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キユーピータマゴ東京工場 (EGG BASE) 

30 年先を見据えたコンセプトが切り開く新たな加工卵の可能性 加工卵の活用で厨房の効率化とクオリティーアップを両立

【月刊HOTERES 2016年09月号】
2016年09月16日(金)
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キユーピータマゴ㈱(東京都調布市、代表取締役社長:楠本 正)が昨年春に、埼玉県飯能市に新設したEGG BASE。ニーズが多様化する市場に向け生産力の向上と提案力の強化を図ることが狙い。主な製造品目は、業務用向けの液卵。殺菌済みなので、サルモネラや黄色ブドウ球菌などの心配がなく、安心して使用することができる
 

【工場概要】
所在地:埼玉県飯能市茜台3-4
建築様式:鉄骨造地上4 階建て
工場面積:建築面積4623㎡
延べ床面積:1 万1272 ㎡
敷地面積:1 万9190 ㎡
稼働開始:2015 年3 月23 日
主な製造品目:業務用向け液卵・凍結卵(大型
容器、ピロー、小袋など)
生産能力:年間約3 万1000 トン
従業員数:約80 名
設計:㈱創元設計
施工:清水建設㈱

一般消費者のみならず、ホテルやレストラン関係者にとってもキユーピーグループの商品はなじみ深い存在だ。同グループの事業は自社製品・サービスの販売拡大にとどまらず、フードサービス市場の発展への貢献、さらには社会貢献・食育・環境活動と、広範囲・多岐にわたっている。本稿では、キユーピーグループの中核ビジネスの一つである加工卵の製造と販売を担うキユーピータマゴ㈱の東京工場 (通称“EGG BASE”)の見学をした際の所感と、加工卵製品の導入がホテルや外食事業者にもたらすメリットについて考えてみた。

見学コースのガラス越しに膨大なタマゴが高度にオートメーション化された作業工程を経て、液卵として次々と袋詰めされていく。工場の規模・生産能力からすると、従業員の数はかなり少ない印象だが、食の安全・品質にかかわる工程においては“ひとの目と手”が行き届いていることがはっきりと分かる

従来のタマゴ工場を超えた役割を担う
“EGG BASE”
 
 西武池袋線飯能駅からクルマで10 分ほどの距離にあるキユーピータマゴ東京工場(以下EGG BASE)が稼働を始めたのは昨年3 月。まだ内外観に真新しさの残る同工場の主な製造品目は業務用向け液卵だ。
 
 EGG BASE の最大の特徴は、生産設備としての役割だけでなく、ユーザーとの対話を深め、そのことで得られるニーズを商品やサービスの開発・提案に生かすための拠点としての役割(=「ファクトリーコミュニケーション」)を備えた点にある。アイデアをカタチにするための、ホテルの厨房顔負けの規模と設備を備えたトライアルキッチンほか、卵の特徴や魅力を多様な切り口で紹介する資料館、意見交換などに最適な環境のコミュニケーションスペースなどが設けられているのもそのためだ。
 
目を見張るキユーピータマゴの
加工卵の品質へのこだわり
 
 EGG BASEには、優良な養鶏場から日々膨大な数の卵が納品され、徹底した品質管理と安全管理対策を施されたクリーンな環境下で洗卵・割卵・加熱殺菌・冷却などの製造工程を経て加工卵として出荷されていく。
 
 ご存じの通り、今や加工卵はホテルや外食チェーン、病院など大量調理施設の厨房でも当たり前に使われている。加工卵を使う最大のメリットの一つが “ 経済性” だ。人の手でその都度膨大な数の卵の殻を割ったり、卵黄と卵白を混ぜたり分けたりする作業、そして殻の処理などに費やされる見えないコストをカットできるので、調理・オペレーションの大幅な効率化が実現できる。
 
 しかしながら、特にある程度のクラスのホテルではゲストの期待を裏切らない高いクオリティーの料理を提供することが不可欠なため、品質面で信頼のおけるメーカーの加工卵を選ぶことは極めて重要だ。値段が安くとも風味や衛生面に不安を感じるような加工卵を使うべきではない。


EGG BASE の最大の特徴はユーザーとの対話を深め、そのことで得られるニーズを商品やサービスの開発・提案に生かすための拠点としての役割(=「ファクトリーコミュニケーション」)を備えた点だ。写真はコンセプトを象徴するコラボサロン

ラインで働くスタッフの姿に感動
 
 今回EGG BASE の生産ラインを見て特に印象に残った点は、高度にオートメーション化されてはいても人の目や手による職人的なスキルが随所に生かされていることだ。
 
 例えば機械的な選別をまぬがれたささいな血玉、ミートスポットの検品をしているスタッフの姿から「流れ作業の一部を機械的に処理しているだけ」といったいわゆる“ やらされている感” は微塵も感じられず、逆に「品質を担保しているのは機械ではなく自分たちだ」という気概のようなものを強く感じた。
 
“ 企業は人なり” である。そういう意味では、EGG BASE の生産ラインのスタッフから感じたものは、キユーピータマゴの、ひいてはキユーピーグループ全体の企業体質を象徴しているとも言える。キユーピーグループの商品が多くのホテルやレストランから厚い信頼を得ている理由の一端に触れることができたように思う。

EGG BASE の施設見学は主にパートナー企業向けに行なわれている。ベースファクトリーの見学では、「卵を管理している貯卵庫」、「納品された卵を人の手で水槽に投入しての洗卵」、「1 分間に600 個割る割卵」、「箱詰め」といった一連の工程をガラス越しにつぶさに観察できる

偏見を捨て加工卵採用の検討を
 加工卵が普及したといっても、いまだ殻付き卵を使っているホテルも多い。それでも現場で適切な管理・処理が行なわれていれば問題はないが、殻付き卵を使う場合に求められる衛生管理上の必須項目はかなり多く、しかもそれを厳格に行なうことはかなり困難だ。具体的には「血玉・卵殻の混じりや鮮度のチェック」、「加熱殺菌」、「殻を割った後の鶏卵をすぐに使用しない場合の管理」などである。
 
 取材などで厨房をのぞくと、殻を取り除かれた鶏卵が大きなボールに入れられた状態で長時間常温にさらされていると思われる光景を見かけるなど、「本当に適切な衛生管理が行なわれているのかな」と疑念を抱かざるを得ない場面に出くわすことも少なくはない。
 
 もし、殻付き卵の適切な衛生管理が難しいようであれば、品質に信頼を置ける加工卵の導入を検討してみるべきではないだろうか。そして、どのメーカーと取引するか迷うことがあれば、シェフが産地に自ら赴き食材の品質を確認して取引を決めるように、EGG BASE を見学してみてはいかがだろうか。

タマゴ工場を超えた役割を担うEGG BASEを象徴するのが本格的な厨房機器を取りそろえた広々としたトライアルキッチンの存在。新商品開発のためのラボ的な機能を備えている。キッチン前方のスペースにはイスやテーブルを並べたスペースが設けられており、講習会場にもなる

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