ログイン
検索
  • TOP  > 
  • 記事一覧  > 
  • 【新型コロナ第2波・アフターコロナの打開案】売り上げ回復の鍵を握るのは日本人若年層?Z世代の旅行動向を探る

【新型コロナ第2波・アフターコロナの打開案】 売り上げ回復の鍵を握るのは日本人若年層? Z世代の旅行動向を探る

2020年08月01日(土)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加




 アフターコロナにおける旅行、皆さんはどのような層が最初に動き出すと考えるだろうか?
インバウンド層は渡航制限の問題から、またシニア層はリスクを考えて、動きが鈍ることが想定されるが、若年層は今後もアクティブに行動する可能性が高い。
それでは、旅行需要をいち早く回復するための鍵を握っているのは、日本人若年層なのではないか?
今だからこそ、Z世代~ミレニアル世代の旅行動向、彼らの嗜好を把握しておくことは、少しでも早く売り上げを取り戻すための一つの手になるのではないかと考える。
 
そこで今回は、新型コロナウイルス「第2波」のことを踏まえてなお、あえてアフターコロナに目を向け、Z世代・ミレニアル世代の旅行動向や、ホテル・旅館の選定基準、旅行に関する情報収集はどのようにしているのかを、以下に記載する。

今回話を聞いたのは、若年層の旅行需要拡大に向けてさまざまな事業を展開するバリーズ㈱。
同社は7月より、Z世代を巻き込んだ地方創生プロジェクトの立ち上げ準備を開始している。

バリーズ㈱
女子旅コミュニティプラットフォーム、Z世代トラベルプロジェクトのほか、
宿泊施設とインフルエンサーを繋ぐマッチング・プラットフォームなども展開。
Tel:03-6438-9161
Email:contact@valise.jp
https://www.valise.jp/#contact
 

—まず、Z世代プロジェクトとはどのような取り組みでしょうか?また、なぜ本プロジェクトを企画したのですか?

 
バリーズ「旅行市場において“若年層”はこれまでも、そしてアフターコロナ旅があたり前となる今後は特に、重要となる消費者層です。今後の旅行需要拡大に向けては、日本人若年層へのアプローチが必要不可欠だと考えます。ミレニアル世代は経済力もあり、また旅行に対して前向きで積極的。次に続くZ世代は、未来の旅行市場を担う潜在消費者層です。若年層のさらなる旅行需要の拡大に向け、Z世代に関する役立つ知見・ノウハウで、旅行需要拡大に貢献したい、という気持ちから本プロジェクトを立ち上げました。現在は、東洋大学で観光業を学ぶ学生2名が主導となり、バリーズ支援の元、Z世代とは何か?を明確にした『Z trip book』を完成させています。これら情報を生かし若年層を巻き込みながら、最終的には地方観光業を盛り上げるため、様々な提案をすべく本プロジェクトを進めています」

 

Z世代トラベルプロジェクト 学生メンバー 吉田さん・鷲巣さん
 

—ズバリ、Z世代とは?ミレニアル世代と違いはあるのでしょうか?
 
バリーズ「Z世代とは、ミレニアル世代(1981~96年に生まれた現24~39歳)の次の世代となる、1997〜2004年生まれの現16〜23歳です。今回プロジェクトに加わった学生メンバーの彼女たちの力で、約140名のZ世代の方々にアンケート調査をしたのですが、ミレニアル世代と異なる点が多くあったのです。
 まずは、旅行をするうえでのSNSとの関わり方。ミレニアル世代は、旅行の際に“SNS発信ありき”で旅をする人が大多数。しかしZ世代は、情報を発信することよりも、SNS全体が情報収集ツールとなっています。ですから、ミレニアル世代よりもZ世代にアプローチをするには、より情報発信の質や量が重要になってくるかと思います。
 それから、旅行の予算。旅先の選定よりも『予算はどうする?』から始まる方が多いです。そして、予算に当てはまる行先から決める。現地では、写真映えするような場所に行って楽しむのではなく、自然の中でのアクティビティ、体験を重視。実際に、SNS発信よりも、現地でしかできない“体験”・“アクティビティ”、そして“食”という部分を、重要視しているというデータも出ています。調査によると、“自然”や“癒し”を満喫できる旅がダントツの人気でした。意外と、グランピングやキャンピングカーにも興味があるようですよ」
 
 
—情報収集ツールとしてSNSを利用しているとのことですが、ミレニアル世代・Z世代の皆さんは、ホテル・旅館を予約する際はどのように情報を集めますか?
 
