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2020年10月2日号 トップインタビュー MUNI KYOTO総支配人 石川 眞大氏

トップインタビュー MUNI KYOTO総支配人 石川 眞大氏

【月刊HOTERES 2020年10月号】
2020年10月01日(木)
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ホテルの格付けがない日本においては、ラグジュアリーホテルの定義が難しい

---2019年12月に菅義偉内閣官房長官が「日本にはラグジュアリーホテルが足りない」という発言して以降、日本にはホテルの格付がないためラグジュアリーホテルの定義が難しいという問題が顕在化したと思います。ホテルの業態論を語るとき、MUNI KYOTOはポートフォリオのどこに位置付けられるのでしょうか。

MUNI KYOTOはスモールラグジュアリーホテルですが、確かに日本ではラグジュアリーの定義が非常に難しいと思います。菅官房長官が掲げた日本に世界レベルのホテルを50カ所ほど新設するという目標を考えてみても、1泊100万円、200万円というクラスの欧米のラグジュアリーホテルを日本の全国各地に創るためにはかなり厳しい道のりが待っていると感じます。確かに東京でも1泊 100 万円以上のホテルはありません。そもそも100万円以上のホテルがラグジュアリーという定義でいいのかという疑問も湧いてきます。

---一番のキーワードになるのは、ホテルの「規模」だと思います。世界中を見渡してみても、50室から100室のスモールラグジュアリーこそがラグジュアリーホテルであるという定義は成り立つのではないでしょうか。

ラグジュアリーのカテゴリーにおいて、MUNI KYOTOはグローバルなラグジュアリーホテルと同格のレベルを目指していきたいと考えています。外資系のグローバルホテルをベンチマークにしながら展開していきたいという思いで取り組んでいます。

---ここ2、3年で京都のマーケットには、パーク ハイアット、ザ・リッツ・カールトン、Aceが開業して、そこにMUNI KYOTOも参入しました。旅館の星のやも含めて京都というエリアを考えると、デスティネーションホテルという側面も考える必要が出てきます。京都のマーケットの中でどのホテルをデスティネーションとして選択するのかという競争原理が、これから生まれてくるのではないでしょうか。

スモールラグジュアリーにおける差別化について私なりに考えてみたのですが、「何を差別化するのか」は非常に難しい課題です。おそらく前提として、ハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンウェアの3要素が上手くまわっているホテルが選ばれることになるのだと思います。これらのバランスが上手く取れていることの重要性を今あらためて感じています。

レピュテーションを上げることが最重要課題だったが、コロナ禍で販売戦略を重視

---ラグジュアリーホテルを目指す上で、レピュテーションの効果的な活用が重要だと考えますが、今後のマーケティング戦略は。

当ホテルは開業したばかりで無名のホテルですので、今後において、どのようにマーケティング戦略を考えていくか、とても重要だと考えています。戦略としては、「販売戦略」「商品戦略」「ブランド戦略」の大きく三つの視点から、それぞれの計画を立てて実行していこうと考えております。この三つの戦略を同時並行に実施する必要はありますが、限られたリソースで効率的かつ効果的に実行するためには、優先順位付けをしながら実行していきたいと考えております。また、戦略については、コロナ前後で、大きく変更をせざるを得ない状況となりました。

 コロナ前までは日本の観光への需要はかなり高い状況でした。特にインバウンドについては絶好調で、京都はオーバーツーリズム状態だったためによいサービスを提供できれば集客には困らないと考えておりました。そのため、まずはサービスに集中して早めにサービスを安定化させることにより、レピュテーションを上げていくことが最重要課題だと考えておりました。

---つまり、商品戦略とブランド戦略の二つに集中しようと考えていたのですね。

そうです。コロナ禍で今までに経験したことがないような環境下では、まずはどのように集客していくかということを考えざるを得ない状況になったわけです。つまり、販売戦略が最重要課題となりました。当然、残りの二つの戦略である商品戦略およびブランド戦略についても重要であり、同時並行にて少しずつ進めていきたいと考えております。
ブランド戦略ではレピュテーション、マーケティングの観点からはブランド力の重要な決定要因であると考えておりますので、試行錯誤しながら効果的な方法について考えていきたいと思っています。あと戦略を実行していく上での基本的な考え方としては「利益軸」と「ブランド軸」の両軸のバランスを考えながらマーケティング戦略を実施していきたいと考えております。

---巨匠アラン・デュカスの名前が入ったレストランについては。

フランス料理界の巨匠アラン・デュカスが設立したデュカス・パリは、当ホテルに二つのレストランを展開いたしました。一つは京都の食材を使った至極のコンテンポラリーフレンチを堪能いただくレストラン「MUNI ALAIN DUCASSE」。もう一つは桂川の景観を眺めながら朝食・ランチ・ティータイムを楽しめる「MUNI LA TERRASSE」。和食の食文化である京都で二つともフレンチレストランで勝負することについては、非常にチャレンジングであり、面白いと考えております。

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