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完全持続型ユニフォーム「GREEN UNIFORM」構想を提示 三栄コーポレーション、ホテル現場の着用・回収までを一体で設計

完全持続型ユニフォーム「GREEN UNIFORM」構想を提示 三栄コーポレーション、ホテル現場の着用・回収までを一体で設計

2026年03月17日(火)
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写真:左より、GENERATION TIME株式会社 代表取締役 エシカルディレクター/アドバイザー 坂口 真生氏,株式会社三栄コーポレーション 代表取締役社長 水越 雅己氏,株式会社三栄コーポレーション 服飾雑貨事業部 第3部 チーフマネージャー 山田 敦氏,株式会社JEPLAN 会長 岩元 美智彦氏
写真:左より、GENERATION TIME株式会社 代表取締役 エシカルディレクター/アドバイザー 坂口 真生氏,株式会社三栄コーポレーション 代表取締役社長 水越 雅己氏,株式会社三栄コーポレーション 服飾雑貨事業部 第3部 チーフマネージャー 山田 敦氏,株式会社JEPLAN 会長 岩元 美智彦氏

 株式会社三栄コーポレーションは、完全持続型ユニフォームプロジェクト「GREEN UNIFORM」を展開する。ユニフォームを、素材選定からデザイン設計、製造、着用、回収・リサイクルまでの工程として捉え、循環を前提にした枠組みを提示する構想だ。ホテル業界では、フロント、客室清掃、料飲、調理、宴会など部門横断で制服を運用し、導入後も支給・更新・回収の実務が継続する。「GREEN UNIFORM」は、導入時の調達にとどまらず、使用後の回収・再資源化までを含めた設計思想を示し、運用の中に循環を組み込むことを狙う。
 

開発の背景:サステナブル活動を主導・支援する「OUR EARTH PROJECT」

 

写真:株式会社三栄コーポレーション 服飾雑貨事業部 第3部 チーフマネージャー 山田 敦氏
写真:株式会社三栄コーポレーション 服飾雑貨事業部 第3部 チーフマネージャー 山田 敦氏

 三栄コーポレーションは、自社の事業を通じて蓄積してきたサステナビリティに関する知見やネットワークを強みに、社会のサステナブル活動を主導・支援する取り組みとして「OUR EARTH PROJECT」を2019年に開始した。同プロジェクトは、海外のサステナブルブランドを国内に輸入・販売する「BRAND」、ユニフォーム制作や製品のOEMを通じて企業のサステナブル活動を支援する「PRODUCE」、イベントやワークショップの開催などを通じて取り組みを広める「ACTION」の3つの柱で構成する。
 開発の背景について、同社 服飾雑貨事業部 第3部 チーフマネージャー 山田 敦氏は、「OUR EARTH PROJECT」を進める中で、消費者や企業が抱えるさまざまな課題に直面したことが出発点になったと説明する。そうした活動で得た経験から「GREEN UNIFORM」の開発につながったとし、同サービスはパートナー企業の協力があって成り立っている点も強調した。さらに山田氏は、同社がこれまでに得た知見や経験、ネットワークを結集した一つの形が「GREEN UNIFORM」であり、ユニフォーム業界が抱える課題の解決と同時に、導入企業のサステナビリティへの取り組みを支援する枠組みとして位置付ける考えを示した。
 また「GREEN UNIFORM」は、「OUR EARTH PROJECT」で取り扱うサステナブル素材を、企業の現場に最も効果的に提供できる方法を検討する中で生まれたという。使い終わったユニフォームのリサイクルが十分に進んでいないという課題に対し、同社が国内で独占販売を行う無水染色(原着)素材のe.dye®と、株式会社JEPLANが製造し同社でも多数の取り扱い実績があるBRING Material™の2素材を組み合わせ、ユニフォームの新しい形を構想したとしている。
 

ホテルの制服運用は「多部門・多枚数・長期運用」 循環設計が効く領域

画像:完全持続型ユニフォームプロジェクト「GREEN UNIFORM」のスキーム
画像:完全持続型ユニフォームプロジェクト「GREEN UNIFORM」のスキーム

 ホテルの制服運用は、部門ごとに求められる機能が異なり、洗濯頻度も高い。さらに、退職や異動、更新のタイミングで回収・再配布が発生し、ユニフォームは常に“動く在庫”として管理される。素材や製造段階で環境配慮がなされていても、回収が想定されていなければ循環は成立しにくい。「GREEN UNIFORM」が工程全体を分解して示すのは、ユニフォームを製造し提供するだけに留まらず、使用後のユニフォームを法令に則って適切に回収し、再資源化する「運用の仕組み」自体を提案しているためである。

無水染色(原着)素材「e.dye®」×「BRING Material™」を組み合わせた素材

 

写真:無水染色(原着)技術の糸・生地の説明と実際のプロダクトの紹介
写真:無水染色(原着)技術の糸・生地の説明と実際のプロダクトの紹介

 「GREEN UNIFORM」では、無水染色(原着)技術の素材「e.dye®」と、繊維由来のリサイクル素材「BRING Material™」を組み合わせる。ユニフォームは着用と洗濯を繰り返す用途であり、長期着用を前提にした素材設計が運用上の重要点となる。
 e.dye Ltd. 総経理 楊 昭福氏は、同社が無水染色(原着)技術の糸・生地を製造するメーカーであり、製造の各工程がbluesign認証を取得していると説明した。そのうえで楊氏は、三栄コーポレーションが推進する「OUR EARTH PROJECT」の理念に共感し、2021年から日本市場における独占販売パートナー契約を締結している経緯を紹介する。「GREEN UNIFORM」に関しては、ハードな環境で活用される企業向けユニフォームで、e.dye®の機能特性である「色落ちに強い」側面が活きるとし、環境負荷削減量を可視化する仕組みも採用企業側のESG対応に資すると述べた。

モノマテリアル化で「回収後の再資源化」を成立させる設計

 

写真:GENERATION TIME株式会社 代表取締役 エシカルディレクター/アドバイザー 坂口 真生氏
写真:GENERATION TIME株式会社 代表取締役 エシカルディレクター/アドバイザー 坂口 真生氏

 設計工程では、製品を構成するパーツをポリエステルの単一素材(モノマテリアル)で構成する方針を示す。循環型の取り組みが実装されにくい要因として、素材の混在や回収スキームの不在が指摘されてきた。「GREEN UNIFORM」は、回収・再資源化を成立させるため、設計思想を先に循環側へ合わせる。
 この点について、GENERATION TIME株式会社 代表取締役 エシカルディレクター/アドバイザー 坂口 真生氏は、ファッション業界では長年「水平リサイクル」の必要性が語られてきた一方、素材の混在や回収スキームの不在により実装が限定的だったと指摘する。坂口氏は、特に企業ユニフォームは役目を終えた後の行き先が可視化されにくく、大量の廃棄を前提とした構造に置かれてきた分野だと述べた。「GREEN UNIFORM」が、モノマテリアル設計、ケミカルリサイクル、無水染色、回収までを一気通貫で設計することで、停滞に対して明確な打ち手を示しているという見方だ。坂口氏はまた、環境配慮を「理念」ではなく「業務オペレーション」に組み込める点に本質的な価値があるとも述べている。

回収・リサイクル:JEPLANと連携し「使用済みユニフォームから新しいユニフォームへ」

 

写真:株式会社JEPLAN 会長 岩元 美智彦氏
写真:株式会社JEPLAN 会長 岩元 美智彦氏

 使用済みユニフォームの回収・再資源化では、株式会社JEPLANと連携する。JEPLAN 会長 岩元 美智彦氏は、「BRING Material™」について、工場から発生する繊維くずやBRING™の活動によって回収した衣類・企業ユニフォームなどを原料(対象:ポリエステル100%)に使用し、独自のケミカルリサイクル技術で再生した「繊維由来100%の再生ポリエステル樹脂」だと説明した。加えて岩元氏は、原着素材のe.dye®との掛け合わせは、さらなる環境負荷低減に貢献し得るスキームであり、「ケミカルリサイクルによる繊維由来原材料」と「無水染色技術」を組み合わせる取り組みは業界でも例のない新しい挑戦だと述べた。

ホテルの部門別に見る導入論点 ──日常業務にどう落とすか

 

写真:完全持続型ユニフォームプロジェクト「GREEN UNIFORM」のプロダクト一覧
写真:完全持続型ユニフォームプロジェクト「GREEN UNIFORM」のプロダクト一覧

 制服運用の実装を考える際、ホテルでは部門ごとに論点が分かれる。フロント・ベルは見た目の統一やサイズ展開、更新時の欠品回避などが運用課題になりやすい。客室清掃は動作量と洗濯頻度が高く、耐久性や着用期間の設計がポイントとなる。料飲は汚れの付着やローテーション管理が発生し、更新・回収のルールが欠かせない。調理・厨房は安全性と作業性の要件が強く、現場適合を担保したうえで運用に乗せることが重要になる。宴会は繁閑差や多人数運用が前提となり、支給・回収のルール整備が導入効果を左右する。
 「GREEN UNIFORM」が工程全体を示すのは、こうした部門別の実務を横断し、回収までを含めた運用設計に接続するためでもある。山田氏が「導入企業のサステナビリティの取り組みを支援する」と述べた背景には、制服という“日常の意思決定”を、資源循環に接続する業務として組み直す狙いがある。
 

環境負荷削減量の可視化によりESGの説明材料へ

 

写真:QRコードによる環境負荷削減量の可視化例
写真:QRコードによる環境負荷削減量の可視化例

 「GREEN UNIFORM」は、環境負荷削減量を可視化する仕組みも採用し、第三者機関と連携して貢献度を示す方針を掲げる。ホテルではサステナビリティ施策の説明可能性が求められる場面が増えており、制服更新や回収のタイミングで、取り組みを社内外に説明する材料として活用できる余地がある。可視化の仕組みが採用企業側のESG対策に寄与し得るだろう。

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取材・文:オータパブリケイションズ 松島
Mail:matsushima@ohtapub.co.jp

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