バリーズ「ミレニアル世代はまずめぼしいところをOTAで探し、ここが良いかな?というものが見つかったら、SNSでハッシュタグ検索します。最も多く利用するSNSのはンスタグラム。最終意思決定を促しているツールでもありますね。ですから、インスタグラムを見て、自分の頭の中で思っているものと異なるようなら、その時点で予約には至らないです。そもそも、インスタグラムで探しても情報が出てこない宿泊施設は非常に多いですね。ミレニアル世代は検索した時点で情報が出てこないと、予約をためらう事も多くあると思います」
 
Z世代プロジェクト学生メンバー 吉田さん
「Z世代は、より“リアリティー”を感じられる動画を見ることが多いです。写真よりも、インスタグラムのハイライト※とか、YouTubeとか。よく、好きなインスタグラマーが旅行をしている動画から、どんなホテル・旅館に宿泊しているかを見ています。実際にその動画を見て、同じホテルに宿泊したりすることもあります」
※インスタグラム上で投稿したストーリー(動画)を、24時間以降もプロフィール上に残したまま公開しておくことができる機能
 

Z世代プロジェクト学生メンバー 鷲巣さん
「私もホテル・旅館の情報収集をするときは、インスタグラムを見ます。ただ、インフルエンサーたちの投稿も見るのですが、正直、PRで投稿している情報には良いことしか書いていないので、信用できない情報もあります。ですから、もっとリアリティーを感じられる動画で、生の声を聞いたり、見て情報を得ることが多いですね」
 
 
—今後、Z世代トラベルプロジェクトはどのように動いていく予定ですか?
 
バリーズ「現時点で、Z世代とは何か?というものを明確にした「Z trip book」を完成させました。その情報を生かし、8月はさらに具体的に、地方観光業に向けてどのような提案をしたら、観光業を支援できるのかを考えていきます。プロジェクトの本格的な始動は9月から。さらにプロジェクトメンバーを増やし、どういう仕組みで本プロジェクトを動かすかを皆で考えながら、地方観光業に携わる企業に具体的な提案をしていきます。年内に、地方観光業に貢献できたことを、目に見える成果として出すことが目標ですね。このプロジェクトに共感いただける方や、Z世代の動向を知ってみたいなと興味を持って下さる方がいたら、ぜひ当社までご連絡をいただきたいです。『Z trip book』も多くの方にご覧いただきたいですし、9月以降は学生達の力で、旅行事業社へ貢献するアイデアを生み出していきますので。彼女達の力で、旅行・観光業の未来に貢献できることがあるのではと思っています!」
 
 
—Z世代プロジェクトを進めるにあたって意気込みは?
 
Z世代プロジェクト学生メンバー 鷲巣さん
「実は、大学のゼミを決める際、普段なら旅行業界のゼミはとても人気だったのですが、コロナショックにより『観光業界は経済によって左右されるから不安だ』と感じている学生が非常に多いのです。観光業に対する不安を払拭するためにも、今後、重要な消費者層でもある私たちの目線からできることを行っていきます。今は、大学でマーケティングの授業を受けていても、プロジェクトに繋がるかもしれないなと自然と受動的になります。好きなことをできているのでとても幸せです」
 
Z世代プロジェクト学生メンバー 吉田さん
「現在、国際観光学部で学んでいる中で、コロナショックにより観光経済が疲弊しているのを見て、私たちができることはないかと探していたのです。『人から旅へ』をテーマとしているバリーズの理念にはとても共感しているので、本プロジェクトに携われていることが嬉しいです。プロジェクトの本格的な始動に向けて頑張ります」
 

      
 
最後に
 
話を聞く中で、ミレニアル世代・Z世代とで、旅に求めるもの、そして旅マエの情報収集の段階で、重視する点や、SNSの使用方法が異なることが分かった。
旅行プランに関しては、より“低予算”で“体験”にフォーカスしたもの。情報発信に関しては、より“リアル”で“わかりやすい”、SNS、および動画での発信がZ世代にアプロ―チをするには効果的だ。両世代に共通することは、やはりSNS、特にインスタグラムを介した情報収集が当たり前ということ。よって、ホテル・旅館は選ばれる対象の中に入るためにも、SNSを介した情報発信は必要不可欠である。
これらの情報を生かし、今後もアクティブに動く若年層に選ばれる、ホテル・旅館であることで、コロナショックによって減少した売り上げを取り戻す一つの手段として、少しでもヒントを得て頂けたらうれしい。


レポート:高実子 未来
takajikko@ohtapub.co.jp

月刊HOTERES[ホテレス]最新号
2024年03月15日号
2024年03月15日号
本体6,600円(税込)
【特集】ホテルの未来〜マネジメント人材の育て方〜
【TOP RUNNER】
デュシット・インターナショナル 京都地区エリア総統括支配人…

■業界人必読ニュース

■アクセスランキング

  • 昨日
  • 1週間
  • 1ヶ月
CLOSE