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2020年3月13日号 新しい視点 「ホテルの価値」向上理論~ホテルのシステム思考~

第390回 カスタマージャーニーにおける望ましい印象形成(まとめ)

【月刊HOTERES 2020年03月号】
2020年03月11日(水)
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以前設定しました設問では、「旅行工程1」を、体験の魅力度(満足度)が上がっていく場合(A 地<B地<C地)とし、「旅行工程2」を、体験の魅力度(満足度)が下がっていく場合(A 地> B 地> C 地)、「旅行工程3」を、体験の魅力度(満足度)がおおむね同程度の場合(A ≒ B ≒ C)と定義して調査を行ないました。その結果、最も満足度が低い回答比率だった旅行工程が、体験の魅力度(満足度)が下がっていく場合で、体験の魅力度(満足度)が上がっていく場合が若干、印象が一貫して同程度の場合を上回っているという結果でした。 以上の結果を整理してみますと以下の通りとなります。

(1)事前の評価期待値が大きいラグジュアリークラスの場合であれば、予約対応からチェックイン、滞在体験からチェックアウトに至るまで、評価自体にバラツキがあるとそもそもトップクラスの印象につながらないでしょうから、まずはバラツキがない必要があります。また、さまざまな体験シーンを用意するというより、約20 時間の滞在時間内で、消費しきれるようブランディングを通じてサービスをコーディネートすること、また「評価」ではなく、「感情」については、滞在体験を通じて一定というよりも、徐々に高揚感を感じていただけるような工夫が必要とも考えられます。例えばレストランでの体験の後に、丁寧なイブニングサービスを用意し、かつ朝食および最後のチェックアウトシーンでは笑顔を伴った快活なサービスシーンが望まれます。

(2)事前の評価期待値が2 ~ 3 スター前後については、サービスシーン別にバラツキが出ているケースが多いように見受けられます。平均値としては2 ~ 3 スタークラスという印象を与えたとしても、バラツキの起伏に関しては、滞在時間に沿ってできるだけ大幅に落とすようなことがないこと、また仮に落とすようなシーンが見られる場合には(ロビーが3 スタークラス、客室が2 スタークラス等)、「評価」ではなく、「感情」を徐々に高揚させるような工夫が望まれます。また、最後の朝食、チェックアウトでは、できうる限り顧客の感情を快活な印象に切り替えるような一工夫を検討すべきでしょう。

(3)通常一定の印象をつなげていくというような施設はほぼ見られません。個々の施設で強みが異なっている等、若干の起伏がシーン別に生じているものです。ただ、滞在時間の経過に伴ってできるだけ評価値を下落させないよう配慮すること、また、評価とは別次元で「感情」はどんどんと高揚するような仕組みが総じて求められます。前記調査結果でも、ビジネス目的であっても同様の傾向が見られました。

(4)チェックイン後、夕食までの間に自由時間が生じている場合、もちろん館外での体験を期待している顧客もいらっしゃるでしょうし、館内でゆっくりしたい顧客もいらっしゃいます。そのようなアイドルタイムに、シーンを構成する仕組みがない場合も多く見られます。コーヒーラウンジに一工夫する、自由スペースを魅力ある空間にする、あるいは館外体験を期待している顧客向けにコンシェルジュカウンター機能を強化する等、いずれにも十分に対応できるようにすることで、チェックインから客室、その後レストランに至る時間の流れの中で、体験評価が大きく低下することがないよう配慮することも重要な戦略となるのではないでしょうか。

(5)最後になりますが、やはり朝食のシーン、チェックアウトのシーンというのは、滞在体験が終了する、顧客にとって最も「寂しさ」を感じてしまう「危険」なシーンと言えます。楽しみにしていた旅行が終わる、また移動しなければならない等のストレスも帯びているかもしれません。この最後のシーンにしっかりと「評価を引き上げる」、「印象を上げる」、つまり「顧客側の感情を高揚させる」ような快活な空間、アピアランスや所作・接遇の有無が、顧客の総合的な印象(好き・嫌いという態度形成)に大きな影響を与えるはずです。

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