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2020年8月21日号 TOP INTERVIEW メズム東京、オートグラフ コレクション 総支配人 生沼 久氏

TOP INTERVIEW メズム東京、オートグラフ コレクション 総支配人 生沼 久氏

【月刊HOTERES 2020年08月号】
2020年08月19日(水)
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「東京のライフスタイルのアイコン」が、メズム東京が描くブランドビジョン

■タレントのモチベーションを高めるためのポイントはありますか。

 例えばタレントの立ち姿を見て、「もう少しメズムらしい立ち方をして」と感性に訴える言葉を投げ掛けています。シンメトリーになっているフロントの風景の中に立つ場合は、一つの画角の中に2人のタレントがシンメトリーになるように配置されている方がかっこいい。それを伝えて実際にやってみると、タレントは納得します。昔から私は装飾品が真っすぐ並んでいないと嫌なたちで、少しでも斜めに置かれていたらすぐに直させます。タレントが動かすと、ビシッとして気持ちのいい景色に変わります。ちょっとしたことなのですが、もっとこうしたらきれいでかっこよく見えるというアーティスティックな感性を投げ掛けるのがポイントです。今の世の中はものすごくロジカルに動いていますが、私たちが取り組んでいるのは人と人の仕事であり、人に何かを伝えるときにはロジカルな要素だけでなく感性がとても大切です。ホテルの空間では「気づく人は気づく」というところまで感性を研ぎ澄ませるべきだと思いながら取り組んでいます。

■現在掲げている目標を教えてください。

 「TOKYO WAVES」を継続してお客さまに提供していく中で、「東京のライフスタイルのアイコン」になることを目指していくというのが、私たちが描くブランドビジョンです。「東京に来たら、メズムに行かなくちゃ」と言っていただけるようなホテルブランドに育てていきたいので、ブランドの熟成と認知拡大が今の目標となります。メズムというブランドの世界観をどのように発信していくのかを考えたとき、「ホテルの価値をどう創るのか」が重要になってくると思います。単に客室やレストランを売ればいいのではなく、ホテルのブランドとお客さまの接点をどのように考えていくのかがポイントなのです。私たちホテルは、どのようにすればお客さまに直接情報を届けられるのかについて、もう少し真剣に考えていかなければならないと思います。

 私はいつも「ホテルの外から学ぶべきだ」と思っています。ホテル以外の業界の中には、私たちが取り組めていない手法に既に取り組んでいる業界があります。例えばファッションやビューティーの業界は、しっかりとブランドを構築しています。ホテルのブランド構築にあたっても他業界にこそ答えがあるのではないかと思っていて、今リサーチしているところです。

さまざまな才能を持つ人たちが集まり、力を発揮できる場所がホテルにはある

■これからの時代、お客さまはホテルにどんなことを求めるようになると考えますか。

 これまで「モノからコトへ」と言われてきましたが、これからは「コト」すなわち体験だけでは満足いただけなくなると思います。この先の時代は「体験の先に何があるのか」がとても重要になってくるはずです。コロナ禍によって自分の人生を振り返る時間がたくさんできたと思いますし、本当に世の中で大切なものは何なのか、価値観や精神的な部分で見つめ直した人たちが世界中にたくさんいるはずです。このような時代においては、ホテルも単なるステータスでは選んではもらえず、「ホテルとは何なのか」という精神的なところまで深く追求したホテルブランドが選ばれるようになると思うのです。

 これからは「モノからコト」を超えて、「コトからイギ(意義)」の時代になると私は最近言っています。「なぜこれを選んでいるのか」という意義が問われる時代に選ばれるホテルであるために、メズム東京は「五感を満たし、インスピレーションを研ぎ澄ませ、人生を豊かにする」というブランドの大前提に常に立ち返りながら、ホテル創りを進めてきました。お客さまの記憶に残していただくためには日常生活にはない体験を通じてインスピレーションを生み出し、意図的に「違和感」を提供する必要があります。違和感がないものは常識の範ちゅうにはまってしまっていて、みんながやっていることなのです。違和感なくして価値あるブランドづくりはありません。

■若いタレントの方々の目にも、メズム東京が目指すホテルの在り方は魅力的に映るのではないでしょうか

 私はホテルの価値をしっかり創っていくべきだと思っていますし、「そもそも高級ホテルとは何なのか?」という原点に立ち返りながら、魅力ある世界を構築していきたいのです。その実現のためにはお客さまを魅了するだけでなく、「あのホテルで働いてみたい」と若い人たちに思ってもらえるあこがれの対象になる必要があると考えています。次の世代にどのようにバトンを渡していくのかが重要で、私は彼らに一つの道を創ってあげようと考えています。そして「さまざまな才能を持つ人たちが経験値を生かして力を発揮できる場所がホテルにある」というメッセージを発信していきます。
 ホテルはそこに集まる人たちのポテンシャルで決まるので、多彩なポテンシャルが集まればホテルがやれることは広がっていくはずです。

 メズム東京はライフスタイルホテルにくくられがちなのですが、それはまったくの誤解だと私は思っています。欧米のライフスタイルホテルは、働いている人たちが自分らしく、どちらかと言うと素に近い状態でお客さまとコミュニケーションしていく感じですよね。メズム東京がやろうしているのは、それとはまったく違います。

 メズム東京の「一つの世界観を創る」という方向性は、「自分らしくいる」というライフスタイルホテルの方向性とは違うのです。メズムの世界観を体現するエンターテイナーのようなもので、個々人の誠実さや情熱が必要不可欠です。演出しながら創り上げるメズム東京の世界にお客さまを陶酔させたい。それが私の思いなのです。

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