小誌・月刊ホテレス独自調査「全国ホテル客室稼働率」の2025年3月結果がこのほどまとまった。今回、全国85ホテルの平均客室稼働率は78.8%(前年同月78.7%)、ADRは15,254円(同14,304円、6.6ポイント増)、RevPARは12,020円(同11,257円、6.8ポイント増)となった。
本調査区分14エリアにおいて、約半数のエリアで稼働が苦戦するものの、ADRは東京フルサービス型および北関東(件数少のため未算出)を除く全エリアにて伸長をし、東京フルサービス型・北関東・北陸甲信越を除く11エリアにてRevPARが前年月よりも増加。なお、全国平均のRevPARの伸び率が1ケタ台に転じたのは7カ月ぶりとなる。
各ホテルからは「多少料金を下げても稼働を重視しての受注、またツインルームの1室2名の販売を強化し、売上を上げていかなければならない」、「昨年は北陸応援割の支援があり平日は好調だったが、今年は日~火曜日の予約が伸び悩んだ」、「インバウンド(特に台湾の増加)に伴い、稼働率は高くなっている」などのコメントが寄せられた。
近況、宿泊主体型ホテルが「クラブラウンジ」の機能を組み込む動きが見られる。コロナ禍前はフルサービス型ホテルがこの取り組みに盛んであったが、宿泊主体型ホテルが差別化要素として宿泊ゲスト向けに、無料または1000円などの安価の価格でケーキ類などのアフタヌーンティー利用、アルコール含むイブニングタイム利用の提供を開始している。中には調理人を配置せずにクラブラウンジに取り組む事例も見られ、単価上昇やリピーター化のためのトレンドの一つになると見ている。
〈用語解説〉
●OCC(Occupancy Ratio):客室稼働率
●ADR(Average Daily Rate):1日1室当たりの客室平均単価
●RevPAR(Revenue Per Available Room):1日1室当たりの客室売上高
※RevPARは客室販売における最重要指標、RevPAR=OCC×ADRで算出
(例:客室稼働率50%×ADR 20,000円=RevPAR 10,000円)
〈調査区分〉
北海道、東北、北関東、東京フルサービス型、東京宿泊主体型、南関東、甲信越・北陸、東海、近畿(京都・大阪含む)、京都、大阪、中四国、九州、沖縄の全14エリア
〈算出条件〉
●今回の数値は小誌・稼働率調査において「該当月および前年同月」の「客室稼働率およびADR」の計4項目すべて回答のあるホテルのみを用いて算出。そのため、開業1年未満のホテル、前年同月に休館したホテルなどは含まれず。
〈備考〉
小誌「月刊ホテレス」2025年6月号では連載「全国都市別ホテル客室稼働率」にて、25年3月の速報値(計143ホテルの都市別平均値)を掲載。
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文・オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp