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第105 回 ㈱Indigo Blue 柴田 励司 氏 × ㈱フェイス 福永 有利子 氏  Wプロフェッショナルズ「求められる人材を探る」

第105 回  ビジネスに想定外はない! 強いリーダーを作る修羅場・体験型セミナーなど実施

【月刊HOTERES 2018年01月号】
2018年01月19日(金)
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福永 かつては先輩からさまざまなことを学び、自ら実践してみて自分なりのやり方を作り上げてきました。ところが今は、言われたことはこなせても、言われなければ何をして良いのか分からず、特に新人は戸惑うことも多いようです。
 
柴田 私は京王プラザホテルで宴会サービスのとき、結婚式の本番でさまざまな経験をしました。ケーキ入刀のときに入刀用のナイフが用意されていないことに気づき、ナイフの代わりにバラの花を渡しケーキ入刀をしていただいたり、新婦がトイレに間に合わなかったときサービススタッフに故意にオレンジジュースをかけてもらったりなどしました。ジュースをかけてしまったときにはご両親にお叱りの言葉をいただきましたが、状況をご理解いただき感謝されるなど、とっさのときの判断力でさまざまな事態を切り抜けてきました。
 
福永 私もウエディングプランナー時代に、ウエディングケーキの注文を忘れていたことに当日に気づき、急遽、何件ものケーキ屋さんに電話をし、ケーキを調達して段重ねにしてフルーツを盛り込んでシェフに作り上げてもらった経験があります。ウエディングでは予期せぬ出来事や、失敗をリカバリーするために、即座に対応する力が必要です。さまざまなことに対して、マニュアル通りで済まされないことが多々あります。
 
柴田 企業を強くするためには、個を強くする人事が必須です。そのためには経験が70%占めます。個々の社員が自分は何をする人間なのか、より高い次元の仕事をするために何を強化すべきかを常々自覚していることです。また個を率いて組織を伸ばすリーダーの存在が不可欠です。組織を伸ばすリーダーとは一緒に働いている人、接した人の成長スイッチをON にしていくことができる人です。部下にとって誰と仕事をするのかも重要なことなのです。あとは個々の学びです。部下の能力を伸ばしていける次世代リーダーを作り上げていくために、「個が強くなる組織、人事の仕組み」「組織を伸ばす次世代リーダー育成」「次世代リーダーの選抜」により支援をしています。そのために、ヒトを中心とした組織開発・人材開発・人事制度コンサルティング事業と組織感情融合による組織競争力向上サービス、そして人材育成・実践力を身につける修羅場・体験型ケーススタディの3本柱で、三位一体となった運営を行なっています。
 
福永 修羅場・体験型ケーススタディとは、とてもユニークな育成研修ですね。
 
柴田 現実のビジネスの場で、想定外は言い訳になりません。修羅場の経験こそが生きた実践力を高めることにつながると考えています。一般的な研修には、生きた実践力を鍛える場がありません。さまざまな研修スタイルがありますが、その多くは、決められた範囲の中で実践するスタイルを取ります。対応範囲が広く、実例を題材とする事例研究は、自分のペースで組むことができます。相手があって自分だけではコントロールできないロールプレイングにおいても、その対応範囲は限られています。そのため実際に現場で起こり得る実践力を鍛える場を、一般的な研修で体験することはとても難しいのです。縦軸に「自分のペース」、横軸に「対応範囲」としたマトリックスを描くと理解できます。対応範囲として限定され、自分のペースで対応できるものは「講義」、対応範囲が限定されませんが自分のペースで対応できるのは「事例研究」、自分のペースで対応が難しいものの、対応範囲として限定的なものは「ロールプレイ」となります。となると、対応範囲が限定されず、自分のペースで対応が難しいこと、これが実践力を鍛える場、つまり修羅場の体験ということになるのです。
 
