ログイン
検索
  • TOP  > 
  • 記事一覧  > 
  • 我、かく闘えり ベルボーイからホテリエへ―徒手空拳の男はなぜ、野望を叶えることができたのか
第一回 連載 我、かく闘えり

プロローグ〈人の喜ぶ顔が見たいから〉

2018年03月07日(水)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

身の程を越えた望みを抱えて

 多くの若者は、徒手空拳で社会人となる。経済力もなければ、人脈もない。手の中にあるのは、()()ない(・・)思いだけである。

 片野真治の場合も、ひと握りの夢だけが頼りだった。学生時代に、自分の思うことで人に喜ばれたいという真摯(しんし)な感情が芽生え、興味を持ち始めたホテル業界に身を投じた。最初の仕事はベルボーイ。文字通り、ホテルの入口からの振り出しである。

 試練が続いた。改善すべき点を上司に進言すると、「うるさい! 文句を言いたかったら、役職に就いてからにしろ!」と怒鳴られた。

 ひと握りの小さな夢は、普通ならば、こういう厳しい言葉で吹き飛んでしまうものだろう。だが、片野はホテル業界にしがみついて、離れなかった。意志を貫くうちに、夢はかえって大きく膨れ上がり、「この業界で偉くなりたい」という野望となっていったのである。

 野望とは、辞書によると、「身の程を越えた大きな望み」とある。この意味を冷静に解釈したら、片野もひるんだかもしれない。だが、挫折を挫折とも思わぬ片野は、一歩も退かなかった。

 とにかく自分の思うサービスを提供したいんだ、私に任せてくれないか、任せてくれないなら、私が会社を興してやるまでだ――片野の行動力、決断力、そして企画力や分析力はいつの間にか、人一倍強く、優れたものになっていた。そして、片野は本当に会社を設立し、野望を実現させてしまったのだった。
 

月刊HOTERES[ホテレス]最新号
2025年12月15日号
2025年12月15日号
本体6,600円(税込)
【特集】本誌独自調査 全国ホテルオープン情報
【TOP RUNNER】
東京ステーションホテル(日本ホテル(株))常務取締役 総支配…

■業界人必読ニュース

■アクセスランキング

  • 昨日
  • 1週間
  • 1ヶ月
小規模であることが、最大の贅沢だ ――スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールドが語る、ポストコロナ時代のラグジュアリートラベル
小規模であることが、最大の贅沢だ ――スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールドが語る、ポストコロナ時代のラグジュアリートラベル
グランドプリンスホテル新高輪ブッフェレストラン、カーデックス社のメニューカード導入でどう変わった? 業務効率化と食の“安心”を支えるビュッフェのメニューカードへ(PR)
〈スペシャルインタビュー〉ホテルレストラン用ブッフェメニューカード・カーデックス社
2025年11月号 TOP RUNNER 第21回 HOTEL THE MITSUI KYOTO 総支配人 加勢田 愉士氏
2025年11月号 TOP RUNNER 第21回 HOTEL THE MITSUI KYOTO 総支配人 加勢田 愉士氏
〈宿泊事業者必見・ウェビナー〉まだ間に合う、2026年の経営改革!高GOPとゲスト体験を両立する “伴走型DX”の最前線
イベント情報 HOTERESウェビナーvol.3〈視聴無料〉
2025年12月号 TOP RUNNER 第22回 東京ステーションホテル(日本ホテル(株)) 常務取締役 総支配人 藤崎 斉氏
2025年12月号 TOP RUNNER 第22回 東京ステーションホテル(日本ホテル(株)) 常務取締役 総支配人 藤崎 斉氏
CLOSE