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ラスベガス・サンズ・コーポレーションおよびサンズ・チャイナ

三軒目となるヨーロッパをモチーフとしたIR「ザ ロンドナー マカオ」の概要を公表

2019年05月10日(金)
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三軒目となるヨーロッパの都市をモチーフにしたIRの概要を公表
 
 ラスベガス・サンズ・コーポレーションおよびサンズ・チャイナは2019年5月8日、マカオにおいてイベントを開催し、ベネチアン マカオ、ザ パリジャン マカオに続く同社三軒目となるヨーロッパをモチーフとしたIR(統合型リゾート)「ザ ロンドナー マカオ」の概要を公表した。

 ザ ロンドナー マカオはサンズグループが主体となって開発を進めるコタイ・ストリップ地区に2020年〜2021年の間に段階的に開業を予定。新たに宿泊施設として、ホリデイ イン マカオをコンバージョンする形で誕生する「ザ ロンドナー ホテル」(594室・オールスイート)と、「セントレジス マカオ」(400室)に隣接する位置に開業する「ロンドナー アパートホテル」(368室)が開業。既存の「コンラッド マカオ」(654室)、「シェラトン グランド マカオ ホテル」(4001室)、およびセントレジス マカオとあわせて6000室を超えるIRが誕生することとなる。

 これまでサンズがベネチアン マカオが館内の至るところにベネチアの町並みを表現し、パリジャン マカオでは内外装のほか2分の1サイズのエッフェル塔をつくったのと同様に、内外装には19世紀後半のビクトリア朝のロンドンをイメージしたデザインを採用すると同時に、ザ ロンドナー マカオにはビッグベンやウエストミンスター宮殿国会議事堂をモデルにした施設を設置する。


ザ ロンドナー マカオのイメージ動画



これまでの実績で確かな手応えを得たスタイルで積極的な投資を実施
 
 サンズグループはベネチアン マカオ、ザ パリジャン マカオのプロジェクトを通じて、マカオを訪れる人々が「マカオに行ったらあそこにいきたい(must see)」という場所をつくり上げることで差別化を生み出すビジネスとしての手応えを感じているようだ。それを表すかのように当初同プロジェクトへの投資は10億米ドル(2017年)と公表されていたが、2018年には22億米ドルと引き上げられた。
 
 イベント内でもラスベガス・サンズ・コーポレーションのプレジデント兼COOであるロバート・ゴールドスティーン氏は「われわれがこれまで多額の投資をしてきたことからも、サンズグループがどれだけマカオにレジャーやビジネスのデスティネーションとしての魅力を確信しているかお分かりいただけると思う。ベネチアン マカオやザ パリジャン マカオがコタイ・セントラル地区における“must-see”の場所となったように、ロンドナーマカオも同様の場所となるでしょう。これら三つのアイコニックなIRがあることの相乗効果によって、ビジネス・レジャー双方においてラスベガスの成功同様にアジア・ヨーロッパエリアにおいても比類ないエリアとなるでしょう」と語っている。

ザ ロンドナー マカオ イメージパース
ザ ロンドナー マカオ イメージパース
ザ ロンドナー マカオ イメージパース


ロンドンの再現にディテールまでこだわる
D. ベッカムプロデュースのスイートルームも

 
 また、同イベントでサンズチャイナ社長のウィルフレッド・ウォン氏は、「われわれが創るものはすべてが素晴らしいものでなくてはならない。これまでベネチアン、パリジャンと成功をしてきた。実際アンケートをとってもベネチアンは常に上位に入っている。ロンドンの雰囲気を味わえる最高のものを提供しようと考えている」と、これまでの実績から得た手応えとロンドナーのプロジェクトへの意気込みを語った。

 また、サンズのアンバサダーであり、今回のロンドナー ホテルのスイートルームのインテリアデザインを手掛けるデビッド・ベッカム氏は「私は細部にまで徹底してこだわる。ロンドナーのデザイナーチームとロンドンで作業をしてきた。ロンドナーにはビッグベンなどロンドンとわかりやすいものもあれば、細かい部分でこだわった部分もある。私たちが今創り上げているロンドナーが皆さんをお迎えする日が来ることが楽しみでなりません」と、細部までにおよぶこだわりを語ると、ウィルフレッド・ウォン氏も「ロンドンには正統性がある。その正統性を表現することは容易ではないが、デザインをみてそれが実現できていると感じる」と、完成度の高さを期待させるコメントが聞かれた。


ザ ロンドナー マカオにおけるD.ベッカム氏のこだわりを紹介するショートムービー
 


足下ではゲーミング収入の成長が頭打ち
「あそこに行きたい」と思わせる施策が中長期的に必須か

 
 マカオのカジノ売上は2016年8月から2018年12月まで29カ月連続で成長を維持してきたが、2019年に入り1月は5.9%減、2月は4.4%増、3月は0.4%減、4月は8.3%減、1月〜4月では2.4%減とこれまで続いていたカジノ収入の伸びが頭打ちになっている。

 ロバート・ゴールドスティーン氏が語るように一般的なIR施設であるだけではなく、そこに“must-see”の要素を加えることで、競争激しい市場において打ち勝てる要因となるのかもしれない。

 日本のホテル業界でも、供給過剰によって単なる寝るだけのホテルが市場内での競争に苦しむ一方で、顧客から選ばれる要素を持つホテルが市場で優位なポジションを得ているのと同様の現象であり、サンズグループの取組みは今後本格化していく日本のIRにとって一つの参考事例になるかもしれない。(レポート:岩本 大輝)

 

イベントでは多様な演出もあり会場を盛り上げた
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