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分煙ケーススタディ ホテル日航成田 

さまざまなスタイルの分煙スペース設置が顧客満足を向上

【月刊HOTERES 2016年10月号】
2016年10月28日(金)
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左から管理部 部長代理 施設グループ 直箟俊行氏、総支配人 吉髙誠氏、総支配人室 マーケティンググループ長 櫻井洋司氏

インバウンドニーズに対する対策として分煙環境整備の促進が進む中、ホテルの分煙環境に対しても日々、必要性に対する声が高まっている。そこで今回はインバウンド利用も多い“ 空港近くにあるホテル”を切り口に評価の高い喫煙ルームを有するホテル日航成田の吉髙氏、櫻井氏、直箟氏の3 名にお話を伺った。

お客さまの利用スタイルに
合わせて作られた喫煙ルーム
 
 ホテル日航成田には全館で3 カ所の喫煙所が用意されている。まず一つ目は2013 年のロビーの改修に伴い設置された1階の喫煙ルームだ。以前はフロントから客室へと移動する導線の途中に喫煙所が用意されており、ガラスで仕切っただけの旧式の分煙器2 台で対応したスペースだったため、“ 煙が外にもれる、機械が作動することで排気に臭いがつき、それによる臭いが問題となる” などお客さまに心苦しい点があったという。そこでもともと倉庫として使用していた場所を活用し、喫煙所を移動させた。換気、排気等の技術的な面についてはJT の分煙コンサルタントに相談し、厚生労働省が定める「分煙効果判定基準策定検討会報告書」の基準にかなった喫煙ルームを作り、デザインについては隣接するカフェとの親和性を考えスタイリッシュなものを採用した。内装やテーブルとイスが設置されているところから「喫煙可のカフェ」だと勘違いされるお客さまもいるほどで、“ オシャレだ” と好評だそうだ。
 
 二つ目の喫煙所はバーおよびすし店のある11 階に設置されている。こちらは1階に比べてシンプルな作りとなっており、廊下の一部に全面をガラスで仕切った個室スタイルで設置されている。バー利用、すし店利用の途中に使う喫煙所ということで、スタンディングで利用する仕様になっている。以前はバーの施設内を分煙にしていた。これはお酒を飲みながらたばこを吸いたいというお客さまが少なからずいたからだ。その中であえてバーを禁煙にし、別途喫煙所を設置することは悩ましくもあったが、たばこの煙でお酒を楽しめないお客さまの存在も無視することもできず、また場所柄トランジットで利用されるお客さまも多く、少ない日本の滞在時間を心地よく過ごしていただくことを第一義に考える中、別途喫煙所を設けることがすべてのお客さまに対して最善の解決策であると考え、今のスタイルに踏み切った。現在のスタイルにしてからの方がたばこを吸わないお客さまのみならず、吸うお客さまからもおおむね好評だということだ。


隣接するカフェで買った飲み物と共に入られるお客さまがあるなど使い心地がよいせいか、非常に利用客が多いという


全体的に明るい色合いで統一され、コーヒーショップのような1 階の喫煙ルーム。24 時間利用可能となっている

屋外もあえて分煙に・・・
 
三つ目の喫煙所は人気プランであるバーベキュー会場のあるガーデン内に今年、新たな試みとして設置した。昨年までは屋外ということでテーブルでの喫煙を可としていたのだが、今年はテーブルでは禁煙とし敷地の外れに塀で囲った喫煙所を設けた。が、屋外の施設であるので囲いはこの壁のみで喫煙中からも空が見え、外の空気に触れながらたばこを吸うことができるゆえ、開放感もありこちらも好評とのことだ。特に愛煙家とはいえ、家族連れでの来店も多く、また料理が並ぶテーブルでたばこを吸うことに抵抗があるお客さまも少なくないこともあり、この喫煙所の登場は家族皆が気がねや我慢をすることなくバーべキューを楽しめるという声も多いそうだ。
 
四つ目の喫煙所
 
 実はホテル日航成田には館内にもう一つ喫煙所がある。従業員の休憩室だ。これは現総支配人の吉髙氏が昨年秋に着任以降に手掛けた試みの一つだ。以前の従業員用の喫煙室はあまりよい環境ではなかったそうなのだが、たばこを吸うお客さまもそうでないお客さまも同じく同社にとって大事なように、たばこを吸う従業員もそうでない従業員も同じく大切な存在であるという理念のもと、旧喫煙室を廃止し新たな喫煙所を設けることにした。場所はたばこを吸わない従業員も利用する休憩室の中だ。外にたばこの臭いが漏れないタイプのはめ込み型の分煙スペースを設けたことにより受動喫煙の問題も解決され、たばこを吸わない従業員にも心地のよい休憩室を作った。この休憩室を設置したことにより、休憩場所が分かれていたことにより以前にはあまりかかわる機会を得られなかった従業員間のコミュニケーションも増え、さらにたばこを吸う従業員にとっては就業環境が向上したことによるES の高まりもあり、結果として職場の士気向上にも効果があったという。これらはお客さまへのサービスクオリティーにも多少ならず影響を与えていると考えられ、お客さま向けの分煙環境の整備はもちろんだが、就業環境における分煙環境の整備もホテル日航成田の取り組みは参考にするべきモデルケースであると言える。


ガーデン内喫煙所の内側。シンプルだが目隠しの高さや入り口の場所などたばこを吸う姿が食事を楽しむお客さまの視界に入らない工夫がされている

バーベキュー会場にもなるガーデンに設置された喫煙所(茶色の塀で囲まれた部分)
11 階に設置されている喫煙所。既成モデルは扉がついていないデザインなのだがたばこを吸わないお客さまに安心していただけるよう扉をつけた特別仕様にした

 
インバウンド利用による施設満足度も向上
 
 先述した通り、本ホテルは空港近隣の宿泊施設ということもありインバウンド観光客による利用も多く、平均して約6 割の利用者が外国からのお客さまだという。特に中国からのお客さまが多く、施設満足度もこれら喫煙所の導入による向上が見られたという。さらに明確な「場」が設けられていることでたばこを吸わないお客さまはもちろん、文化の違いによるマナーの違いからくるトラブルもなくなったそうだ。現在、宴会棟のみ分煙スペースの不足を感じる場合もあるとのことで、ここへの設置も今後検討していきたいとのこと。“ お客さま皆さまが快適な空間の実現” にホテル日航成田の取り組みはまだまだ続いていく。
 
 


ホテル日航成田  http://www.nikko-narita.com/

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