ログイン
検索
  • TOP  > 
  • 記事一覧  > 
  • 【IR】インタビュー  成駒屋 六代目  中村児太郎氏  「歌舞伎を観てみよう」と世界中の人々が思える潮流を創っていきたい
【IR】インタビュー  成駒屋 六代目  中村児太郎氏 

「歌舞伎を観てみよう」と世界中の人々が思える潮流を創っていきたい

2017年12月08日(金)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


文化的なレベルが高い日本
日本文化に触れない日本人

□時代背景によるお客さまの変化は感じますか。


 六代目中村歌右衛門が書いた手記の中に、「私の父と同じように演じても、今のお客さまには伝わらないかもしれない」という主旨の記述があります。数十年前に大叔父は感じていたのです。

「菅原伝授手習鑑」「義経千本桜」「仮名手本忠臣蔵」が三大歌舞伎と呼ばれていますが、その大もとである藤原道真、源義経、赤穂浪士のことを知らない人たちが増えてしまった今の時代にあっては、なおのこと伝わりにくくなりました。その意味では、時代は変わっていくのだと感じています。それでもなお、歌舞伎を観ていただければ今の人たちにも必ず通ずる部分はあると私は信じています。

□海外の人々に歌舞伎の魅力を知っていただくための活動について、その可能性をどのように考えていますか。

 私が大学の授業で歌舞伎を扱ったとき、留学生に「日本は文化的なレベルが高いのに、なぜ日本人は日本文化に触れずに外国文化ばかりに触れるのか」という質問を受けたことがあります。また、知り合いのヒップホップダンサーがニューヨークで「どうして日本にはカルチャーソングを使ったダンスがないのか」と問われ、「日本舞踊がある」と答えたところ、「ではなぜ君は日本舞踊をやらないのか」と言われたそうです。こうしたエピソードから、世界の人々は日本人よりも日本の文化を見ていることに私は気づきました。

「海外のお客さまを相手にするときは、こてこての古典の演目ではなく、さまざまな仕掛けや引き抜き等、派手な演出があるような作品を選ばなければなかなか見に来ていただけない」という話を先輩から聞いたことがあります。

 お客さまを掴むためにはその発想は絶対に必要だと思いますが、実践するのはとても難しいことです。海外のお客さまに合わせて、わかりやすいものばかりを演っていると、いざ古典ものを入れたとき、まったく興味を持ってもらえなくなってしまうからです。バランスを取りながら、わかりやすいものと難しいものを混ぜ合わせながら興味を喚起していく必要があるのです。

歌舞伎の本質を
守り抜くために
古典を演じ続けなければならない

□日本版IRが誕生したら、世界の人々に向けて歌舞伎を観ていただく大きな機会も創出されるのではないかと期待しています。


 そうした大きな流れがある中で、私たちも新しいものだけではなく、古き良きものを継承するための努力をしていかなければなりません。そこが最も難しいところで、自分たちの本質を忘れてしまうことが一番よくないことです。

 本質を忘れないためには古きものを守らなければなりません。ただ、時代があまりにも速く変わっているので、そこに合わせながら少しずつ考え方や嗜好を変化させなければならない側面もあります。

 ただ、歌舞伎自体を新しいものに変えてしまうのであれば、歌舞伎役者がそれを努力して演じるよりも、現代劇の役者さんが演じた方がずっと面白い作品になるでしょう。最近、先輩によく言われるのが「時代が変わるからといって、一緒に変わっていかなくてもいいよ」ということです。歌舞伎をやっている者の強みは、古典があるということです。古典としての歌舞伎を、時代とともに新しい歌舞伎役者が演じるから面白いのです。

 日本版IRや東京オリンピック・パラリンピックといった機会を通じて、国内外の多くの人々に歌舞伎を観ていただき、「面白かった。また観てみよう」と思っていただける、その潮流を創っていけたらと思います。


公演名:『十二月大歌舞伎』
日時:平成29 年12 月2 日(土)~26 日(火)
料金:1 等席15,000 円/ 2 等席11,000 円/ 3 階A 席5,000 円/ 3 階B 席3,000 円/ 1 階桟敷席17,000 円
詳細は下記参照
http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/548
中村児太郎、平成29 年10 月2 日後援会発足! 詳細はWEB「中村児太郎の会」で検索

月刊HOTERES[ホテレス]最新号
2024年03月15日号
2024年03月15日号
本体6,600円(税込)
【特集】ホテルの未来〜マネジメント人材の育て方〜
【TOP RUNNER】
デュシット・インターナショナル 京都地区エリア総統括支配人…

■業界人必読ニュース

■アクセスランキング

  • 昨日
  • 1週間
  • 1ヶ月
CLOSE