ウエディングプランナーの草分け的存在、安部トシ子氏。この道34 年、今では30 人、すべて女性のスタッフとともに走り続けている。結婚や出産、親の介護など女性が働き続けていくことを妨げる波が何度となく訪れる。その中でも柔軟に、同姓だからこそ分かる理解力で母として、子どもたちを見守るよう育てている。働くことをあきらめてしまうウエディングプランナーが増えている中で、どのようにしたら生き生きと働き続けることができるのかなど、経験からの指南をお聞きした。
福永 安部社長は日本のウエディングにおいてそれまで存在していなかったウエディングプランナーという仕事にいち早く着目され、業界をけん引されていらっしゃいます。ウエディングプランナーにあこがれている女性や、現在ウエディングプランナーとして活躍している女性も多くいらっしゃいますが、結婚、出産や親の介護など、自身を取り巻く環境の変化で継続することをあきらめてしまったり、出産後、復帰したくても職場の理解を得られず断念してしまう方もいます。人手不足と言われている中で、かがやき続けられる職場の環境改善が必要だと思われます。安部社長は34 年間に亘りオフィースマリアージュを指揮してこられました。ウエディング業界の発展のためにも、今後どうすればよいのかお伺いできればと思います。
安部 私はウエディングプランナーの存在がなかったころから、この仕事に取り組んできました。人生の門出をお祝いする結婚式の仕事に出会うことができ、まさに天職を得ることができたことに感謝しています。34 年前にアテンドしたお客さまの娘さんの結婚式の依頼を受けるまでになり、これまで真摯にひたむきに、お客さまのために尽くしてきたご褒美としてうれしく思います。現在、30 人のスタッフでお互いに助け合いながら家族のような企業を経営しておりますが、大切なことは何も分からずこの世界に飛び込んできた新人が一人前になったときの喜びを大切に育てていくことです。一度や二度の失敗で叱責したり、頭ごなしに否定したり、業績だけで人間性や将来性を見定められたら、強い意思を持っている人でも気持ちが萎えてしまいます。チームとして、一丸となって成長していくこと、またそのような育成のしくみを作り上げていくことが大切です。お陰さまでスタッフの内、10 数人が10 年以上勤務しています。