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スペシャル対談 

観光庁田村 明比古長官と公益社団法人 国際観光施設協会 鈴木 裕会長が語る

【月刊HOTERES 2016年09月号】
2016年09月23日(金)
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3月30日に総理大臣官邸において、「明日の日本を支える観光ビジョン」が決定した。「観光先進国」を目指し訪日外国人旅行者数を2020 年に4000 万人などの新たな目標が掲げられ、政府は施策実行に向けて始動した。そのような中で、2015 年9 月に就任した観光庁の田村明比古長官と、同じく15 年6 月に新任した公益社団法人国際観光施設協会の鈴木裕会長に、目指していることやその思いをお話しいただいた。

観光庁 田村 明比古 長官
国際観光施設協会 鈴木 裕 会長

「明日の日本を支える観光ビジョン」は
観光先進国を目指すシナリオ
 
鈴木 公益社団法人国際観光施設協会は、今年で創立以来63年目を迎えます。当初は、戦後訪日外国人用の宿泊施設を国際級にレベルアップすべく、関係者が集まって勉強や啓蒙活動を行ないました。近年国際級宿泊施設へのキャッチアップも済み、対象を宿泊施設だけでなく周囲の環境も含めた観光交流空間まで広げて研究啓蒙活動を行なってきました。特に観光交流空間にとって景観が重要であるという問題意識のもとに活動してきましたが、社会が観光に目を向けない状況では盛り上がりに欠けていました。その後、小泉総理が観光立国政策を打ち出され、観光庁が創立されてようやく観光について社会が真剣に考えるというところに至ったのだと思います。
 
 当協会の活動をいくつかご紹介しますと、国際級の観光交流空間を地方創生につなげていきたいということで広報、啓蒙、発信活動を行なっています。季刊情報誌「観光施設」を発行したり、一般誌に「観光施設メディア・ラボ」というページを設けて月に2 回発信しています。さまざまな観光施設の見学会、観光関連のシンポジウムなども開催しています。
 
 また、年に1回集大成として、「国際ホテル・レストラン・ショー」に活動内容を展示しています。当協会の出展ブースではセンタープラザでのミニレクチャーを、メインホールでは外部講師を迎えてメインレクチャーを行なっています。一年間で非常に話題になったホテルや旅館についてソフトからハードまで講演していただいています。レクチャー&ショーというコンセプトに基づき、その話題となった施設で使った設備器具・内装材・家具等を協会ブース周辺に展示しています。また、現在取り組んでいる観光技術の研究テーマが四つあります。観光庁が出されている「明日の日本を支える観光ビジョン」を拝見したところ、その四つのテーマに関連する項目が上げられています。今日は田村長官に観光ビジョンについての大局を伺うことでわれわれの研究の方向性を再確認できれば大変ありがたいと思っています。まずはこのようなビジョンを打ち上げられたその背景と今後の予定について教えていただければと思います。
 
田村 この「明日の日本を支える観光ビジョン」というのは、少し中長期的な政策の方向性を示すものです。一方、毎年策定するアクション・プログラムは、この下位に位置し、ビジョンに基づいて毎年各省が実施していく施策を盛り込んだものになります。
 
 まさに会長がおっしゃったように長らくインバウンドに目が向いていない時期がありました。世界中の観光行政は、みんなインバウンドを振興して、外貨を獲得することを一番大きな目的として、ずっと施策を講じています。それは日本も例外ではなく、戦前もずっとそうであったし、昭和の初期に絹織物や絹糸が輸出品目として1 位2 位だった時代、それに次いでインバウンドの観光で落としてもらうお金が外貨獲得の大きな収入源でありました。
 
 戦争で一時期観光は不要不急のものとされましたが、終戦直後から再びインバウンドが大事だと考えられ、焼け跡で何にもないところだが、多くの外国人に来ていただいて外貨を稼ごうということで、昭和20 年代に盛んに旅館やホテルが作られました。また、先ほどご説明いただいたように国際観光施設協会なども設立され、宿泊設備などを良くしていこうという動きがあったわけです。
 
 それがいつのまにか、貿易黒字が積み上ったことから、日本人みんなが海外旅行をしてお金を消費し、貿易黒字を減らしましょうといった話になりました。1970 年代から80 年代くらいまではインバウンドは重視されていなかったと思います。それが、やっと元に戻ったということです。そういう意味では、70 年代80 年代の日本の観光行政というのは世界の中でも極めて特殊だったと思います。そして、2003 年から「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が小泉総理によって打ち出され、その後観光庁も発足しました。ところが、旅館もホテルも旅行業もそうですが、昭和20 年代にできたような法律ばかりで、それから大きく制度を変えずにずっときてしまいました。しかも、個々の施策だけではなくて、まちづくりとか、地方創生あるいは地方の活性化という観点から今一度日本を見直したときに、できていないことがたくさんある。観光立国、この観光ビジョンでは観光先進国という言い方にしていますが、そういうところを目指すには足りないことがたくさんあります。日本は観光先進国としてのポテンシャルはあるので、必要なことをきちんと確実にすべて行なっていけば、さらに高いレベルに行けるはずです。その必要なことを洗い出してみようというのが観光ビジョンです。
 
鈴木 考えられる項目を網羅的に洗い出されていますね。

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