福永 具体的には、どのように行なわれるのですか。
 
柴田 チームになっていただき、リーダーを決めます。会社合併や不祥事、死傷事故など、企業を揺るがす事件が降りかかってきます。そのときにリーダーとして、リーダーを支えるチームとして、どのような視点と配慮を持ちながら対応すべきかを考えていただきます。かなりきつく当たっていきますので、冷静な判断力を見失ったり、勤めている企業では経験がないことが多々見受けられますので、なかなか的確にさばくことができない研修生が大多数です。事態を収束させ問題を解決するためには、想定外の事態がもたらす感情や時間のプレッシャーに打ち勝ち、不測の事態への最適かつスピーディな対応、利害関係者間の建設的な妥協案の合意などをチームで成し遂げなければなりません。リアルな状況設定の中で受講者がケースの登場人物となり問題解決にあたる新しい体験型ケーススタディなのです。また専門のアセッサーがケースに取り組む受講者の行動を観察し、アセスメント(オプション)を実施します。次世代リーダーアセスメントや、その結果に基づく次世代リーダーの教育選抜、コーチングによるリーダー育成に最適なプログラムを実施しています。
 
福永 おっしゃる通り、想定外は言い訳になりません。修羅場を恐れず経験することがヒトを強くします。経験豊富なリーダーは頼れる先輩、上司としてチーム力も高まります。誰に教えてもらえるかが部下の成長においても欠かせないことですね。
 
柴田 自分におぼれることなく執着と執念を持って不測の事態に対応できること、部下や相手の立場まで加味した判断ができること、地頭の良さだけではできないことを数多く経験することで、ヒトは変わります。そして企業も変わります。修羅場体験は簡単なことではありませんが、これまでの研修では学べなかった領域を深堀りし、ヒト、そして企業を変えていくための支援に、これからも努めていきます。

福永 人手不足の中、人の成長をよりサポートできる企業を作り上げていくこと、そのためには強いリーダーと、リーダーを支えるスタッフとのチームを作り上げていくことの大切さを改めて実感いたしました。本日はありがとうございました。

㈱フェイス 代表取締役
福永 有利子 氏

レストラン・ゲストハウスのウエディングプランナーから各現場の管理職としてマネジメントを担い、確実に業績を伸ばしてきた。2003 年にウエディングプランナー養成スクール講師を始め、2006 年から2015 年まで大学にて非常勤講師として教壇に立つ。2006 年堂島ホテル婚礼部長、2008 年同ホテル副総支配人。2009 年に㈱フェイスを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。
現在は、全国のホテルやゲストハウスにて成約率向上を目的としたトレーニングや、集客戦略立案・実践支援などのコンサルティングに加え、会場のビジュアル改善や各種販促ツールの制作など、ウエディング事業の収益改善に向けた業務支援を幅広く行なっている。また、現役ウエディングプランナーの人材育成や専門学校生やウエディング業界への転職希望者などを対象としたスクールも開講。今後は、ウエディング業界を超えて、ホテル・ホスピタリティ業界にて、人材育成マネジメントを広く担っていく。著書 :『 ウエディングプランナーじゃない、アカンのは上司や! 悩める管理職のアメムチ19の育成術』

㈱Indigo Blue
代表取締役会長
柴田 励司 氏

1962 年東京都生まれ。上智大学文学部英文学科卒業後、京王プラザホテル入社。京王プラザ在籍中に、在オランダ大使館出向。その後京王プラザホテルに戻り、同社の人事改革に取り組む。95 年、組織・人材コンサルティングを専門とするマーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(現マーサージャパン)に入社。2000 年、38 歳で日本法人代表取締役社長に就任。組織に実行力をもたらすコンサルティング、次世代経営者層の発掘と育成に精通する。07 年、社長職を辞任し、キャドセンター代表取締役社長、デジタルスケープ(現イマジカデジタルスケープ)取締役会長、デジタルハリウッド代表取締役社長、カルチュア・コンビニエンス・クラブ代表取締役COO などを歴任。10 年7 月より「働く時間」「学ぶ時間」をかけがえのないものにしたいという思いのもと、経営コンサルティング事業と人材育成事業を柱とする㈱Indigo Blueを本格稼働。15 年11月より代表取締役会長に就任。
 

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