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「必ず成功するホテルリノベーションPART11」刊行記念シンポジウム 

日本のホテルの「進化と変化」をテーマにデザインとアートの側面から未来を語り合う

【月刊HOTERES 2019年01月号】
2019年01月25日(金)
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訪れた人が日本のクリエイティブを
体験できる地域を開拓していくべき
 
「クリエイティブ産業とインバウンドに見るマーケットフロンティア」のテーマにおいて、澤山氏は「クリエイティブな伝統文化を目指してインバウンドが訪れ、楽しむことのできる場が、日本にはまだまだ少ない」と指摘する。「日本の各地方には伝統工芸の技術が残っていて、それをインバウンドの方々に見せることは意義のあることですが、制作・製造の現場の周辺にホテルがないため、来てもらったとしても日帰りになってしまうところが多いのです。そのような場所にキュレーションホテルが建って、地域と人々を結びつけるコンシェルジュが目利きとして配置されれば、海外から多くの人々が訪れる地域として盛り上がりを創れると思います」
 
 その場所を訪れた人が何日もかけて日本のクリエイティブやアートを体験し、地域を回遊し、地元の人々と触れ合いお金を落とす。そんな地域になれる可能性を持つフロンティアが日本中に埋もれていると、澤山氏は力説する。「ロンドンにいるときにとても感じるのは、日本の文化の豊かさです。河川や山の分水嶺で文化圏が形成され多種多様な衣食住文化を内包する国、それが日本であり、こんな国なかなかありません。独自の文化的な資源を持っている国として海外の人々の目にはとても魅力的に映っています」
 
 澤山氏はアートとデザインの側面から、観光によって日本経済が成長するための視点を提示した。
 
 
それぞれの専門的な
視点に立ちながら
日本のホテルの課題や方向性を議論
 
 パネルディスカッションは、㈱山下PMC 事業創造推進部第四部ホスピタリティ・コンサルティング部門チーフプロジェクトマネージャーの深瀬章子氏、三井デザインテック㈱デザインマネジメント部デザインマネジメント室デザイン第一チームチームマネジャーの堀内健人氏、㈱日建スペースデザイン大阪オフィスチーフディレクターの米澤研二氏、the rangedesign ㈱代表取締役の寳田陵氏、ジャパン・リート・アドバイザーズ㈱アセット・マネジメント第2チーム部長の内藤武士氏、㈱ホテル格付研究所代表取締役所長の北村剛史氏の6名をパネリストに迎え、村上がファシリテーターを務める形で進行した。
 
 デザインや建築、PM、リート、格付といったそれぞれの立場から日本のホテルを巡る問題点や課題、これから進もうとしている方向性などが議論された。要所要所で澤山氏も加わり、キュレーションホテルに代表されるホテル空間の最先端の情報に対するそれぞれの意見も交換された。また、「必ず成功するホテルリノベーションPART11」で紹介された各社の事例についても改めて紹介され、ホテルのリノベーションにおける実像が具体性を持って浮かび上がった。
 
 専門家たちの仕事が日本のホテルに「進化と変化」をもたらしてくれるディスカッションの最後には各パネリストから自らが取り組んでいる、あるいは取り組もうとしている仕事の可能性やメリットなどについて、それぞれ次のように発言した。
 
「三井デザインテックはオフィスと住宅、ホテルの案件に取り組んでいます。私が所属するチームはホテルを主体に手掛けていて、そこにはさまざまな分野のホテルが含まれています。アミューズメント系のホテルから当社のグループ系列のホテルまで、非常に幅広いホテルに対応することで、これまでに豊富な経験と実績を積んできました」(堀内氏)
 
「日建スペースデザインは、数多くのホテルを手掛けています。私たちは『ウェルビーイング』がこれからの時代の一つの大きなキーワードになるのではないかと考えています。ホテルにおけるウェルビーイングは単なるスタイルではなく、もっと本質的なところに在るべきものとして捉えながら、これからもホテルのデザインに関わっていきたいと思います」(米澤氏)
 
「私自身は日本のマーケットを舞台に、日本人のチームの力で、世界と戦っていける仕事をしていきたいと思っています。そのようなマインドをお持ちの方々と一緒に、the range design はこれからも歩んでいきたいと考えています。私たちのところに来られる方は、『何か違ったホテルが創れないか』『面白いことができないか』といったご相談を投げ掛けてくれます。私は『計画的な進化』と『予期しない変化』の組み合わせが、そういったホテルを創り出す力になると思っています」(寳田氏)
 
「私はホテル格付研究所で安全・安心に関する品質認証『サクラクオリティ』の普及に努めていますが、もともとの本業はホテル専門の不動産鑑定です。その視点から意見を言わせていただくと、世界中で問題になっているオーバーツーリズムが、これから日本でもハレーションを起こしてくるだろうと思っています。ハレーションが起こる中で成功を収めていくためには、サスティナビリティー、環境保全、地域住民がメリットを享受できる仕組みづくりを進めていく必要があります。そう考えるとキュレーションホテルを増やしていくことは、まさに世界の流れにおける喫緊の課題なのではないかと思います」(北村氏)
 

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