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SPECIAL INTERVIEW  ㈱エイチ・アイ・エス代表取締役会長 ハウステンボス㈱ 代表取締役社長 澤田ホールディングス㈱ 代表取締役社長 澤田 秀雄 氏

エネルギー、ロボット、植物工場が H.I.S. の未来を支える中核事業である

【月刊HOTERES 2016年06月号】
2016年06月17日(金)
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日本の空の旅の変革を求めて多くの挑戦を繰り返してきた株式会社エイチ・アイ・エス(H.I.S.)は、旅行業を軸にしながらも、ハウステンボスを拠点にビジネスのウイングを大きく広げてきた。ロボットが接客サービスを行なうという唯一無二のコンセプトで世界中を驚かせた「変なホテル」は進化を遂げ、さらにロボットが料理やドリンクを提供する「変なレストラン」も展開していく。AI(人工知能)の研究開発が猛烈なスピードで進行する中、「ロボットの王国」を“ 建国” することで、完全に未来を先取りしようとしている。未来の夢はまだまだ続く。水上ホテル、水中都市、宇宙ホテル、そして植物工場と、思い描いてきた数々の夢の実現に手が届くところまで来ているのだ。その中核事業を大きく転換しようとしているエイチ・アイ・エス代表取締役会長、澤田秀雄氏に、心からわくわくできる未来のリゾートのビジョンを語ってもらった。

変わり続ける「変なホテル」は
進化を遂げた第2期棟が開業
 
――2016 年3月15 日、「変なホテル」第2期棟が開業しました。
             
第2期棟(ウエストアーム)の72室が開業したことで、2015 年7月に開業した第1期棟(イーストアーム)の72 室と合わせて、当初計画の全144 室が完成しました。これをもって「変なホテル」はグランドオープンとなりました。おかげさまで第2期棟の開業後も順調に推移しています。
 
第2期棟は日本初となる、CLT工法で建設されたホテルです。CLTはCross Laminated Timber の略称で、ひき板を並べた層を、板の方向が層ごとに直行するように重ねて接着した大判のパネルです。寸法安定性の高さ、厚みがあることから高い断熱・遮音・耐火性が期待できるとともに、持続可能な木質資源を利用していることによる環境性能の高さもメリットとなっています。
 
今回は100%九州産、内20%は地元の長崎県産の杉材を使用しました。「変なホテル」第2期棟への採用が契機となり、将来的にCLT工法が普及していけば、地元の林業振興にも寄与できるのではないかと考えています。通常は木材で2階建のホテルを造ることはなかなかできないのですが、建設コストの削減にもつながり、世界展開が可能なCLT工法を導入することでそれを実現できたのです。木でできたホテルは暖かいので、泊まり心地も素晴らしいと思います。
 
――第1期棟に比べて、第2期棟ではロボットも進化していますか。
 
「変なホテル」は“ 変わり続けることを約束する” をコンセプトに掲げ、最先端技術の進化に合わせて、進化と変化を継続していきます。
 
今回はロボットについても進化しています。従来、フロントロボットが話せる言語は2体中1体が日本語と英語、もう1体が日本語のみでした。今回は計3体となり、日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語に対応できるようになりました。また、以前は会話の一つのパターンが終わるとお客さまにボタンを押してもらっていましたが、言語選択以外のボタン操作を省き、より対話性の高いシステムへとバージョンアップしています。
 
客室内のロボット「ちゅーりーロボ」も、日本語に加えて英語にも対応できるようになりました。さらに共用棟内のロビーには、コミュニケーションロボットが新たに追加されており、今後、AI を活用したコンシェルジュロボットも導入予定です。
 
――省エネルギー化への取り組み、光熱費の自給率向上に向けたシステムも導入されています。
 
第2期棟の大きな特長の一つとして、自立型水素エネルギー供給システムの導入があります。日照時間が長い夏季は太陽光発電でエネルギーをまかない、その余剰電力を活用して水素を製造し、タンクに貯蔵します。冬季は水素によって燃料電池を発電することで、第2期棟の電力を365 日、自給自足していきます。
 
