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【PR】スペシャルインタビュー 株式会社SQUEEZE

PMSから“オペレーションプラットフォーム”へ、AIを活用しアルバイトでも3日でシフトインできる仕組みへ

2024年03月29日(金)
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 人材不足を背景にデジタル技術の活用を前提とした新規ホテルブランドも誕生するなど、ホテルオペレーションにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)に注目が集まっている。本項では、「Minn‒ミン」や「Theatel‒シアテル」などのスマートホテルを展開するとともに、次世代クラウド型運営ソリューションの推進を通し宿泊産業のDXを進める株式会社SQUEEZEの代表取締役CEOの舘林 真一氏に、いまホテル業界にさらなるDXが必要な理由や戦略的活用事例について伺った。
 


株式会社SQUEEZE 代表取締役CEO
舘林 真一氏

〈profile〉東海大学政治経済学部卒業後、ゴールドマンサックス証券シンガポール支社に勤務。その後、トリップアドバイザー株式会社 シンガポール支社のディスプレイ広告の運用を担当。2014年9月、株式会社SQUEEZE を創業、代表取締役CEOに就任、現在にいたる。

AI活用によりにより変わるホテル業界の働き方
 

■数年前からホテルビジネスにもDXが必要と言われる中、貴社はいち早くDX領域に取り組まれてきましたが、いまのホテル業界の進捗についての印象をお教えください。
 
 ゲストタッチに関しては、非接触のテクノロジーや顔認証などいろいろなサービスが出ており、チェックイン方法もゲスト側がセルフで行なうという潮流がかなり浸透してきています。運営側でも、紙だったものをデジタルにするといったレベルではかなり進んでいると感じますが、業務フローが変わり在宅やリモートの方でも業務支援ができるようなビジネスの在り方や組織構造が変わるところまでは至っておらず、そこは伸びしろだと考えています。
 アフターコロナのホテル業界は、マーケットが回復し宿泊需要も高くなって価格も上がっている一方、とにかく人手不足でオペレーションが回っていないことが課題であり、そこに対してどのようにDXの視点をいれていくかが重要です。「一人当たりの生産性を上げること」、「誰でもどこからでも業務を可能にしリソースを確保すること」「既存業務を見直し、自動化により業務自体を変えていくこと」といった視点で取り組む必要があると思っています。そして、仕事をただ回すだけではなく、付加価値を高めていくという視点でDXを推進していくことが大切だと考えています。
 
■そうした状況に対し、貴社ではどのような取り組みをされていますか。
 
 DXの本質はオペレーションや業務フローが“改善される”のではなく、“根本から変わる”ことだと考えています。当社では、ホテル運営における管理システムを自社開発しており、既存のPMSとは全く異なる概念の「オペレーションプラットフォーム」を構築しています。
 オペレーションプラットフォームとは、運営にかかわる各ステークホルダーそれぞれに対し最適なサービスを提供する、新しいシステムソリューションです。例えば、フロントスタッフ、レベニューマネージャー、マーケティング、ハウスキーピング、本部・経営、施設オーナーなど、様々な役割に応じた最適なダッシュボードを提供し、日常業務を行なえるシステムとなっています。モバイルベースでも利用ができ、いつでもどこからでもホテル運営が可能です。
 特徴は「習得のしやすさ」で、それぞれの業務はシンプルかつスマートなUIになっており、熟練したスタッフでなくても業務が成り立つように設計しています。そうしなければ深刻な課題である人手不足には対応していけないためです。今後はさらにAIを搭載し、「プル」ではなく「プッシュ」型の業務運営化を進めていく計画です。

 

