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現地レポート 

世界最大規模のワイン見本市 第50 回VINITALY(ヴェローナ)開催

【月刊HOTERES 2016年07月号】
2016年06月28日(火)
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VINITALYのエントランス周辺と会場正面。会場の「ヴェローナ・フィエーラ」の中は20 以上のホールに分かれている
VINITALYのエントランス周辺と会場正面。会場の「ヴェローナ・フィエーラ」の中は20 以上のホールに分かれている

世界一のワイン生産量(2015 年)を誇るイタリア。南北に長く、郷土色の強いワインは料理と共に、わが国でも長く親しまれている。今年で50 回を迎えた世界最大級のワイン見本市を毎年のように見続けてきた林茂氏による、現地からのレポート。

林茂(はやし・しげる)
ソロイタリア代表
イタリアプロフェッショナルソムリエ。13 年間のイタリア駐在期間、1995 年に日本人初のイタリアプロフェッショナルソムリエの資格取得。日伊の食文化交流に貢献した功績によりカテリーナ・ディ・メディチ賞を受賞し、パルマ・アリメンターレ協会が優れた記事を書いたジャーナリストに与えるインターナショナルな賞「マリア・ルイージャ賞」を日本人で唯一受賞している。著書に「最新基本イタリワイン」など多数

VINITALY のエントランス周辺と会場正面。会場の「ヴェローナ・フィエーラ」の中は20以上のホールに分かれている
VINITALY のエントランス周辺と会場正面。会場の「ヴェローナ・フィエーラ」の中は20以上のホールに分かれている

国外からの注目度がさらに高まる
 
 毎年4 月に開催される世界最大規模のワイン見本市「VI NI TALY」(ヴィニタリー)が今年も4 月10 日から13 日までの4 日間、「ロメオとジュリエット」で知られるイタリア、ヴェネト州のヴェローナで開催された。
 
 今年で50 回を迎えた「VINITALY」は、ヴェローナ・フィエーラ(ヴェローナ見本市会場)の年間最大のイベントになっている。今年は、4100 のワイン生産者が出展し、4 日間に13 万人の来場者を記録した。外国からの来場者は世界140 カ国から5 万人を超え、2 万9000 人のバイヤーが来場し、国際的なワインイベントとしての要素がさらに強まった。特に主要輸出国から来場するバイヤーの伸びが顕著だ。アメリカが25%、ドイツが11%、イギリスが18%、フランスが29%、カナダが30%、日本が21%、北ヨーロッパが8%、オランダが24%、ロシア+ 18% で、中国は実に130% の増加が報告された。BtoB イベントも300 以上を数えたという。
 
 また、ヴェローナの街中で行なわれた、「VINITALY AND THE CITY」には、ワイン愛好家を中心に2 万9000人が参加した。
 
 11 日には、イタリアのマテオ・レンツィ首相が来場し、世界的に知られる「アリババ」の創始者、ジャック・マ氏とワインのデジタルセールスについて意見が交わされた。
 
 さらにこの夜には、古代ローマの遺跡である野外円形劇場「アレーナ」にて、「VINITALY」のガラ・ディナーが行なわれた。ワイン生産者100 社、外国人バイヤー、ジャーナリスト合計300 人以上がアレーナの中の特設会場で時間を共にした。このディナーの料理を指揮したのは、イタリア指折りのシェフ、カルロ・クラッコ氏。3 種の料理にデザートを加え300 人以上にこの場所でサービスするのは大変なことであろうと思われるが、期待に応え、ワインに合った素晴らしい料理が披露された。また、生産者から「まさにこのガラ・ディナーのようなディナーはほかのヨーロッパのワイン生産国では難しく、イタリアでなければできないこと。素晴らしいワインと料理、それに歴史的な建物の中で大いにイタリアを楽しんでください」とあいさつがあった。
 

VINITALY 前日に開催された「OPERA WINE」
VINITALY 前日に開催された「OPERA WINE」

イタリア全体として質が向上
輸出への期待がさらに高まる
 
 毎年行なわれる「VINITALY」は、イタリアの3 万軒に及ぶワイン生産者にとってもワイン関係者にとっても重要なイベントだ。もはやサロン化しており、年に一度、互いに顔を合わせる、オフィシャル・パーティーの場になっている。会場は20 以上のホールに分かれ、イタリアの各州のホールのほか、有名ブランドの並ぶホール、ワイン関連商品の展示ホールなども用意されている。会場内では、各種講演会、セミナー、試飲会も行なわれ、私が参加したイタリア大使館貿易促進部のミッションにも日本から17 人が参加し、生産者協会や商工会議所によって企画された試飲会やセミナー、イベントに参加した。
 
 ヴェローナ・フィエーラ(ヴェローナ見本市会場)は、もともと馬の品評会に使われる会場として知られていたが、1967 年に「イタリアのワインの日」のイヴェント会場として使われてから、69年には130 社が参加し、78 年には、インターナショナルなワイン見本市となり、今年で50 回を迎えた。
 
 98 年以降は海外でも開催されるようになり、上海、アメリカ各地、東京、モスクワ、サンクトペテルブルグなどで開催されるようになっている。
 
 イタリアワインの輸出量は世界一を誇るが、2015 年は、生産量で世界一の量で、その品質もイタリア全体として向上してきており、さらなる輸出への期待が高まってきている。
 
 筆者も「VINITALY」には83 年から参加しており、今年で27 回を数えた。ミラノのレストランの支配人時代は、興味のあるワイナリーのブースを訪問し、そこで試飲をさせてもらい、店で使うワインを注文していた。例えば、毎月、月初めに5ケースずつ、というふうにその場で注文票にサインして1 年分を予約するといった具合に。今では少なくなったとはいえ、「VINITALY」というのはワイン見本市という位置付けのほかに、こうした実際の商売の場としても機能している。従って、ブースによっては、来客者用に独自のパンやチーズのみならず、生ハム、パスタなども用意しており、極めてフレンドリーに仕事を進める。いかにもイタリアらしい。
 
 さらに、開催前日には「OPERAWINE」と題した、アメリカの専門誌「ワインスペクテイター」が選出したイタリアトップ100 社の試飲会が開催され、有名どころのワインを求めて集まる人でごった返していた。このほか、開催期間中は、グループや生産者が各種のイベントを催し、ジャーナリストや業界人は掛け持ちで参加する人も少なくない。ヴェローナの由緒ある館において、素晴らしいイタリア料理と音楽、ワインと雰囲気でもてなしと、各ワイン生産者が外国人にイタリアワインのファンになってもらおうと凝った企画が多くなってきている。

 2017 年のVINITALY は、2017 年4 月9 日から12 日までの4 日間で開催される予定になっている。

 

古代ローマ遺跡「アレーナ」で行なわれるガラ・ディナー。生産者100 社、外国人バイヤーやジャーナリスト300 人余りが集まった
古代ローマ遺跡「アレーナ」で行なわれるガラ・ディナー。生産者100 社、外国人バイヤーやジャーナリスト300 人余りが集まった

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