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FROM THE PUBLISHER ——太田 進——

カスタマー・エクスペリエンス

【月刊HOTERES 2018年06月号】
2018年06月20日(水)
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 アマゾンは売り上げが右肩上がりであるにもかかわらず、2016 年で利益率はわずか3%、さらに2017 年は第三四半期終了時点で過去最高の売上高にもかかわらず0.8%でしかないという。それは、アマゾンが稼いだ利益の大部分をネット通販の値下げや物流網の構築、さらには新規事業に投資をしているからで、その結果、アマゾンは上場以来一度も株主に配当を払っていない。しかし株主はそれを評価しており、時価総額は現時点でアップルに続いて世界第二位で、鈴木氏いわく時価総額一兆ドルにはアップルよりも先に到達する勢いであるという。
 
 セブン&アイでの経験を持つ鈴木氏ならではの、セブン- イレブンとアマゾンの比較も興味深い。アマゾンは顧客を“個”として認識し、購買データを活用して顧客のカスタマー・エクスペリエンスを高め、ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高める戦略であるのに対し、実店舗であるセブン- イレブンではリアル店舗の世界では顧客中心主義の最先端を行くものの、同じ顧客が一日三回店を訪れてもそれを“個”として認識できないなど限界があるという。顧客目線で両社を比較したとき、顧客を“個”として認識するアマゾンが魅力的であるのは明白で、さらにアマゾンはそれに磨きをかけているのだ。
 
 先日、あるグローバル企業のトップと会食をした際に驚くような話を聞いた。彼のご令嬢は世界でもトップクラスの有名大学で学んでいるそうだが、アマゾンでインターンをすることになったところ、なんと月額8000ドルの給与と、3000ドルまでの住宅手当を出すという。それが優秀な人材を採用するための投資であることは明らかだ。
 
 かつてビジネスの世界で日本は『Japan AsNumber One』という書籍が出るくらい隆盛を極めたが、現状はどうか。日本のサービスレベルは高いと言われているが、これもこのまま磨き上げなければ抜き去られてしまうだろう。皆さまはアマゾンが徹底的に取り組むカスタマー・エクスペリエンスに、どこまで取り組めているだろうか。

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