低コストで手軽にキャッシュレス化できるホテルのランドリー室に向けた仕組み

　機能拡張のプランにおけるキーワードとして「キャッシュレス」もあり、まずコインランドリーで使用する大型の洗濯機器でキャッシュレス化を進め、利便性を向上させた。その流れを受けて、ホテルのランドリー室でも使われている小型の洗濯機器に対応するキャッシュレスキットと AQ-Connect ランドリーを開発することで、大型のみならず小型機器までキャッシュレス化を実現したのである。

　大型機器が採用されているコインランドリーの店舗では集中精算機など大きな端末でキャッシュレス決済を利用できるのに対して、ホテルの小さなランドリー室では精算機の設置スペースを取ることが難しいため、洗濯機器単体でキャッシュレス化できる技術で対応しました」とアクア（株）業務用洗濯機事業本部イノベーショングループマネージャーの箕田宏氏は振り返る。

「洗濯機を使うためにホテルのフロントで両替して硬貨を手に入れるのは気が引ける場面も多いですし、硬貨を持っていても都合よく洗濯機や乾燥機が空いてはいないため、いわゆる争奪戦になってしまうこともあります。本来は寛ぐための場所であるホテルで、洗濯のためにストレスを抱えてしまうという課題を解決するためにも、低コストで手軽にキャッシュレス化できる仕組みを提供したいと考えたのが、開発のきっかけでした。今後は大型と同様に、小型についても稼働状況をお部屋から可視化する機能を実装したいと考え、開発を進めています」

　このサービスの一番の特徴は、既存の洗濯機器に後付けで基盤を設置することができる点。回線を新たに設ける必要はなく、お客さまのスマートフォンにインストールされた AQ-Connect ランドリーが Bluetoothを通じて洗濯機器とつながることでキャッシュレス決済ができる。基盤の電源は取り付けた洗濯機器から供給されるため電源の増設工事も不要で、導入コストを抑えることができる。「ホテルがランドリー室のキャッシュレス化のために高額な予算を投じるのは現実的ではないので、リーズナブルに利便性を組み込める方法を追求しました」

　AQUAブランドの小型の洗濯機器は、ホテルのランドリー室も含めた市場全体で 10万台以上が稼働している。アクアではできるだけ多くの洗濯機器をキャッシュレス化するため、過去10年の機器にまで遡って基盤を取り付けることができる形にこだわり、その普及に努めている。既に約 630台に基盤が取り付けられ、トラブルもなくキャッシュレス化が進められている。
 

利用者向けのキャッシュレス決済アプリ「AQ-Connect ランドリー」