今や冷凍スイーツは「使う・使わない」ではなく「どう使うか」
　国内主要都市のホテル需要が急激に拡大する中、関西圏の客室稼働率は東京を抜き国
内第一位となった（2015 年度調べ）。だが、喜ばしいデータの裏側では、F&B やブライ
ダル部門での労働力不足問題などが深刻化。さらに昨今のスイーツブームから、レスト
ランやパーティー会場、そしてブライダル会場では充実したスイーツメニューが求めら
れるように。しかし、パティシエの労働力には限界があり、ニーズに応えていくには「冷
凍スイーツの導入が不可欠」となっている。
 
　ホテルニューオータニの中島氏は、ホテルが冷凍スイーツを導入する際のポイントとして「例えばケーキなら、冷凍ケーキに自分たちの作ったクリームなどを掛け合わせることで、ホームメイドなケーキに見せる必要がある」とアドバイス。ジョエル淀屋橋の木山氏は「菌を増やさず、でんぷんの劣化を防ぐことが唯一できるのが冷凍デザートである」と食の安全性における強みについて言及。リーガロイヤルの市原氏は「パティシエの手作りではなかなか対応しにくい豊富なメニューをラインアップできる」というメリットを述べた。松岡は、ホテル経営者であった立場から「近年の冷凍技術の進歩による生産性と利益への効果」を語った。

試食会場に並べられたスイーツは150 品の中からホテル向けのものをチョイス

多彩なメニューバリエーションは朝食バイキングにもうってつけ

冷凍ケーキはチョコレートとの相性が抜群
 
　第2 部の冒頭では、味の素冷凍食品の熊田販売企画グループ長が、ホテルが冷凍スイーツを導入する4 つの効果「多種の品ぞろえ」「衛生的」「食材の在庫リスクの回避」「高クオリティで均一な味の提供」と、「専門のパティシエを設けられないホテルでもお客さまが満足できるスイーツの提供が可能」という利便性について取り上げた。また、味の素冷凍食品ではインバウンド対応向けにスイーツ製品のすべてに英語、中国語、韓国語の商品プレートの用意があるという。セミナー参加者は、パネリストとともに、ホテルやブライダル施設向けにセレクトされた製品を試食。その後のトークセッションでは、忌憚のない意見交換がなされた。
 
「冷凍技術の進歩により、食感や状態はフレッシュなものと変わらないぐらいの水準にあるのを改めて感じた。冷凍ケーキと特にマッチングする素材はチョコレートなのは間違いない。また、有害な菌が繁殖しやすいチーズケーキは、冷蔵ではなく冷凍した形で移送して解凍し、提供するのが一番安全」（中島氏）。
 
「冷凍スイーツの味はすでに一般の方たちが十分に満足するレベルにまで進歩している。さらに一流のプロたちが積極的に取り入れたいと思う領域へ到達できれば、ホテルのランクに関係なく、需要が拡がっていくはず」（木山氏）。
 
「巨大な冷凍庫を備えていない小規模のホテルでは、小スペースにも収納可能なサイズが好まれる。また、パティシエが不在のホテルからは、冷凍ケーキをどう扱っていいか分からないという声も聞く。そういう現場には、例えばメーカー側から、扱う製品の盛り付けのサンプル写真などが提供されれば、喜ばれるのは間違いない」（市原氏）。
 
　スイーツ需要の高いブライダル施設や、パティシエを配備していないホテルを運営する参加者からの相談に対しては、パネリストたちがケーキデコレーションのコツをレクチャー。盛況な雰囲気な中、同セミナーは幕を閉じた。