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第四十三回 島田律子氏 × 金紋秋田酒造(株) 佐々木 孝氏

伝統は“守る”のではなく“創る”もの  第四十三回  日本酒を海外進出させる戦法において 熟成酒は突破口を開く槍の先となり得る

【月刊HOTERES 2019年07月号】
2019年07月12日(金)
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米にはこれほどすごい力があることを
熟成酒によって伝えなければならない
 
島田 
日本のマーケットで熟成酒の認知を広げていくために、どのような流れを作ることが必要でしょうか。
 
佐々木 日本においても、熟成酒を体験できる場所や機会が次第に増えてきていると思います。現在の日本酒のマーケットは純米吟醸によってある程度まわすことができていますが、この流れが落ち着いたり次に何があるだろうと皆さまが考えた先に、熟成酒があったということではないでしょうか。今求められているのは「熟成酒の提供の仕方」になってくるという気がしています。
 
 熟成酒に関しては、日本酒の枠を超えた飲み方をしてほしいと私は思っています。そのためにも「米にはこれほどすごい力がある」ということを熟成酒によって伝えていかなければなりません。その方向性を追求することで、日本酒の多様性を広げていけたらと思います。
 
島田 今後はどのような挑戦をしていきたいですか。
 
佐々木 日本酒全体が海外に出ていくための戦法を考えたとき、熟成酒はまるで“ 槍の先” のように「突破口を開く酒」として役割を果たしていけると思っています。
 
 純米吟醸は温度管理の厳密さが求められるため、海外で取り扱ってもらうのが難しいという側面があります。そこでまず海外の方々に管理が比較的楽な熟成酒に目を向けていただくことでマーケットのベースを創り、その上で日本酒全体をアピールしていくという挑戦につなげていけたらと考えています。この段取りで日本酒の海外戦略を推し進めていくことで、その展開がよりやりやすくなるのではないでしょうか。
 
 もちろん日本のマーケットにおいても熟成酒の存在感をさらに高めることで、日本酒全体の価値を向上させていくことにも今まで以上に挑戦していきたいです。日本中すべての酒蔵は大変な思いをしながら日本酒を造っているのですから、その価値に見合う価格で消費者の皆さまに納得して飲んでいただける日本酒マーケットを、私たちは構築していかなければなりません。

佐々木孝(ささき・たかし)
造り酒屋の息子として秋田県に生まれる。大学卒業後、東京都内にある酒の卸問屋に入社し、日本酒の流通を見ながら修行を積む。その後、チョーヤ㈱を経て、家業である金紋秋田酒造㈱に戻り、熟成酒(古酒)の製造・販売を始める。

島田 律子(しまだ・りつこ)
スマイルブリュー カンパニー代表・タレント・日本酒スタイリスト(日本酒造組合中央会認証) 日本酒の魅力を伝える講演・イベントの司会や出演など、年間100 本以上をこなす。TV 出演や雑誌などへの執筆も多く、そのエンターテイメント性の高さと分かりやすさから、ファンやリピーターが多い。飲食店や百貨店の売り場プロデュースの依頼も多く、NAGAE +『TRAVEL CHOCO』など酒器を始めとした商品開発や、女性ならではの視点から日本酒の美容・健康効果に着目。日本酒美容を取り入れた日本酒美容コスメ『MAIDEALE』をプロデュース。HP:http://www.smile-brew.com/

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