今回は北海道新幹線の本州側の起点になる青森市を取り上げる。同市は本州の最北端に位置する青森県の県庁所在地であり、県の中心都市となっている。北海道新幹線開業によって、北海道のみならず観光振興を期待したい都市である。以下に青森市のマーケットポテンシャルと、さらに今回は青森市や青森県の観光ポテンシャルに重点を置いて見ていこう。
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マーケットポテンシャル
　青森市は青森県の中央部に位置している。北部は青森湾を挟んで北海道に面し、それ以外の三方はほぼ山間部に囲まれるという地理的特性がある。青森市の都市勢圏は黒石市、平内町、今別町、外ヶ浜町、藤崎町、板柳町、七戸町、蓬田村、田舎館村といった青森市を含む2 市6 町2 村から構成されており、地理的特性もあって地方中心都市としては勢圏が比較的限定される傾向がある。市の西南部は東北自動車道、国道7 号などによって比較的交通が至便なため、勢圏は南西方面に伸びやすい。都市勢圏の状況は2005 年の国勢調査から変化はない。
 
　青森市の商業求心力を見ると、商業拠点性指数（※ 1）は1.12 であり、周辺から消費の流入がある程度見られる。青森市内には「サンロード青森」（店舗面積2 万3127㎡や「イオンタウン青森浜田」（1 万7021㎡）などの商業施設が位置しているが、3 万㎡以上の大型SC や、2010 年以降に開発された比較的新しいSC は見られない。
 
　青森市の人口は29 万5062 人（2015年3 月末人口）、県内人口に占める人口シェアは21. 9 % である。その他の県内主要都市を見ると八戸市が23 万6741 人、弘前市が17 万8258 人と続き、青森市を含めたこの3 市が10万人以上の人口規模を有する中心都市となっている。中心都市とそれ以外の都市では人口格差がある状況だ。青森市の高齢者比率（65 歳以上人口比率）は23.7% でほぼ全国レベル（23.0%）である。
 
　過去5 年間の人口増加率（15 年／10 年）は▲ 3.0% の減少となっている。その他主要都市では八戸市が▲ 2.1%、弘前市が▲ 3.0% となっており、増加している都市は見られない。県内主要都市の中では八戸市と三沢市のマイナストレンドが比較的緩やかであるが、一方でつがる市、黒石市、五所川原市は▲ 5% を超えて比較的大きいマイナス幅となっている。
 
　青森市の年齢構造を見ると若年人口比率は17.5%、適齢期人口比率は22.5% となり、若年人口比率、適齢期人口比率ともに全国値（若年人口比率18.0%、適齢期人口比率25.1%）を下回った。その他の県内主要都市を見ると若年人口比率は三沢市が20.6%、八戸市が18.7%、黒石が18.1% と全国値を上回っており、県内ではこれらの都市で比較的若いマーケットが形成されていると言える。適齢期人口比率は在日米軍および航空自衛隊三沢基地を抱える三沢市が25.4% で県内主要都市の中で唯一全国値を上回った。
 
　将来推計人口を見ると青森市はすでに減少フェーズに突入しており、2030年頃には2010 年ベースから約20% 程度減少すると見られている。その他の県内主要都市もすでに全ての都市が減少フェーズに突入しているが、その中で若年人口比、適齢期人口比共に高い三沢市が最も減少幅が緩やかになると推計された。また平川市とつがる市、黒石市の人口規模の差が狭まり、将来的には平川市がつがる市、黒石市の人口規模を抜く可能性がある。将来的にも青森市が県内最大のマーケットを有することに変わりはない。
 
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