株式会社Aカードホテルシステム(本社・東京都千代田区)は2月17日、同社会員を対象に実施した「ホテル利用実態」および加盟ホテル向け「経費アンケート」の結果を発表した。
両アンケートは2009年より毎年実施しているもので、今年度の「ホテル利用実態」は2025年12月3日から10日にかけて調査を行い、同社会員約170万人のうち4963人(全会員の0.3%)の回答を集計した。
◎2025年版(前回)レポート結果 https://www.hoteresonline.com/articles/14048
◎2024年版(前々回)レポート結果 https://www.hoteresonline.com/articles/13269
■2026年版 ホテル利用実態アンケート結果抜粋
【付帯サービス・施設の評価ポイント】
図表1「利用検討する際に評価する付帯サービス・施設」では、例年大きな変化は見られないものの、「朝食」(32%)が最多となり、次いで「ホテルの大浴場」(18%)、「駐車場」(17%)、「長期連泊対応」(11%)、「ウェルカムドリンク」(8%)、「アーリーチェックイン・レイトチェックアウト」(7%)の順となった。
ホテル業界全体で朝食強化の動きが続くなか、ゲスト側の朝食への期待値が依然として高いことがうかがえる。また、駐車場や長期連泊対応の割合が高い点は、ブルーカラー層を多く会員に抱える同社システムの特徴を反映した結果といえる。
2月17日に開催された「第28回Aカードトップ会」では、加盟ホテルによるリピーター獲得施策として、館内に大浴場を持たないホテルが近隣の温浴施設と連携し、通常よりリーズナブルに利用できるプランを販売することでゲスト満足度向上につなげた事例も紹介された。大規模なハード投資を行わずとも、地域連携によって新たな活路を見いだした取り組みとして注目される。
【滞在中に望まれるサービス】
図表2「ホテル滞在中に利用できるサービスで、今後望むもの、または便利だったもの・心に残ったもの」では、「ドリンクサービス(コーヒー・水・アルコールなど)」が20.6%で最多となり、「大浴場・温泉・露天風呂・サウナ・岩盤浴」12.2%、「朝食」10.2%が続いた。
区分別ではソフト面の「接客サービス」が26.4%と全体の4分の1を占めている。近年、宿泊特化型ホテルにおいては、漫画コーナーの設置やアルコールを含むウェルカムドリンクの提供、クラブラウンジ機能の導入などの事例も見られる。
筆者が印象的であった接客サービスの例として、沖縄県のホテル朝食で地酒や泡盛を数種、通常プラン内で利用できる仕掛けが挙げられる。早朝からアルコールを多く飲むゲストは少ないためコスト増は限定的でありながら、ゲストにとって新鮮な魅力となる取り組みだと同ホテルは説明していた。
多くのホテルがまだ手掛けていない施策だからこそ、接客サービス面での差別化は印象に残りやすい。また、自前で用意できない要素であっても地域と共創することで体験価値を高めることが可能であり、ファン化への期待も高まるだろう。
■2026年版 経費アンケート結果抜粋
【客室販売経路】
加盟ホテルを対象とした「経費アンケート」のうち、図表3「客室販売経路」は、470ホテル中239ホテルの回答をまとめたもの。全国平均では「ネット・エージェントの予約サイト」(63.7%)が最多で、「電話予約」(15.3%)、「自社ホームページ」(9.5%)、「旅行代理店」(7.2%)、「法人契約」(6.4%)、「Aカードホームページ」(1.6%)という結果となった。
このうち電話予約については、近年、音声ガイダンスによるゲスト誘導を採用するホテルが増加している。ホテル業界で人手不足が加速するなか、自動チェックイン機の導入などDXの組み込みは急務といえる。
【ゲスト構成】
ゲストミックスの割合では、「日本人」(88.1%)、「外国人」(11.6%)となり、加盟ホテルでは出張ビジネスマンを含め、日本人ゲストの囲い込みが進んでいることが分かる。
地政学的リスクが浮き彫りになるなか、これまでのように全属性を対象とした集客アクションは、情報過多の環境下で埋没する可能性もある。自ホテルが囲い込みたい顧客属性を明確にし、その属性のファン化を促進する取り組みを積極的に行うことが、今後選ばれるホテルとなるための重要な要因となるだろう。
●関連記事「企業の出張規定見直し進み実費精算62%で過去最高、『第28回Aカードトップ会』開催」
https://www.hoteresonline.com/articles/14685
―――
文・オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp




