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㈱ホスピタリティオペレーションズ コーネル大学ジョンソン・スクール在学生 大貫 冬斗 氏 × コーネル大学ジョンソン・スクール経営学修士号(MBA) 内藤 信也氏

「コーネル大学留学体験記」連載開始インタビュー  ジョンソン・スクールの2年で、リゾートビジネスの最前線で活躍できる知的基盤を構築したい

【月刊HOTERES 2018年09月号】
2018年09月21日(金)
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時代の流れに合わせて、カリキュラムの内容や
学生のバックグラウンドが大きく変わる
 
――内藤さんと大貫さんとでは、入学時期に14 年の開きがあります。ホテルスクールのカリキュラムも変わってきているのではないですか。
 
内藤 ホテルスクールのカリキュラムに関して言うと、私が留学していた頃は、ファイナンスや不動産金融、イールドマネジメントなどにかなり重きが置かれるようになっていました。さらには最近では、ITやテクノロジーにも重きが置かれていると聞いています。
 
――オペレーションというよりも、金融・IT系の色が濃くなってきたということですか。
 
内藤 そうですね。また、オペレーションというと一般的に日本人が思い浮かべるのは、接遇といったサービス面だと思います。ですが、ホテルスクールでのオペレーションという科目は、いわゆるオペレーションズ・リサーチに端を発した統計学をビジネスの現場に応用した在庫管理や品質管理、イールドマネジメントなどの科目のことを意味します。また、ファイナンスでは、不動産証券化による資金調達などの科目も勉強します。
 
――資金調達まで学ぶのですか。
 
内藤 そうですね。ホテルスクールにはセキュリタイゼーション(不動産証券化)という授業があります。他学部の学生も大勢受講するなど、人気は高いですよ。
 
――今の話を聞かれていかがですか。
 
大貫 加えて、現在のホテルスクールでは、リアルエステートが内容的に充実しており、それがファイナンスだけではなくテクノロジーと結びついたクラスもあります。もう一つは、アントレプレナーシップ系が充実している印象があります。単なる講義にとどまらず、実際に起業した卒業生をスピーカーに呼んで議論をするクラスがあったり、アントレプレナーシップに特化したものを教えていたり、そのあたりに興味を持っています。また、データアナリティクスやデータベース・マーケティング等も、10 年前と比べると内容がかなり変わってきているのではないでしょうか。
 
――学生についての変化はいかがですか。例えば、日本人学生の数とかは。
 
内藤 日本人学生の数の少なさは課題ですね。私たちの頃は、ジョンソン・スクールで8名、ホテルスクールで3名はいました。かつて日本の大手企業が企業派遣を積極的に行っていたバブル景気の頃は、ジョンソン・スクールだけでも20 名くらいはいたと聞いています。
 
大貫 今の私の代のジョンソン・スクールにおいては、学年約280 名に対して日本人が1名。一つ上の学年で3名です。来年も1名ですね。ここ数年3,4 名で推移して来ていたことを考えても、昔と比べて減少してきているようです。
 
内藤 アジアから米国のトップスクールに来ている留学生を国別で見ると、今どこの国が元気なのかが良く分かります。昔は、日本人の留学生が沢山いました。今は中国とかインドからの留学生に変わっています。
 
――日本国内における修了生の受け入れ状況も変化してきていますか。
 
内藤 変化してきているとまでは、まだ言えないと思います。ただし、今後は変化せざるを得ないんだろうなという気がします。私の頃だと、自費で留学した後にそれなりの待遇とポジションで迎えてくれる会社は、コンサル会社や投資会社は別としても、少なくともホテル運営会社の中では、ほとんどなかったですね。ただ、今後は若い人が圧倒的に少なくなるので、次世代を担う人材をいかに自分たちの会社に惹きつけるかという競争になっていくはずです。そうなってくると、企業として幹部候補生を育成する魅力あるプログラムを提供しないと優秀な人材を確保するのは難しいといえます。否が応でもやらざるを得なくなってくると予想しています。
 
 
自分のキャリアをじっくりと考える、
有意義な2年間にしたい
 
――大貫さんは今後どんな展開をお考えですか。
 
大貫 ホテルをやりたかったらホテルマンにならないといけないわけではなく、マネジメントに特化してやりたい人がいても良いし、アセットサイドをやりたければやれば良いし、色々な関わり方が出てくると思います。私自身、ホテルやリゾート単体でのビジネスではなく、地域との関わりであったり、食やアート、教育といった他の産業との関わりの中でホスピタリティビジネスに携わっていきたいという思いがあり、どのような選択肢があるのか考える2年間にしたいと思っています。活動の場が海外なのか日本なのかも含め、今後どういう形でホスピタリティビジネスに関わっていくのが良いか、どうすればこの学びを活かしながらインパクトを発揮できるのかを常日頃から考えています。

 
――内藤さんは、大貫さんに今後どんな点を期待したいですか。
 
内藤 私はどちらかというとホテル寄りのキャリアを選択したわけですが、彼はリゾート寄りのキャリアを目指しています。仮に、海外でのキャリアを経るとしても、特に、彼の興味のあるスキーとかリゾート再生といったところで、最終的には、米国で学んだものを日本に持ち帰ってきて、思う存分活躍してくれたら嬉しいと思います。マーケット的にも、今後インバウンドのお客様にさらに沢山来てもらうという話になった時に、今まで彼らが行ったことがない場所とか、今まで以上に長く滞在してもらうといった仕掛けが必要になってきます。そういった状況で、重要なキーワードになるのが、リゾート施設のある当該地域の様々な要素を総合的に含んだデスティネーション・リゾートです。こうした分野で、彼のような若くて優秀な人物が、ジョンソン・スクールやホテルスクールで学んだことを活かして活躍してくれたら、これ以上に勝る喜びはありません。
 
――今回の連載では、ジョンソン・スクールで何を学んでいるのかだけでなく、米国の今のビジネススクールやホテルスクールの現場がどうなっているか、学生たちのモチベーションは何なのかもレポートしてほしいと思います。大いに期待しています。今日は、お二人ともありがとうございました。

㈱ホスピタリティオペレーションズ
マーケティング部マーケティングマネージャー
コーネル大学ジョンソン・スクール在学生
大貫 冬斗氏
Fuyuto Onuki
早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、総合不動産デベロッパーにてリゾート開発・運営事業ならびに空港コンセッション等投資事業を担当。2016 年より現職、現在は休職しコーネル大学ジョンソン・スクールにてMBA 取得のために留学中。
 
・コーネルMBA 日本人在校生サイト
・ブログ Johnson Lifelog | Cornell MBA 留学記

㈱ホスピタリティオペレーションズ
フランチャイズ事業部長
コーネル大学ジョンソン・スクール経営学修士号(MBA)
内藤 信也氏
Shinya Naito
ペンシルバニア州立テンプル大学卒業後、米国金融情報サービスのBloomberg L.P. や、日本初のホテル特化型リートであるジャパン・ホテル・リート投資法人の資産運用会社などを経て、2008年にホスピタリティ・パートナーズ・グループに入社。2012 年より現職。 ㈱A カードホテルシステム 執行役員を兼務。コーネル大学ジョンソン・スクール経営学修士号(MBA)

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