SQUEEZE社のAI搭載オペレーションプラットフォーム構想図
SQUEEZE社のAI搭載オペレーションプラットフォーム構想図


■AIを活用したプラットフォームとは、具体的にどのようなものでしょうか。
 
 例えば、ホテルの会計やレベニューマネージメントといった業務は、これまでであれば技術や経験が必要なため、人材確保のハードルになっていました。当社では、過去の実績やマーケットデータ・イベント情報などから最適なブッキングカーブを予測し、それに合わせた価格設定をシステムの方から提案する仕組みにより、専門知識がなくとも一定レベルの業務が可能な形にしています。
 また、業務内容やアラート、サジェスチョンを提示し、モバイル上のコミュニケーションツールにも通知したりと、情報を「プッシュ」する発想です。そういった仕組みを活用すれば、運営現場における業務内容も変わっていきますし、実際に当社の運営施設では最短3日でオペレーターが独り立ちしたり、在宅でもゲスト対応に関われるようになるなど、働き方自体も進化しています。
 DXを進めるにおいては「逆算思考」がとても重要であり、各施設により異なる“理想とするゲスト体験”や“あるべきオペレーション”にあわせてプラットフォームを変化させていく必要があります。システムに合わせていく進め方はもう古く、創りたい姿から逆算してシステムやオペレーションを設計することが求められます。当社の取り組むオペレーションプラットフォームでは、柔軟性、汎用性を高め、今後はAIも搭載してあらゆるニーズにこたえられように設計を進めています。

■実際に貴社のプラットフォームを活用した事例はどのようなものがありますか。
 
 当社のシステムを活用し、ホテルオペレーションのあり方自体を変えた事例としては、JR東日本グループ様の「ホテル B4T」でのフロント無人化が挙げられます。JR東日本グループ様はもともとコロナを通じてDXに取り組みたい意向が強く、効率化した運営を実現したいということももちろん、攻めのDXとして、自社が抱えるSuicaプラットフォームをホテル運営にも活かしたいと考えておられました。
 そこで当社のオペレーションプラットフォームを活用・連携することにより、Suicaのワンタッチでのチェックインアウトを可能にし、Suicaがそのまま客室のルームキーとなる新たなホテルを実現できました。また、これまでにない無人オペレーションという業務フローを構築することに踏み切りました。今後さらにクラウドレセプションの業務領域を広げ、複数施設の運営をまとめていくとより経営へのインパクトがあると考えています。
 本プロジェクトの推進にあたっては、取締役の推薦で毎年選出されているJR東日本グループ様内での「中期経営計画に大きく業績貢献したグループ会社」に送られるという感謝状に、グループ外の当社を選んでいただきました。このような業界に新しい価値を生み出すプロジェクトに参画させていただき、大変光栄に思っております。

 

JR東日本グループ、感謝状授与式の様子、左からマネージャーの以倉氏、CEOの舘林氏、JR東日本副社長の喜勢氏(当時、4月1日付で同社代表取締役社長に就任)、CTOの関根氏、事業部長の森椙氏
JR東日本グループ、感謝状授与式の様子、左からマネージャーの以倉氏、CEOの舘林氏、JR東日本副社長の喜勢氏(当時、4月1日付で同社代表取締役社長に就任)、CTOの関根氏、事業部長の森椙氏


 他にも、大手チェーンホテル様へのシステム導入の取り組みも進めております。当社のプラットフォームは、いろいろな既存のシステムやツールと連携させることもできるため、今ある資産を活用していただきながら、業務の一部を集約してクラウド管理へ移行できる点を評価いただきました。また、こういう追加機能を入れてほしいというご要望にもお応えすることも可能です。
 導入いただいた施設様には、オペレーターから定期的なヒアリングを実施しシステムの改善も図っており、ユーザー様からいただく声を反映しスピード感を持ってアップデートすることを大切にしております。
「システムの操作が簡単だね」や「シンプルで習得するのがすごく早く助かっている」という声も多くいただきます。こうしたシステムの柔軟性とAIなどの最新技術の導入スピードの速さ、お客さまと伴走して一緒にオペレーションを構築するスタイルなどが当社のソリューションが選ばれる理由だと考えています。
 
