マネジメントツールで責任を果たす
各種のマネジメントツールは、単に書くことが目的ではないはずです。一番の目的は、何と言ってもお客さまの満足と感動を得るためです。また同時に、食材費や人件費、それに、各経費のムダ・ムリ・ムラをなくすことで安定した運営をするためです。さらには、働く人たちがいつも安心して仕事ができるようにするためのものでもあります。そんな目的遂行のために、各種のマネジメントツールを使いこなせるようにならなくてはならないのです。
その日暮しの場当たり的な管理を続けていると、必ずおかしくなってきます。そして、最後には修正ができなくなり、荒治療をしなくてはならなくなります。そうならないためにも、マネジメントツールを活用しながら問題を解決してゆかなくてはなりません。これによって、店長や支配人のマネジメントレベルも大きく向上してくることを忘れないでください。それでは、今回はウイークリー・マネジメント・レポートについて説明します。
ウイークリー・マネジメント・レポート
Weekly Management Report
ウイークリー・マネジメント・レポートは、週間単位で業績を把握し、週間単位で問題の発見と問題の解決に当たるものです。それは、週単位での問題解決が最も効果的なマネジメントだからです。このウイークリー・マネジメント・レポートを活用するにも七つのポイントがあります。
Point.1売上高の予算と前年比を把握する、Point.2来客数の予算と前年比を把握する、Point.3 週間の労働時間(人件費)を把握する、Point.4 曜日別・時間帯別の来客数前年比を把握する、Point.5公共料金(水道光熱費)の使用量を把握する、Point.6 生産性関連の数値を把握する、そして最後のPoint.7 問題点と対策の判断を行なうことです。それでは、一つ一つ具体的に説明してゆきます。
Point1. 売上高の予算と前年比を把握する
ウイークリー・マネジメント・レポートでまず大切なことは、週間単位での売上高の予算と前年比を確実に把握することで、現時点での売上高の流れを知ることです。日々の売り上げに一喜一憂することなく、しっかりとした売上高の流れを知ることが、その後の正しい経営判断になってきます。また、週間単位で売上高の予算比と前年比の流れをグラフにし、マーキングすると自店舗の現状をより正しく把握することができます。
Point2. 来客数の予算と前年比を把握する
売上高=来客数×客単価と表すように、売上高は来客数と客単価で決まってきます。つまり、売上高を把握するということは、来客数と客単価の変化を把握するということです。また客単価は、その店の戦略的な位置づけもありますが、しかし実際にお客さまが支払った単価が、その店に対するお客さまの評価でもあるということを認識しなくてはなりません。
Point3. 週間の労働時間(人件費)を把握する
店の経費で最も大きいのが原材料費と人件費です。普通の店の場合であれば、この原材料費と人件費の合計で約60 ~ 65%です。そこで、週間単位で実労働時間と人件費を把握することで、人件費のムダ・ムラ・ムリを発見し、問題点の早期発見と早期対策を行なうのです。さらに、週単位で収支(収入+支出)が出てくるような仕組みになってくると、よりきめの細かいマネジメントが可能となってきます。
Point4. 曜日別・時間帯別の来客数前年比を把握する
次は、曜日別・時間帯別の来客数前年比です。オペレーションの問題発見は、月曜日から日曜日までの曜日別と、ランチ・アイドル・ディナー・ナイトといった時間帯別から成り立っています。そこで、曜日別に来客数の前年比を把握することで曜日ごとの大きな変化を知ることができます。また、ランチ・アイドル・ディナー・ナイトという各時間帯での来客数の前年比を把握することで、時間帯での大きな変化を知ることもできます。大切なことは、曜日と時間帯で成長傾向にあるのか、逆に、マイナス傾向になっているのかを、来客数の前年比で正しく把握することです。問題を確実に解決してゆくためには、数値と状態を正しく把握しながら、具体的な対策活動を行なってゆくしかないのです。
Point5. 公共料金(水道光熱費)の使用量を把握する
原価と人件費の次に高い経費が公共料金(水道光熱費)です。水道の出しっぱなしや電気のつけっぱなし、それにガスのムダ使いが1カ月単位になってくると大きな金額になります。あまり意識しないで日常的に使用してしまうものも、この公共料金(水道光熱費)です。そこで、1 週間単位で公共料金(水道光熱費)の使用量を把握することで、公共料金(水道光熱費)に対する問題の認識と問題の解決を図るのです。
Point6. 生産性関連の数値を把握する
売上高や来客数といった数値のほかにも、副次的な管理数値としての生産性関連の数値を持つことで経営効率面の問題点を発見することが必要です。それは、強い経営体質にするためであり、生産性を指標に営業力を高めてゆくためでもあります。
Point7. 問題点と対策の判断を行なう
ウイークリー・マネジメント・レポートは、週間単位で店を管理してゆこうというものです。つまり、週単位での問題発見と対策活動を行なうことで、問題点の早期発見と早期解決を図るものです。そこで、このウイークリー・マネジメント・レポートの締めくくりは、自店舗の問題発見と、その問題解決のための対策の判断を行なうことです。