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VOICES from the WORLD(日本語版)

2020年05月18日(月)
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第一波を越えた中国トラベル事情。

大陸で見えた観光V字回復の光は、コロナ収束後の重要ヒントとなる!?



ONLINE新連載をスタートします!
 
HOTERES ONLINEをいつもチェックしてくれている皆さん、はじめまして!
私は『週刊ホテルレストラン』そして『HOTERES ONLINE』での海外事業案件サポートをしているトラベルエージェンシー&コンサルタント【TARO】のCOOでプロデューサーのNANAと申します。
 
TAROは、日本への期待値が高い富裕層インバウンド顧客に、一般旅行代理店には並ばない感動体験が得られるサービスをパーソナルに提案、加えて提供&手配まで行なうトラベル・コンシェルジュ企業として生まれました。現在では多様化する旅行ニーズにより、事業内容も、観光地の旅行商品造成や観光都市計画のコンサルタントなど、旅行・観光全般のサービスを提供しています。
 
TAROは、非日常体験を求めて日本に来られるインバウンド顧客の皆さんが相手なので、私たちのもとには、毎日、付き合いのある世界中のホテルや、友人である現地トラベルエージェンシーから、ホットで興味深いニュースが届きます。その一部は、雑誌ホテレスにもニュースソースとしてご提供をしているのですが、今回、そういった情報、特にタイムラグのない情報ソースを、ONLINEビューワーの皆さんに向けて発信しようということになり、VOICES from the WORLDというコーナーをスタートさせました。
どうぞご期待ください、宜しくお願いします!
 
さて記念すべき第一回目は、ロンドンのハイセンスなコンサルタント会社【Katana Creative Media】のファウンダーでありマネージング・ディレクターでもある、私の友人アンドリュー・サッカーから【コロナショック後の中国トラベル情報】が届いたので、一部抜粋してお伝えしたいと思います。
 
【Katana Creative Media】http://www.katanalondon.com
【Taro】http://www.katanalondon.com/work/taro/





SARSの比ではないショック
コロナがもたらした中国への影響

 
アンドリューの中国レポートは、こんなセンテンスから始まりました。
「コロナウイルスの影響による、中国人の旅行意欲の急激な低下は、9.11の同時多発テロに匹敵する。世界各地で感染状況の悪化が報告される中、海外旅行への懸念や心配は日に日に高まり、2013年のSARSよりもさらに深刻な影響を及ぼした」。
いつもは冷静でマクロな視点が持ち味のアンドリューですが、彼にとってもこの状況のインパクトは計り知れなかったようです。


奪われた4億5000万の計画
取り戻せない膨大な損失

 
アンドリューは続けます。
「中国においては、旧正月の休暇中にコロナクライシスが発生し、4億5000万人以上の旅行者が計画をキャンセルせざるを得なくなった。
旅行メディア『Travel Daily』によって行われたインタビューによると、中国のホテル業界の回復は、早くて3 〜6 か月かかると推定される、としている。
国際的には、旅行業界が回復し始めるのは7月と推定しているが、それは2020年前半に世界的な状況が収まっているか次第だ、としており、現況を考えるとますますその可能性は低くなってきているのではないか」。







コロナ収束感がもたらす
旅行欲求の再燃

目の前には、ただ闇が広がっているように聞こえますが、アンドリューは中国国内で希望の光も見えるとも言っています。
「中国では、国がコロナから回復し始め、国内旅行に大多数の人が流れる傾向を見せ始めている。
3月に入ってから、中国全土の多くの観光地が一般公開を再開しており、中国最大の旅行会社【Ctrip.com】によると、トップレベルの景勝地の40%がオンライン旅行プラットフォームでの予約を再開しているという。
中国の最も大きいオンライン旅行サービスプロバイダーのひとつで最大手の【Qunar.com】は、アプリおよびウェブサイトで、先々の「前売り」旅行パッケージを提供しはじめた。
そして、52%の人が国内旅行を計画し、また、海外旅行を希望する人も35%いるという。そのうち、日本、東南アジア、アメリカ、ヨーロッパが主な旅行先として検討されている」。

※このデータは、現在のヨーロッパとアメリカのロックダウンの状況に先行してデータ収集されているため、現在では旅行先候補の国は変更された可能性があります。

抑圧された数ヶ月がもたらす
「リベンジ支出」と「リベンジ旅行」

 
「中国のオンラインでのトークは、“リベンジ支出”という言葉が目立ちはじめている。ポストコロナの世界では、数週間と数ヶ月の間、家に束縛を余儀なくされた人々が、お金を使うための衝動的な欲求の解放を待っているのだという。旅行部門においては、これを「リベンジ旅行」と呼んでいる」。
このようにアンドリューは伝えます。つまりは、回復を望む声は大きく、比例して財布の紐もゆるくなっている、と。






中国も日本も、回復の鍵は
“衛生”と“国内旅行”

 
ただ、もとのままの常識は通用しないとも、アンドリューは言います。
「さて、ポストコロナの旅行予約となると、新しい現実=ニューノーマルの中で考慮すべき優先順位は、“健康と衛生”“変更が容易な柔軟な旅行プラン”、そして“グッドプライス”という順番になるようだ。
私たちは、回復の新芽を見ており、思考は再び旅行に向けられているが、焦点はまず国内旅行にある。海外旅行の回復は、国民感情だけでなく、目的地へのアクセス、インフラの回復にも左右されるからだ。
ただ、国内旅行でさえ、まだ初期のウォーミングアップ段階だ。ロックダウンが緩和され、いわゆる「リベンジ旅行」が盛んに行われているため、回復は今後数週間で加速する可能性があるかもしれない。しかし、中国の国境がいまだ閉鎖され、諸外国からの感染にも懸念が残るなかでは、時間がたてば国内旅行の熱も冷めるかもしれない。
だからこそ、デスティネーションと観光局は、航空会社、ホテル、旅行代理店などと協力して、観光地の再プロモーションを行い、健康的で衛生的な旅行を作りアピールし、予約の柔軟性の向上など、国内外の旅行者の懸念事項に対処する必要があるのではないか」
 
コロナショックにより、私たちのニューノーマルに「衛生」という大きなファクターが加わりました。そしてまずは「国内旅行への回帰」。
このふたつの最重要ファクターを、旅行業界はいかに取り込んでいくのか? 
中国の施策は、私たち日本の参考に大いになるはずです。
いままたクラスターの影響が見え隠れしている中国ですが、大きな隣国の観光施策とその結果を注視してはいかがでしょうか。




PROFILE : Andrew Thacker
2005年にロンドンで設立された独立系クリエイティブ・ブランド・コンサルタント会社【Katana Creative Media】の創設者であり、マネージングディレクター。
Katanaは、世界中のハイエンドなホスピタリティとライフスタイルブランドにブランディングとコミュニケーションサービスを提供し、ビジネスオーナーと協力して新しいブランドの創造、開発、立ち上げを行っている。そのサービスには、広告、ブランディング、コミュニケーション、デジタル、eコマース、マーケティング、ソーシャルメディアなどが含まれている。戦略的サービスには、ブランド戦略、クリエイティブ戦略、マーケティング戦略、市場参入戦略など多岐にわたっており、彼らのクライアントは、【SIX SENSES】【ONE & ONLY RESORTS】【FOUR SEASONS】【ホテルニューオータニ】など、世界中に広がっている

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