■ホテル側に大きなメリットがあるのは理解できましたが、一方、顧客満足という観点からゲスト側にとってもメリットがありますか。
 
 基本的な考え方として、ゲストへの満足度を上げていくベースとなるのはやはり人ですから、テクノロジーの活用によりノンコアな業務をオートメーション化し、“本当に人が必要な所に付加価値創出のための時間を使えるようにすること”が大事だと思います。
 システムの付加価値を上げるキーワードとして、当社では「インスタント」と「シンプル」の二つを掲げています。インスタントはとにかく速いこと。例えばレスポンスが速い、対応が速いなどです。シンプルとは誰にでも分かりやすいこと。この二つはゲスト側も同じです。モバイル一つでいろいろなことが完結したり、チェックインもより早く分かりやすく、問い合わせも電話だけでなくチャットにも対応し、瞬時に返信がくるなど。そういったところも顧客満足につながると考えています。
 


真のDXを実現するリーディングカンパニーを目指して
 

■DXを取り入れた新しいタイプのホテルは市場でもニーズが高まっていますね。
 
 不動産開発の観点で見ると、現在は建築費などのインフレに対しても事業収益化が可能なアセットとしてホテルが注目されており、新規参入しようという企業も増えています。レジデンスやオフィスの賃料は一度設定した後には変更がしづらいですが、ホテルはRevPARを上げれば収益を上げることができます。新規参入のホテルは新しいコンセプトを導入しやすく、いろいろな掛け算を考えることができるので幅が広がりますね。
 昨年3月に開始した、北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」(北海道北広島市)のレフトスタンド後方に建つ「TOWER11」にて当社が取り組んでいるホテル・温浴施設の運営においても、デジタルを活用した新たな宿泊施設の創造に挑んでいます。

 

tower eleven hotel 客室
tower eleven hotel 客室

 
■デジタルを活用した具体的な取り組みについて教えてください。
 
 ホテルのチェックインにおいて自社プラットフォームの機能であるセルフチェックインを導入していることはもちろん、外来のお客さまもいらっしゃる温浴施設の運営においてもQRコードの掲示による1秒チェックイン機能を開発し、運用しています。また、北海道ボールパークFビレッジ内には新球場である「エスコンフィールドHOKKAIDO」や「TOWER11」のほか、ヴィラやレストラン、テナントショップなどが入っているのですが、これらのエリア全体の予約サイト開発・OTA運営支援も実施しております。
 将来的には、Fビレッジ全体でのゲストのデータを蓄積することで、その方のロイヤリティや消費動向に合わせた、より新しいサービス提案ができるような仕組みも構築していきたいと考えています。
 
■デジタルを活用すると、とてつもなくロイヤリティが高い顧客を見出すこともできるわけですね。
 
 そうなのです。当社では単なる管理ツールとしてのシステムを開発するのではなく、いろいろなデータベースやスマートロック、ペイメントと連携することができ、そのデータを活用してより付加価値の高いことを提供できる仕組みの構築を目指しています。
 今後のホテルの置かれる環境の変化を考えると、さまざまなものと連携が可能であり、ホテルを通じた総合的な滞在経験の提供を可能とし、顧客満足度と収益力の双方を高めるオペレーションプラットフォームとしてのPMSがさらに求められるのではないかと考えています。また、前述のように今年はオペレーションプラットフォームにAIを搭載していく大きな転換点にあると思っています。あらゆる業務にAI poweredサービスが入ることで、これまでマネージャーの勘や経験に頼っていた、また一人のマネージャーに偏っていた業務をデータ化して、ChatGPTのようにカスタマイズしたホテルマネージャーをAIベースで創ることもできるようになると考えています。
 単なる業務改善にとどまらず、業務の定義や枠組みさえも変化させながら、業界全体の新たな価値創造に貢献していきます。

 

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会社概要
会社名:株式会社SQUEEZE
本社所在地:東京都渋谷区神山町6-4 ARCHES KAMIYAMACHO3階
設立:2014年9月1日
資本金:4億6842万6300円(資本準備金含む)
代表者:代表取締役CEO 舘林 真一氏
事業内容:不動産バリューアップ、ホテル運営ソリューション、街づくり・DX企画
URL:https://squeeze-inc.co.jp/

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