ログイン
検索
  • TOP  > 
  • 記事一覧  > 
  • SPECIAL INTERVIEW 服部栄養専門学校 服部 幸應氏 オールジャパンで和食を世界に ――世界の変化にもっと目を向けるべき
SPECIAL INTERVIEW 服部栄養専門学校 服部 幸應氏

オールジャパンで和食を世界に ――世界の変化にもっと目を向けるべき

【月刊HOTERES 2016年06月号】
2016年06月17日(金)
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

海外の日本料理調理技能の認定
 
特に③の外国人が対象の日本料理調理技能認定制度は早急に進める必要があります。
 
日本料理に関して適切な知識・技能を有する海外の日本食料理人を育成し、海外において日本食・食文化と日本産農林水産物・食品の魅力を適切かつ効果的に発信するため、海外の外国人日本食料理人の日本料理の知識・調理技能が一定のレベルに達したものを、民間団体が自主的に認定できるようにしようというものです。
 
認定は3 種類です。金、銀、銅。金は日本人が料理長などを務める国内の日本食レストランで実務経験が2 年程度あるもの、銀は日本料理学校の卒業者(日本食コース)で実務経験が1 年程度あるもの、銅が国内外の日本料理学校、民間団体などが主催する短期料理講習会などにおいて日本料理の講習会を受講したものなどとなっています。
 
こうしたことに本気で取り組まなければ日本料理が衰退するばかりか日本そのものも衰退する一方になるでしょう。オールジャパンで取り組む必要があるのです。
 
フランスの焦りを見よ
 
この数年フランスが料理に関して焦りに焦っているのをご存じでしょうか。ボキューズドールなどの料理コンクールで北欧勢に上位のメダルをもっていかれ、トップスリーに入らなくなり厳しい状況です。凋落ぶりが余りにも目に余ります。そして、フランスでは手作りのレストランが少なくなってきているのです。ソースまで工場から持ってきているというから驚きでしょう。
 
そこで手作りをやっているところは国として“ フェ・メゾン(自家製)” の認証を付けてやろうじゃないかということになっております。ソースの国フランスでこうした話が出るのは気の毒なことです。
 
一方、ノルウェーの料理業界の躍進ぶりはすさまじいものがあります。ご存じの方も多いと思いますが、これは料理業界の世界的スーパースターであるエル・ブリのフェラン・アドリアの存在を忘れてはいけません。
 
スペインでは1975 年にフランコ政権が崩壊。それからは文化を取り戻そうという運動が起き上がりました。料理業界も押さえつけられていたためフランスに行って勉強し遅れを取り戻そうとしました。そして三つ打ち出した。①過去にあったメニューをもう一度見直そう。②現在使われているメニューを見直そう、③今まで一度も作ったことのない、食べたこともないものを作り出そう。三つの考えで動き始めた。それから約30 年たちましたが、スペインの料理業界の繁栄はご存じの通りです。
 
マドリッドフュージョンの威力
 
中心となった人物が先ほどあげたエル・ブリのフェラン・アドリアです。今から20 年ほど前に「面白いやつがいる」とスペインのバスクの料理人の間に広がりました。フランスから帰国してきたスペイン人の料理人フェラン・アドリアを中心にして勉強会を開きました。これが15年ほど前に誕生したマドリッドフュージョンです。コンセプトはみんなで料理の仕方を披露し勉強しあう場を用意したのです。そしてレベルを高めていったのです。ところが先生であったはずのフランスは昔のやり方でやっており、時代遅れになっていったのです。それから反省し重い腰を上げて学会ができました。3年前のことです。一方スペインは15 年前から始めていますから差は歴然です。フェランをわが校に16 年前に招聘したときのことです。柚子を渡しました。その魅力に感激し彼はずいぶんと料理の中に取り入れたようです。
 
その後しばらくしてフランスに行ったとき「ユジュ、ユジュ」と言っている。誰から聞いたのと言ったら、マドリッドフュージョンに行って学んだとのこと。イタリアでも同じようなことがありました。やはり学会が大事です。学会で学び実地に生かすことが変革の第一歩です。
 
日本にはあまり伝わっていませんが、こうした考えは南米のペルーにも及び始めました。今やペルーでもフェランは英雄扱いです。ペルー料理も世界で有名になってきていますし、北欧やブラジルにも大きな波が広がりつつあるのです。こうした世界の動きを日本も見習うべきです。もっともっと積極的になってオールジャパンで日本を売り込む必要があります。
(談=文責編集部)

月刊HOTERES[ホテレス]最新号
2024年04月15日号
2024年04月15日号
本体6,600円(税込)
【特集】本誌独自調査 2024年日本のホテルチェーングループ一覧〈前編〉
【TOP RUNNER】
リージェントホテル香港 マネージング・ダイレクター ミシェル…

■業界人必読ニュース

■アクセスランキング

  • 昨日
  • 1週間
  • 1ヶ月
CLOSE