まだ開発途中の設備で、今のところ生産性が合わない部分もあります。おそらく10 年、15 年後の未来の技術ですから、将来的に普及していくことが期待されます。


「変なホテル」のフロントはロボットがゲストを迎える

一晩かけてゆっくりと島を目指す
「水上ホテル」プロジェクトが本格化
 
——「変なホテル」のプロジェクトは、第2期棟で一区切りですか。
 
グランドオープンした「変なホテル」は、これから海外展開していくフェイズに入っていくことになります。既に諸外国から開業依頼を受けているのですが、まずは1年間やってみて、何か問題点がないか洗い出してみる必要があります。
 
ただ、これまでのところ期待していた機能、性能はほぼクリアしていますし、第1期棟のオープン時に比べてさらに効率化が進んでいます。以前は30 名の人間のスタッフが従事していましたが、今は12 名まで削減できました。次の段階ではおそらく9名体制で朝、昼、夜のシフトを組み、休みを取りながら仕事にあたることになりますから、実質的には常時2名程度の人間、そしてロボットによってサービスを提供することになると思います。「変なホテル」は生産性が非常に高く、今のところ大きなクレームもありませんから、将来に向けた世界展開は問題なくスタートすることになるでしょう。
 
――2016 年7月16 日には、同じくハウステンボスに「ロボットの王国」がグランドオープンすると発表されました。
 
ハウステンボスはこれまで、「花」「光」「ゲーム」「音楽とショー」「健康と美」の5つの王国を展開してきました。第6の王国として展開する「ロボットの王国」では、世界最先端ロボットが登場します。「ロボットの王国」を構成する「ロボットの館」は、ロボットと遊び、作り、体験できるミュージアム、日本最大級の品揃えを誇るロボットショップ、そしてロボット企業ブースが集まる複合施設です。
 
また、200 年後のレストランをテーマにした「変なレストラン」が、ロボットの店長とシェフが取り仕切る未来のレストランとして開業します。ロボットホテルが成功しましたから、今度はロボットレストランを創ってみようという発想から誕生しました。AI(人工知能)が店長を務め、お好み焼き、焼きそばといったフードメニュー、カクテルなどのドリンクをロボットが作って提供します。 そしてもちろん、世界から高い注目を集めている「変なホテル」では、進化を続けるロボットたちが日々お客さまをお出迎えするのです。
 
——新たなチャレンジにも着手しているとのことですが、具体的には未来に向けてどのような施設がハウステンボスに造られていくのでしょうか。
 
構想の実現化に向けて準備を重ねてきた「水上ホテル」は、強化プラスチックの実験に成功しました。水に浮かべて私たちが内側に入ってみましたが、まったく問題ありませんでした。いよいよ実用化に向けた製造準備に入りますが、まだ1、2年はかかるでしょう。
 
当初は20 室程度からスタートしようと考えています。最近、私たちは大村湾にある無人島の一つを購入したのですが、これからその島を開発していきます。ハウステンボスから水上ホテルにチェックインして、眠っている間にゆっくり、ゆっくりと揺れないように進んで行きます。普通のボートなら15 分から20 分の距離にある無人島を、一晩かけて目指します。翌朝、お客さまが目を覚ますと、ホテルは島に到着しているのです。
 
県や国の単位でも、ハウステンボスのある大村湾全体をリゾート化しようという構想で動いています。私たちとしては、大村湾の無人島を一つずつ、たとえば「ファミリーアイランド」「恐竜アイランド」といったようにテーマ性を持たせた形で開発していきたいと考えています。そしてそれぞれの島には、水上ホテルで泊まっていただこうというプロジェクトなのです。
 
この形が完成すれば、これまで1、2泊でハウステンボスを訪れていたお客さまが、3、4泊されるようになり、平均滞在日数の長期化にもつなげていけると思います。


水上ホテル(イメージ図)

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