感度の高い参加者により85 席の会場がほぼ埋まった
5 月20 日都内マイナビルームにて、ホテル業務知識向上の必須情報について勉強会などを行なう東京ホテル会と当社オータパブリケイションズのコラボレーションセミナーを行なった。円安などの背景で高稼働の状況下にあるホテル業界で、今後ゲストに選ばれるホテルになるために必要な価値観とは何か。セミナー当日について今一度レポートする。
ADR 上昇もドル建ての場合上昇率減少
開始前に名刺交換会を実施し、参加者同士の交流が図られた中、和やかな雰囲気で始まった東京ホテル会×㈱オータパブリケイションズのコラボレーションセミナー。
当日のセミナーは三部構成。まずSTR グローバル日本担当の石田恵氏が壇上に上がり、「今後の日本ホテル市場について」をテーマに語った。2015 年の展望として、同社の統計において現状の日本市場においては1 〜3 月の昨年対比成長率が稼働率2.7%増、ADR9.6% 増、RevPAR12.6%増。2014 年における昨年対比成長率において全国の88%がADR 上昇、減少はおよそ8%とし、2015 年1 〜3 月におけるクラス別の成長率では客室稼働率とADR がすべてのクラスで上昇、特にラグジュアリーのADR は11.8%増と大きく伸長した。また、地域別におけるADR は北海道11.8%増、東京9.8%増、関西11.8%増と高い上昇率となったが、USドル基準の場合は、ADR は北海道3.7%減、東京5.4%減、関西3.7%減という数値に落ち着いている。東京は小地域別でも昨年同期比で6 〜12%成長とした。東京五輪が開催される2020 年へ向けての予測はロンドン・北京など過去の五輪開催時の実績値を用いて分析、東京は比較的高い水準で推移していること、また「2019 年開催のラグビーW 杯も追い風になる」と石田氏は語っている。今後の円安動向も含め、将来予測として東京のRevPARは、東京が5%強、2016 年が3%強となると述べた。
「唯一生き残るのは、変化できる者である」
続いて壇上に登った㈱HMRI デジタルストラテジスト吉崎夏来氏は、テーマである「ホテルのレピュテーション・マネジメントと海外のWEB マーケティング最前線」を展開。「ホテルの情報よりも第三者が発信した情報を消費者は信用する」消費者購買行動のパラダイムシフトに対応するための考え方として、AISAS に代わりDRBES(Dream:滞在経験を想像し理想を夢見る、Research:理想に近づく選択のための調査、Book:実際の予約行動、Experience:実際の宿泊消費体験、Share:他者への評価の提供、拡散、共有)を提唱し、能動的に消費者に夢を見させ、より良い経験を提供することが肝要とした。このほか、アジアなど各国のレピュテーション・マネジメント事例を紹介、「唯一生き残るのは、変化できる者である」とした『進化論』のダーウィンの言葉を引用し講義を締めくくった。
最後は㈱日本ホテルアプライザル取締役の北村剛史氏による「ホテルの価値は、どこで決められるのか?」。個人客中心となった現状の宿泊市場動向を指摘しつつ、ホテルの不動産価値として、「一時的なサービス提供(フロー概念)をするのではなく、その次の顧客体験にも影響を与え続けるストーリー思考のストック型サービスであるべきという認識が他施設との差別化要因となる」とし、不動産としてのスペック以外にホテルオペレーションのみでも910 項目あると説明。セミナー参加者を驚かせた。
次回のコラボレーションセミナーは6月17 日㈬、7 月22 日㈬開催予定。
【コラボレーションセミナーのご案内】
■ 2015 年6 月17 日㈬13 〜17 時
テーマ:「人、リーダーの成長」
講師:㈱KPG HOTEL&RESORT取締役社長 兼 COO 田中 正男 氏㈱ドリームチーム・ディレクター代表取締役社長 中島 克也 氏
■ 2015 年7 月22 日㈬13 〜17 時
予定テーマ:「新たな顧客層の獲得を実現するパートナーシップ」
■場所:マイナビルーム
(㈱マイナビ 本社オフィス内)
〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1
パレスサイドビル
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