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レポート 

「受動喫煙防止法案」についての今、そしてこれからを考える

【週刊ホテルレストラン2017年07月28日号】
2017年07月28日(金)
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今国会での提出が見送られた「受動喫煙防止法案」。現在、“ 現実的かつ理にかなった” 法整備へ向けて関係各所が協議を進めている。そこで今回は先日行なわれた都議選の結果も踏まえ「受動喫煙防止法案」の今がどのような状態になっているか? また宿泊施設および飲食店の経営者はこの問題にどのように取り組むのが有用なのかについて紹介していく。

約8400 億円、約120 万筆
 昨年、厚生労働省から出された「受動喫煙防止法案のたたき台」の対象として宿泊施設および飲食店が含まれていたことに多くの業界関係者が経営の危機を感じたことは既報の通りだ。弊誌3 月24 日号でもお伝えしたように現状のままのたたき台が法整備され、施行されれば約8401億円近い経済損失が出ることが予想され、さらに現状、小池都政が推進する屋内全面禁煙がそれに加わることで経済損失が増加することが危惧されている。またおのおのの経営者たちがこれまでの行政指導に従い行なってきた分煙化への設備投資もすべて無駄になる懸念もあり、非常に混沌とした状況だ。特に設備投資に関しては厚生労働省、東京都といった行政側の積極的な交付による「分煙施設設置に対する補助金」があったからこそ設備設置を決断、実行した店舗も多く、それらの投資がすべて無に帰してしまうのではと不安と怒りを感じる事業者も少なくない。またバーやスナック、居酒屋などたばこの味わいと共にお客さまが滞在を楽しむ割合が高い業態の経営者たちの“存続への危機感”も依然として強く、「受動喫煙防止対策の推進にあたっては、たばこを吸われる方・吸われない方および各事業者の多様性・自主性が尊重され、それぞれが“自由に選択できる”仕組みとなることを強く希望する」との内容のもと集められた現行案に対する反対署名は事業関係者ら約120 万人にのぼっている。120 万人という数字は47 都道府県の人口数で15 県ものそれを下回る県があり、世界に目を向ければ一国の総人口ですらそれを下回る国が多々ある。それだけの規模を有する声を国政および都政が無視することが果たして許されるのか?
 
 今後の動向に注目があつまるところである。また公平性、公共性の両面からおのおのが目を光らせるべき問題であると言える。
 

 
非喫煙者からも賛同される
「分煙化」
 
 次に「6 割」という数字に注目したい。これはFNN が「受動喫煙防止対策の強化」に対してどのような対策が望ましいかといった点についてとった世論調査から、飲食店に対しては「表示義務を課して、『喫煙、分煙、禁煙』を選べる案」という分煙案に賛成するとされた数字だ。日本の喫煙率が19%弱という現状においてこの賛成率は非喫煙者からも分煙案に対する賛成が多数いるという証拠だと考えられる非常に興味深い結果だ。この数字から見えてくることは飲食店に関してはお客さま側に100%店舗選択の権利があり、さらに店舗側にも業態選択の権利があるという点を世論が尊重すべきだと考えているということではないだろうか? また経営者たちの経営状態のみならず、そこに携わる従業員など就業者すべての生活に危機をもたらすなど、“基本的人権の尊重”を脅かすような極端な規制を行政がすべきではないという、ある種モラル的な測面からの非難とも受け取れる数値である。
 

 
受動喫煙防止に対する
努力姿勢を提示する勇気を!
 
 今回弊誌として読者に強く伝えたいことがある。それは世論の6割が「店頭表示による分煙」を支持しているという点だ。そこで提言したいのは自主的な表示努力による実績作りだ。例えば浅草や下北沢などは街ぐるみでそれを実践し、日本人のみならずインバウンドによる観光客からも高評価を得ている。独自のデザインによる表示ステッカーを提示している店舗もあれば、東京都など行政や企業が配布しているものを利用している店舗もある。いずれもおのおのの経営姿勢をはっきりと明示しており、利用側もさらに就業希望者も店舗のスタンスを知った上で店舗選択できるようになっている。時流もありこういった経営姿勢の明示に対して躊躇や怖さを感じる経営者もいるかもしれないが、過去弊誌でも掲載したようにインバウンドによる観光客が求めていることは禁煙店舗であるか否かではなく、“喫煙、分煙、禁煙”の表示だ。これは求められるのは「おのおのの選択が尊重されるという環境」の提供であることを示している。
 
 現状、「受動喫煙防止法案」についてはいまだ議論、調整といった段階にあり、国政・都政共に結論は出ていない。もろもろの状況から難しい局面がないわけではない。が、屋内禁煙条例を施行した横浜市ですら施行後、多くの事業者への配慮がなされたということを考えれば、法整備の準備段階にある現在、交渉の余地は充分ある。そこでおのおのの経営存続を守るべく自らの店舗経営に対する考えをぜひ主張してもらいたい。それこそが個々の選択権が尊重された形で飲食店および宿泊施設が生き残れる道となるだろう。

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