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帝国ホテル「食のサステナビリティフォーラム 2024」

帝国ホテル「食のサステナビリティフォーラム 2024」~“今”の時代の料理人を作る~

2024年05月01日(水)
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 4月16日、帝国ホテル 東京は今回で3回目となる「食のサステナビリティフォーラム2024」~“今”の時代の料理人を作る~を開催した。イベントは、帝国ホテル 第14代東京料理長の杉本雄氏のプレゼンテーションで開始。その後、杉本氏と(株)ポーラ 代表取締役社長 及川美紀氏とのトークセッションなどが行なわれた。
 

帝国ホテル 東京の「食」におけるSDGsへの取り組みの一環として

 帝国ホテル 東京は「食」の領域におけるSDGsへの取り組みの発信として、2021年から「サステナビリティフォーラム」を開催。
 第1回目のテーマは「ラグジュアリー×サステナビリティ」で、一見相反するような内容を、帝国ホテル 第14代東京料理長の杉本雄氏が、「食材の恵みを最大限に生かし、無駄なく使いきる」――フランス料理の精神をもとに、帝国ホテル 東京の食への取り組みを説いた。

 第2回目のテーマは「繋ぐ輪で、おいしく社会を変える」で、同社事例を交えての取り組みを紹介。例えば、帝国ホテル 東京はこれまでサンドイッチをつくるのに、パンの耳に具材が付着している等の理由で(別の料理への再利用が難しい)切り落とした食パンの耳を年間で2.5トン捨てていたが、食品ロス削減を目指し「耳まで白くて新食感」のサンドイッチ用食パンを開発。22年10月からホテルショップ「ガルガンチュワ」にて販売を始め、今ではレストランで提供するサンドイッチにもこの食パンを使用している。これ以外にも、さまざまな商品が誕生し、株式会社ドールの「もったいないバナナプロジェクト」に賛同して開発したスイーツ「Le Baton B(ル バトン ビー)」は、今回のイベントのお土産として、来場者に配られた。

 

「人的資本」に着目して、第3回目のテーマを設定

 そして今回、第3回目のテーマとして、杉本氏は「“今”の時代の料理人を作る」を掲げた。杉本氏は、ホテル・飲食業界の課題「現役の料理人の人材不足」を、各種データに基づき説明。さらに、今年1月に帝国ホテル 東京が調理師を養成する中村学園・中村専修学園の学生にアンケートを実施した結果、第1位は「やりがい」27.8%となったが、第2位以降は「労働環境の悪さ」などネガティブな回答が目立つ結果になったという。こうした背景があり、杉本氏は今回のテーマに至ったと話す。

 その後、杉本氏は同ホテルの調理人の男女比率をパネルで紹介し、「例えば、世界では女性シェフの活躍も目立ち、3ツ星のスターシェフもいます。しかし、国内では女性シェフが少ないという現状があります。帝国ホテル 東京は女性に限らず誰もが働きやすく個性を発揮できる環境の改善に向けた取り組みしたい」と述べた。

 杉本氏が調理現場の労働環境改善に向けた取り組みの1つとして、調理部門の若手社員と同じテーブルを囲んで食事を共にし、意見交換を行なうラウンドテーブルを挙げた。会場では、その様子を動画で配信。若手の意見をはじめ、杉本氏の思いなど、ざっくばらんに会話する様子が映し出された。

 

杉本氏が懇願して実現した、ポーラ社の及川社長とのトークセッション

 


 1929年に会社創業してから、2020年にポーラ社初の女性代表取締役社長に就任した及川美紀氏を招待して、杉本氏とトークセッションを実施。
 
テーマは、
・「個性」を発揮するための環境
・「ニュースタンダード」を体現するための仕組みとは
 
 及川社長は「社員との対話を重視し、社員の個性や企業理念を深く浸透させる。社員とのチームミーティングは、最初は自己紹介を20-30分行なってから。そのあと、本題に入る。自己紹介や雑談などは一見無駄な時間に見えるが、その人の個性や普段の考え方を知る上でとても大切。また、その話を聞いていた社員も、その話を聞いて、インスパイアされることがある。相手を知ることは、心理的安全性が確保される。そのことで、個人からさまざまな提案や発信がされる」と述べた。

 個人間の信頼を得ることで、会社理念、チームビジョンの共有なども円滑に進むという。
及川氏はコロナ禍で社長に就任したこともあり、コロナ禍で3密対策のための出社ルールを事例に挙げた。そのうえで、コロナが収束した現在の出社ルールは、各チームがスムーズに仕事しやすい形をとっていると話した。つまり、会社に出社して仕事をするのか、リモートワークで仕事をするのかはチームや個人面談の上で決めているという。

「当社では、個人よりチームで働く仕事の方が圧倒的に多い。その一方で、社員の個性も大切にしている。その個性を最大限に生かしつつ、チームの目標に向かって突き進むのがチームリーダーの役割。チームのビジョン、個人のビジョンを共有し、会社の理念やビジョンに向かって進んでいく。その際、チームを超えたワーキンググループも生まれてくる。そのワーキンググループごとに、リーダーも生まれてくる。このことが、さらに社員の一体感が増す状況になっている」

 杉本氏から「人材流動性の高い人々のエンゲージメントをどのようにして高めるのか」の問いに関しては、及川氏は「退職してしまっても、また戻ってきやすい環境を作っておくことが大切。当社で復職した社員はパフォーマンスが高く、企業理念や誇りをもって仕事に励んでいる。私からすると、退職して復職する社員は企業留学をしていたイメージ」とコメント。その一方で、簡単に復職させるわけではなく、シビアに面接するとも話した。

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