頻度基準を決めることでどのセグメント客に属するかを決めることができます。
 
ファン客、得意客こそが売上をささえる
「ファン客」「得意客」がセグメントの客数が一番少ないと言いましたが、実はこの二つに属する顧客層がもたらす売上は全体の7 割とも言われています。たとえ人数が少なくてもリピーター率が高い層のため売上により貢献してくれるのです。はやっているレストラン、もうかっているレストランの典型がこの形になっています。また、この層が下にいけばいくほど人数は多くなりますが、売上の貢献は薄れていくということになります。【図2】のように売上ベースで見ると【図1】の人数ベースのピラミッド逆転し、逆三角形のピラミッド形になります。
 
ファン客を増やすべく販促活動
 ではなぜこのようなセグメンテーションが必要なのか、それは私たちの販促活動というアクションの目的がそのセグメントによって異なるからです。当然、ファン客のシェアが多ければ多いほど理想のレストランになります。向こう3 カ月まで予約でいっぱいのレストランはこの典型です。私たちがこのようなレストランになるように目指すためにすべきことは第一に「ファン客を維持すること」、第二に「得意客をファン客に変えること」、第三に「浮遊客、試用客を得意客に変えていくこと」となります。そのためにはそれぞれの層に対しての販促活動が異なるということです。逆の言い方をするとセグメントによって販促活動のストライクゾーンが異なるということです。ハードユーザーに一般的な販促活動をしても「自分はほかの顧客と同じ扱いなのか?」と信頼関係が失われます。要はファン客を維持するための販促活動はあなただけという特別感が必要になります。また、「浮遊客・試用客」には販促活動によってリピート率を上げ、レストランへのロイヤリティを上げていく必要があります。
 
▪ ABC セグメンテーション
 先ほども述べたように会員組織があるホテル、レストランではそのリピート率、来店頻度によって順にA 客、B 客、C 客と分かりやすく分けて、いかにC 客がB 客、A 客になるための販促を行なうかです。あるレストランでこのようにセグメント分類をしたときに、A 客がなぜここにリピーターとして来られてるかアンケートをとったことがあります。一番に挙げられるのが「料理、商品の内容、質」でした。次に挙げられるのが「人」でした。スタッフの中に仲良くなってよくしてもらっている人がいるということです。そして「店の雰囲気」「景色」などが続きます。「景色」が売りのレストランは逆にファン客のシェアは低く浮遊客の層が多くなる傾向があります。このように、実際にABC のセグメンテーションを分けたときにA 顧客の方々にアンケートをとるのも有効な手段です。料理、商品のプレゼンテーションがいいのは当たり前ですが、ほかにどのようなところが気に入ってくれてリピートしてくれているのかを知ることで販促活動の内容もそのホテルレストランによって変わってくるかとも思います。料理、商品内容がいいのは当たり前ですが、「人」がいいということはそのレストランにとって大きな武器になります。「あの人がいるからこのレストランに来る」というのが多いのが実情です。従ってレストランスタッフが顧客との良い人間関係を持つことは最強の販促活動につながります。次回はそれぞれのセグメントによってどのような販促活動を行なうべきかを説明していきます。
 

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