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海外からのメッセージ ハイアット ホテルズ コーポレーション アジア太平洋地区 グループプレジデント デイビッド・ユデル氏

“Care”の精神を大切に成長し続ける

2024年03月29日(金)
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 HOTERESの月刊化、そしてこの2月に創業70周年を迎える小社に対し、海外のトップホテル企業はじめ世界で活躍する諸氏からさまざまなメッセージが寄せられている。本編では2カ月間にわたり海外から寄せられたメッセージを紹介する。

ハイアットのパーパスは“People”
 

 まずはHOTERESの月刊化、そしてオータパブリケイションズの70周年をお祝いいたします。代表の太田進氏は私がパークハイアット東京の開業のために着任をした際、非常に多くのサポートをしてくださったのを覚えています。そして、今も変わらぬサポートに感謝をしています。

 私たちハイアット ホテル&リゾート(以下「ハイアット」)は1957年にロサンゼルス国際空港に隣接するハイアット ハウス モーテルを購入したジェイ・プリツカーによって創立され、その後66年の年月を経て現在は76カ国に1300軒以上のホテルを運営しています。

 私たちはパーパスとして“WE CARE FOR PEOPLE SO THEY CAN BE THEIR BEST.(私たちは思いやりの心で、相手の「最高」を導き出します)”を掲げています。“Care for the people”、ホテルに関わる人たちを大切にするというのがハイアットのコアにあります。

 ホテルビジネスは数字だけでは分析できないものがあると考えています。同じようなデザインで、同じようなスペックのホテルでも、そこから生み出される価値は異なります。その理由は“人”です。特にラグジュアリーホテルがそうでしょう。だからこそ私たちはこのパーパスを大切にしているのです。

 また、この“人”というのは、お客さまはもちろん、スタッフ、オーナー、すべての関係者を含みます。そうした“Care”の精神が、ハイアットを成長させてきました。そして、価値観が多様化する現在、昔以上にその“Care”の精神が大切になっていると考えています。
 
 
ハイアットといえばF&B
 
 また、ハイアットが大切にしているものとしてF&Bがあります。多くのホテル企業がRevPARを中心に話をしますが、ハイアットではF&Bも売り上げやホテルの価値において重要な部分を占めています。日本のハイアットブランドのホテルでもさまざまなレストランやバーを運営している通り、私たちはF&Bを大切にしています。

 既存のホテルでも多くの方にご評価をいただいているレストランやバーのほか、最近の事例としては、昨年末に開業したホテル虎ノ門ヒルズ アンバウンド コレクション by ハイアットのレストラン『ル・プリスティン東京』では、長年ミシュランの星に輝くオランダのスターシェフで起業家のセルジオ・ハーマン氏をパートナーに迎えたカジュアル・ファインダイニング・レストラン&カフェバーをオープンするなど、F&Bには力を入れています。
 

 2024年以降の成長のポテンシャルと鍵
 

 コロナ禍中は非常に厳しい時期が続きましたが、2023年でもADRでは2019年を超えており、2024年はさらに良くなると見ています。現在アジアにおけるハイアットは約260軒ありますが、さらなる成長のためには中国マーケットの回復が鍵になると見ています。

 また、CSも重要なポイントです。コロナ禍ではお客さまとスタッフの接点が大きく減ったりするなど、ハイアットの魅力をしっかりと提供することができない環境でした。アフターコロナとなり、私たちのブランドを完全にお客さまに体験いただけるようになります。それを踏まえると2024年はよりよい年になると考えています。

 そして、ハイアットは開発における成長にも積極的です。大手チェーンと比較すると規模は小さいですが、質の高いホテルを運営することで評価を得てきました。私たちはハイアットのブランドのコンセプトに合うホテルブランドを買収、提携することでさらなる成長を目指しています。例えば2017年に私たちのグループとなった「Miraval(ミラバル)」はオールインクルーシブのマインドフルネスやウェルネスにフォーカスしたブランドで、アーユルベーダをはじめとした複数のスパのほか、サイクリングやハイキング、乗馬、料理体験など数多くの体験を提供しています。

 そのほか、ハイアットは現在28のブランドを有するだけでなく、「スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(SLH)」との提携も行なっています。
 

ハイアットだからできることに注力
 
 私たちはブランドを非常に大切にしています。世界的なチェーンとしてはまだ小規模ではありますが、小規模だからこそできる、各ブランドのコンセプトを体現できているのかというのをチェックできる体制があり、そこを磨き続けています。私たちは“Halo Effect(後光効果)”を大切にしており、ハイアットのホテルに泊まっていただいた際にそのブランドの魅力を感じていただいて、ハイアットしか見えないという魅力を伝えることを大切にしています。

 そのためにはパーソナライズされたサービスはもちろん、ロイヤリティプログラム『ワールド・オブ・ハイアット(WORLD OF HYATT)』においても、ただポイントを宿泊に使うだけでなく、ほかには無い体験に使えるとか、社会的な意義のある活動に参加できるなど、ワールド・オブ・ハイアットのメンバーであることにお客さまが誇りに思っていただけるようなプログラムとなるように取り組んでいます。

 また、国内では昨年、関連会社と㈱Kirakuを合弁事業契約を締結し、同社と国内で『ATONA』ブランドの温泉旅館を開発する事になりました。ハイアットのブランドを通じて海外のお客さまに日本が古来から持つさまざまな魅力を世界に発信していきたいと考えています。その地にある文化、自然、歴史的な遺産、歴史をつないできた職人や現地の方々をいかに守るのか、それを大切にしています。
 
 
日本のポテンシャル
 
 私は実際にパーク ハイアット 東京の総支配人として日本にいたことがありその魅力を理解していますし、コロナ禍中に公表されたさまざまなランキングで示されている通り、日本は大きなポテンシャルを持っています。また、コロナ禍で日本の方も海外に行けない中で日本の魅力に気付かれたということもあると思います。

 それを受けて、ハイアットも都市部だけでなく地方都市も含めたさらなるホテル開発の可能性を感じています。一方で、地方ではその地に対するリスペクトも大切です。その地域のことを考え、私たちがどのように貢献できるのか。それは、ハイアットの“Care”の考え方にも共通しています。人々はもちろん、コミュニティも大切にする。そのセンシビリティをハイアットは持っています。これからも、私たちの“Care”の精神を大切にし、今後も日本を含め成長を目指していきます。


profile
コーネル大学ホテル経営学部卒。1982年ハイアット入社。経営幹部候補としてハイアット リージェンシー シンガポール(現:グランド ハイアット シンガポール)に勤務。その後、バンコク、ソウル、香港などアジアの主要都市でさまざまな役職を歴任。92年パーク ハイアット 東京の開業準備室に参画し、94年の開業を経て96年まで勤務。その後グランド ハイアット 香港の総支配人を経て2001年アジア太平洋地区オペレーションズ担当シニアヴァイス・プレジデント、12年よりグローバルオペレーションズ担当シニアヴァイス・プレジデントを務める。14年7月より現職。

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