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第103回 Wプロフェッショナルズ「求められる人材を探る」

第103回  ㈱近代美術 代表取締役 大城 恵美 氏 × ㈱フェイス 代表取締役 福永 有利子 氏

【月刊HOTERES 2017年12月号】
2017年12月15日(金)
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福永 段階を追い現場を経験しながら会社経営に必要な知識を習得されてきたのですね。取締役として会社経営にかかわり、会社全体を俯瞰的に見ることでさまざまな部分が見えてきたと思いますが、その中でどのようなことを感じられましたか。

大城 印刷からWeb などサポート事業が多様化するほどに、それぞれの部門間の壁が厚くて高いことです。事業内容が異なり求められるスキルも人材も異なります。事業的には部門内で十分に達成させることができますので、部門間の壁を越えてコミュニケーションを図ることができていない状況でした。技術的にも共通する話題がありません。部門間の壁が高くなるほどに、経営側にとっては現場の声をくみ取りにくくなっていました。現場で何が起きているのか、現場は何を思っているのか、何か不満に思っていることがあるのかなど、見えないのです。まずはこの厚く高い壁を何とか取り除き、部門間を超えた活気ある雰囲気を作り出していくことが必要であると思い、社長に就任した際に、まずは自主性と部門間の壁を取り除くための改善に取り組みました。

福永 ホテル業界も然りです。それぞれの部署が目標数値を達成させることは必要なことですが、部門間が円滑に交流することでさらなるチャンスを切り開くことができます。そして何よりも友好的な交流は活気を生み出し、その空気感は自然と消費者に伝播します。

大城 部門間の壁を取り除くためには、まずは自主性を高めていくことに着手しました。これまではトップダウンの色が濃く、上司の指示に従っているというやらされ感が強かったと思います。そのため“勉強会をしましょう”といっても動きませんでした。やらされているという感覚に対して相当に嫌悪感を抱いていたのです。そこで自主的に学ぶための「学ぶ推進制度」に取り組みました。業務以外のことを学べる講習会や資格取得を自身の意志で行なえるというものです。セミナー参加費の支給や有休をとらずとも出勤扱いで受講できるようにしたり、資格取得したときには1 万円の報奨金を用意しました。セミナーや講演会などの情報も常に発信し、肩をたたいて“こんなのあるよ”と情報を伝え後押しするなど、何とか自主的に何かに取り組めるよう努めました。

福永 セミナーや講習会や資格取得など、興味や関心、チャレンジする気持ちはあっても費用のことや、日ごろの業務の関係で、なかなか実現できないのが実情です。ホテルやウエディング業界のスタッフも日々の業務に追われていることが多く、セミナーに参加できたとしても公休や終業後になってしまいます。業務として、セミナーや講習会への参加を会社として後押しする体制には、まだまだ実現できていないかもしれません。

大城 どうしても専門分野の知識に偏りがちですが、もっと見聞を広げ、専門分野であればさらに磨きをかけていくための知識の習得は欠かせません。習得するほどに業務も生かされますし、見聞を広げることで新たな企画を見出すこともできます。今後、ますます世の中の回転が速くなる中で、最先端の技術や情報を自主的に学ぶこと、学びたいと思わせることは企業成長に欠かせないことだと思います。

福永 まさにマニュアルや先輩の知識を教えるのだけではなく、もっと学びたい、もっと成長したいと思わせるためにも、奥深い専門知識や最先端の情報を修得することは必要です。ところで、部門間の壁を取り除くために、どのようなことをされたのでしょうか。

大城 今年で3 年目になりますが、全体で集まる時間と空間を作り出しました。平日は業務に追われていますので、年に5、6 回、土曜日に就業時間として集まる機会を設けたのです。始めのころはなかなか参加しませんでした。中には有休を使って休むスタッフもいました。イベント事業部はイベント前にはなかなか参加できない状況もありますが、今では180 人中、130 ~ 140 人が参加するようになりました。実施していることは、コミュニケーションを図るためのゲームなどですが、他部署のスタッフを知ることができ、回を重ねコミュニケーションが図れるようになることで、社内で会っても会話をすることができるようになり、会社に来ることの楽しさを感じていただけるようになりました。人と人との信用や信頼関係の構築につながり、以前と比較してまだまだ少しずつですが、部門間の厚く高い壁も取り除かれつつある段階です。

福永 それはとても素晴らしい試みですね。ところで、女性スタッフはどのくらいいらっしゃるのですか。

大城 全体の約20%ですが結婚を機に退職するケースは少ないです。というのは、私自身が3 人の子どもたちの子育てをしながら奮闘している姿を見て“社長を見て頑張ろう”と思っていただいているようです。初めての出産のとき女性スタッフから“産休をとってください”と言われたのです。取締役という立場のときでしたので“いいのかなぁ?”と思っていましたが、逆に会社役員がきちんと産休をとることが、女性スタッフを勇気づけていることにつながったのです。

福永 結婚や出産、育児をしながら仕事を続けていくためには、上司の理解なしではできません。女性が長く勤めていくためには、社長自らが経験者であることは、よき理解者であり、先輩としてとてもお手本になりますね。最後に今後の展望をお聞かせください。

大城 今後も職場環境改善に努め、個々の能力が一層発揮できる会社でありたいと思います。希望があれば他部署などに異動できる「明るい人事」も構し、さまざまな分野でかがやけるチャンスあふれた会社に飛躍させていきたいと思います。

福永 前社長であり、お父様が築いてきたものを改革していくことは、簡単なことではありせんが、大城社長の熱い思いと真剣な取り組みがスタッフの皆様の心を動かしているのではないでしょうか。これからも、さらなる飛躍をお祈りいたします。本日はありがとうございました。

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