あくまでこれは私見に過ぎませんが、この観点からここ数年のブライダル業界を振り返ると、法律の面でも、まさに世の中の怒涛のような環境や価値観の変化に巻き込まれてきたといえるのではないでしょうか。
その筆頭に挙げられるのが『音楽著作権』への対応でしょう。ほんの数年前までの市場環境を思うと、隔世の感を禁じ得ません。
そのほか、本コラムでも取り上げてきたように『消費者契約法』、『美容師法』、『景品表示法』、『下請法』など、ブライダル事業に直結する法律に関する問題が次々に現れては、私たちはその対応に知恵を絞り続けてきました。
また、法律そのものの変化以外にも、『持ち込み規制』について一部から批判的な指摘がなされたり、『SNS』への対応に頭を悩ませたりと話題はつきません。
こうした濁流のような動きを受けて、正直なところ私ですら「以前は牧歌的で良かった」「そこまで対応しなくても」と思うときがあります。でも、そんなときこそ心の中の支柱とすべき価値観こそ、「コンプライアンス」つまり『世間様に後ろ指をさされずに堂々と生きるための姿勢』なのだと自らを戒めています。
私たちが日々取り組む「結婚式」は、「衣・食・住」のように必ずしも「なくてはならないもの」とまでは言えません。残念ながらというべきか、結婚式をしなくても人は生きていけるのです。
でも、私たちは結婚式だけが持つ「価値」、そして「社会的意義」を感じているからこそ日々これに取り組んでおり、またそれに共感してくれる「世間様」の存在のおかげで、結婚式のビジネスで生計を立てているのです。
このように結婚式のお仕事というのは「世間様」からの理解と支持があってはじめて成り立つものである以上、私たちが率先して『世間様に後ろ指をさされずに堂々と生きるための姿勢』を貫くことは当然といえるでしょう。
私は今後もその信念を持って活動していこうと心に誓っています。
最後となりましたが、この4 年間「法律」という堅苦しいテーマをできるだけ分かりやすく、またタイムリーな話題を取り上げていこうと努力してまいりました。ご愛読いただいたすべての皆様に感謝いたします。また、こうした素敵な機会を与えてくださった「ホテル&レストラン」編集部の皆様にも心から御礼を申し上げます。
全国各地で「ホテレスで見てますよ」と声をかけてくださる方々の存在が励みでした。今後もお会いする機会があればぜひお声掛けください。
読者の皆様の益々のご発展を心より祈念しております!
最終回
夏目 哲宏 今さら知らないとは言えない「ブライダルと法律」講座
最終回 ブライダル業界における「コンプライアンス」とは?
【月刊HOTERES 2019年05月号】
2019年05月24日(金)