カーシーカシマ株式会社は、年2回(2月・8月)に自社オフィスで新作を披露する社内展示会を開催。今回の展示会では、AI活用が進む中で対面サービスに残る「人の仕事」に改めて焦点を当て、働く人が着用するユニフォームを通じてプロフェッショナル像を支える考え方を「Focus on people」として提示した。
会場では、同社の主力の一つであるレディースオフィスウエアーブランド「ENJOY」の春夏新作を中心に、ホテルのフロント・コンシェルジュなど対面接遇の現場での着用を想定した提案を展開。ENJOYは同社売上の約6割を占め、従来の「事務服」だけではなく、外部対応や接客を含む業務の広がりを踏まえたラインアップとして位置付けるという。
ホテルの対面接遇で重視される「第一印象」をユニフォームで支援
展示会コンセプトの背景として、ホテル業界でもAIコンシェルジュなどの導入が進む一方、最終的に顧客対応を担うのは「人」であり、来館時の第一印象の重要性は変わらないとの認識が共有された。対面接遇の価値が相対的に高まる局面で、ユニフォームは「働く人の身なり」を整える役割を担うとし、フロントスタッフ向けの提案を強化する方針を示した。
提案の中心は2シリーズ:ツイード調の「サブリエツイード」と夏向けの「バンピーライト」
写真:「サブリエツイード」(写真左)「バンピーライト」(写真右)
ホテルの接遇職に向けた提案品として、会場では2シリーズを重点的に紹介した。
サブリエツイードは、砂時計(サブリエ)をモチーフにウエストのシルエットを絞りつつ、内部に空洞を設けて着用時の熱だまりを抑える設計を採用。パンツスタイルの増加を踏まえ、ベスト丈を長めにするなど、現場の着用実態を想定した仕様とした。フロント向けを想定し、フロント面は上部をスナップボタンにして着脱性を確保しつつ、見た目の整理を図る。カラーはグレーとネイビーの2色展開としている。
バンピーライトは、生地表面の凹凸(サッカー素材)によって肌に触れる面積を減らし、夏場の着用を想定したシリーズ。ジャケット風デザインや、かぶり型の上衣(オーバーブラウス)など、フォーマル性を保ちながら暑熱対策を意識した構成とする。現時点の展開色は限定的で、反応次第で色展開の追加も検討。同一アイテムの色違いなどで導入ハードルを下げ、段階的にバリエーションを広げる提案を行うと説明した。
「長く使える」を品質基準に組み込む:生地試験と家庭洗濯対応
同社は耐久性の考え方として、全商品で生地試験を実施し、5等級のうち4以上の基準を満たす生地のみを採用する方針を掲げる。試験内容としては、針状の突起が付いたボールを生地上で転がし、損耗の度合いを見る試験などを例示した。
運用面では、既製品は家庭用洗濯(ホームクリーニング)を基本仕様とし、日々の清潔維持を想定する。ホテルのリネン工程でユニフォームを一括洗いする運用もある一方、家庭洗濯対応にすることで、リネン対応では採用しにくい生地の選択肢を確保できるという。耐久年数の目安としては「毎日着用し、洗濯しても3年間持つ」水準を基準にすると説明した。
女性視点の機能設計:バストケアピッチ、消臭など
機能性の設計思想として、同社は女性向け事務服を起点にしたものづくりを背景に、着用時の見え方や不安に配慮した仕様を積み上げてきたという。例として、ブラウスの胸元のみボタン間隔を調整する「バストケアピッチ」を挙げ、従来の隠しボタン方式よりも運用上の手間を減らす狙いを示した。また、消臭機能など、着用者からの要望が多い領域に対して機能を付与しているとした。
サステナブル提案:使用済みユニフォームをアップサイクルし、従業員エンゲージメントへ
写真:同社の展開するサステナビリティ商品
会場では、使用済みユニフォームを回収し、コインケース、カードケース、キーチェーンなどにアップサイクルする取り組みも紹介。手順として、回収品を正方形に切り出した布を多数つなぎ、圧縮して板状にした後、薄くスライスしてシート化する工程を説明した。
空港ターミナルのサービス事業者のユニフォームを素材にしたキーチェーンやコースターなどの事例では、従業員に配布することで「自分たちが着用していたものが形を変えて残る」体験につなげ、職場への思い入れや現場の一体感に資する可能性にも言及した。
次の一手は「香り」――空間提案まで含むトータル化を視野に
写真:香りを演出するデフューザー
ユニフォーム単体にとどまらず、空間全体の提案につなげる構想として「香り」の提案も開始。ホテルで香りの導入が増えているとの認識のもと、記憶に残りやすい要素として、展示会会場に香りのアイテムを設置し、反応を得ているという。
将来的には、内装やWeb制作なども含め、パートナー企業と連携しながら周年などの刷新タイミングに合わせたトータル提案を広げたい考えを示した。展示会ではノベルティとして、名刺入れに入れて使うフレグランスカードも用意し、香りによって想起してもらう狙いを説明した。




