―外国人雇用についてはいかがですか。
岡本 私どもでは人手確保の対策として(一社)日本おもてなし教育交流協会を通じて中国からインターンシップ生を受け入れております。取り組みを始めて今年で3 年目を迎え、毎年、四川と広州にある大学2 校から日本語を学ぶ学生を対象に、3カ月から1年間、企業研修生として受け入れています。研修生は日本語検定に合格、もしくは合格レベルの学生さんで、事前にネットで面接し、おのおのの語学力や実習の意志を確認した上で受け入れています。
語学が堪能な学生さんはフロントに、たどたどしい学生さんはレストランに配属いたします。来日の際は協会側で迎え入れ、那須に引率してくれます。皆さん日本を訪れるのは初めてですが、多くは日本での就職を望んでおり、勤務態度は極めて真面目で優秀。日本ならではのおもてなし、サービスを学びたいと意気込んで来ます。
配属前に短期で集合研修をしますが、生活習慣の違いを織り込みながら、笑顔とあいさつの大切さを徹底的に教えます。すると、配属されてすぐにでもお客さまに笑顔で接するので感心しますね。
―生活面ではどのようにケアされていらっしゃるのですか。
岡本 ホテル敷地内に寮を備えているため、職場に通うのはラクですし、食事は従業員食堂で朝昼晩摂ることが出来ます。
寮については母国で6人1 部屋の寮生活をしているため、研修中は中国のルームメイトそのままで3 人部屋を用意します。
日本でも気心の知れた仲間と過ごせます。買い物など外出の際には、近隣に大きな店舗がないため車がないと不便ですが、お客さま送迎バスや路線バスをうまく利用して余暇を楽しんでいます。
定期的に協会のスタッフが様子を見に来てくれますし、時折一斉に休みを取らせて、ホテルの人事スタッフが観光地を案内しています。
滞在中は辛いこともあろうかと思いますが、顔にも出さず、仲間同士で切磋琢磨して頑張っています。現場としては、彼らが居てくれて助かっているというのが正直な感想です。
―最後に今後の課題とこれからの思いをお聞かせください。
岡本 ホテルサンバレー那須は開業から39 期目を迎えました。オーナーが掲げるヴィジョン「3A・6K」は、アクア(温泉)、アグリカルチャー(新鮮な農産物と地産地消)、アート(芸術)を意味するA、健康・環境・交流・啓発・国際化・高齢化を意味するK をもってして、健康を軸にお客さま同士が楽しく有意義に過ごせるホテルにしたいという思いが込められています。
皆様が健康で、家族団らんのひと時を過ごされ、笑顔のあふれるホテルでありたいと願っております。私たちは掲げられたヴィジョンを具現化し、オンリーワンのホテルを目指すべきと考えます。
那須には新しいホテルが次々に開業し、これから開業を目前に控えているホテルもあります。お互いに切磋琢磨し良きライバルとして接客力を磨き、地域力を高めていければうれしいです。
宿泊施設だけでなく多くのレジャー施設を有する那須が観光地としてブランド化できれば、より多くの観光客が訪れることでしょう。
これからは施設を維持するための設備投資も見据え、健全な運営ができるよう努めてまいりたいと思います。今後の懸念材料の一つに、秋に予定されている消費税増税がございます。令和の時代となり、あらたに天皇陛下も即位され多くの方々が意気高揚し、気運の高まりを感じております。増税が足かせにならないよう願うばかりです。御用邸のある町・那須として地域力を集結し、オール那須として増税による消費意欲低迷を凌駕できる活力を見出し、目指してまいりたいと思います。
2019年5月31日号 トップインタビュー ホテルサンバレー那須 総支配人 岡本 吉広 氏
次につながる顧客作り、ファン作りのためにも一にも二にも笑顔が大切
【月刊HOTERES 2019年05月号】
2019年05月31日(金)